◆バセンジー10

23◆メアボン*ラクサ訓練基地惑星

「あっという間だったな…」


ルフィーには見飽きたワールプールだが、こんなに楽しくときめいた航行はかつて一度もなかった。


「宇宙ってすごいのね🎵」


意味不明な事ばかりいうミレイユたが、その笑顔や仕草はずっと見ていても飽きなかったし、ただ声を聞いているだけでも心地よく、ルフィーはいつしかなんにも考えられなくなった。


(まったく…ガキじゃあるまいし…💧しっかりしろ。)


何度となく、この言葉を頭の中で繰り返した。


「着艦を許可します。B05径路へ  DT883ベイに入ってください。」


交換通信を済ませ、防御バリケードが解除された。

CTR² Oはメアボン*ラクサの艦艇回収ステーションに滑り込む。


訓練基地ならではの古い照合鑑定機が出迎える。


『 認識チップを挿入してください。入力の場合はコードナンバーに続いて、所属軍、戦隊、階位をお願いします。』


ミレイユは手にしているコードタグ〔認識チップ〕を握りしめゲートを見上げる。


「……。」


「なんてこたぁねぇよ。記録のためだけさ、こんな辺境の基地、セキュリティは甘々。顔認証もねぇし、どれを差したっておんなじだ-W  」


不安そうにしているミレイユを気遣い、さっさとゲートをくぐってみせる。


ルフィーの通したチップは死んだ仲間の物で自分のタグをミレイユに持たせていた。


ほらなっ、とルフィーはいたずらっぽい笑顔で舌を出す。


「ルフィーったら。」

ミレイユも微笑んで、難なくゲートを通った。


「ラクサ プラントへようこそ❤️  案内係を勤めるラディアです。

よろしくお願いします💕では、こちらのシャトルへお乗りください。所長がお待ちかねです🎵」


幼さの残る愛らしい顔立ちの少女。


促された降下シャトルに乗り込むとエアポートまでの道のり、ラディアはベース内施設の説明をしながら、ルフィーに熱い視線を送り続けた。


「まさかと思うけど、F11なんて、ここにはねぇよな?仲間が*パンプいって戻ったら、変な細菌もらってきてよぉ、その治療にはF11がいるって、アイビーどもがわめくんだ。」


*降下部隊のこと。


ルフィーはラディアから注がれる熱い視線など、ものともせず、ユキホの容態や薬品について細かく説明した。


「……CANINEシリーズはありますがF11っていうのは……💧初めて聞きます。でもそれがご入りようなら調べて探してみます‼️」


ラディアは瞳をキラキラさせてルフィーを見つめる。


「いや……マウゴラがどこにもないっていうんだから ねえーんだろうな」


かなりボロいシステムだし、薬も年代物があるんじゃねーのって……思ったなどと、

さすがのルフィーも口には出しませんでした。




ターミナルは訓練フライトを終えたソルジャーたちで溢れている。


「人がいっぱい!ねぇルフィー、手を降ってるわ🎵  知り合いなんじゃない?」


「💧いるかよ、こんなとこに。」


三人がシャトルから姿を現し、ルフィーの存在を確認すると、ざわめきは歓声となって激しさを増した。


それもそのはず、V隊のルフィー・オリジンといえば、進撃軍のエースストライカーとしてアイドルのように有名であり、かのOS大戦では敵艦艇を数々  討ち果たし生還したトップクラスのアタッカーだ。


訓練兵たちにとっては神にも近い存在だろう。


「おっ!ここの*プラック機はJドッグか。懐かしいぜ🎵」


*練習用戦闘機


使い古されたファイターの群れを眺める。



「久々に乗ってみては?AAAフライトを見れば、みんなもいい勉強になるでしょう。」


所長のオルガ少尉がどこからともなく現れた。


ルフィーたちとそう年の変わらない若い所長はしなやかな肢体をくねらせて、待ちきれずに出迎えにきたようだ。


「オルガ所長💦」



ラディアはあわてて敬礼する。


どうみても内局勤めしかしてなさそうな感じだが、どんな手柄を立てて、センターの所長になんかなれたのか?


それともお偉いさんの*サムか?


*子息のこと


そんなことを考えながら、ジロジロとオルガを見るルフィー。


「 所長みずからの出迎えはありがたいけどよ、俺たちは急いでるから   CANINE 6を頂いたら早々にひきあげる。」


用意されたモービルに乗り込みながら、ルフィーは素っ気なく早口で喋る。


敬礼して見送る訓練兵たち。


動き出すモービルの窓越しからミレイユは微笑んで彼らに手を振った。


(ヤバい、くそ可愛いぜ💦)


ルフィーがそんなことを思いながらミレイユを見つめる。


〝きゃー〟 〝可愛い〟


ミレイユが誰なのかわからないものの、兵士は興奮しているせいか、大喜びで手を降り返す。





オルガはそんな様子に目を向けながら、


「今日は基地全体でちょっとしたパーティーが催されるの。」


「パーティー?」

ルフィーの頭の中は?でいっぱいだ。


「はい🎵   珍しい動物のショーもやるんですよ✨ルフィーさま、見ていってください💦」


「珍しい動物?」

ミレイユが興味を示す。


「見たいのか?お前が見ていきたいなら、オレはそうしたっていいんだぜ  💦」


ラディアがうんうんと大きくうなずく。


ルフィーにとってはそれほど急いでいるというわけではなく、

ミレイユさえ一緒なら、今はどこにいたってよかったのだ。


誰が見ても分かりやすいほど、ルフィーはミレイユに夢中である。


「ううん、だめよ、ユキホが苦しんでるのよ💦早く戻らなきゃ…」


「…だよな…💧…しかし、訓練基地でしゃれたことすんだな。」


あからさまに喜んだ気恥ずかしさを誤魔化すように、どうでもいい事を聞いてみる。



「はい、珍しい品物を運ぶTAM輸送艇が来るのでF11もあるかもです!」


「 えっ、 *キャシャラがくんのか?」


ルフィーは身を乗り出す。


*昔ブラッセルにいたと言われる大きな魚の名前。TAM輸送艇の通称だ。


「 TAM輸送艇を護衛する機動38連隊がここに立ち寄ることになってて… その隊長がイベント好きなの。補給のためとか、なんとか言ってるけど、お目当てがいるからよ。」


眉をひそめてラディアを睨むオルガ。


「…💦」


ラディアはその視線から逃れるように目をパチパチとまばたきさせて首をちぢめる


ふーん、色々あるようだなっと二人を交互に見るルフィー。


「 イーグラさまが優しすぎるから💦 もう! あんな変態のどこがいいのかしら💢💢💨」


「…💦オルガ所長💦あの、お二人に貴候舎で休んで頂いて、パーティーの着替えとかご用意しては。」


ラディアはあわてて、話を戻そうとする。


「ああ、そうよね!じゃ貴候舎へ向かって❗️」


モービルは了解照明だけ静かに照らすと変更した進路をディスプレイに写し出す。


「おいっ💦なに勝手なこといってんだよ。そんな暇ねぇって。」


どうする?居てもいい?と、ミレイユを見るルフィー。

食べちゃだめ、じゃなくて、帰らなきゃだめ、といった表情のミレイユ。

「そんなこといわないで。進軍の英雄が出席してくれたら、パーティーは盛り上がるだろうし、🎵💕」


「そうですとも!どうか、ちょっとだけでも。お願いです、ルフィーさまぁ💦」


少しでも一緒にいたいラディアも必死である。


「しつけぇーな!!(オレだって💦) 」 


オレだって、できることならミレイユと二人でゆっくりしたい!!

キャシャラだって、この目で拝んでおきたい!


ソルジャーの間では、キャシャラを見たら勝利するとか、出世するとか、幸運を招くと噂に名高い輸送艇なのだ。


しかしそんな心の叫びは誰にも届かない。ルフィーは甘い考えを打ち消すように怒鳴る。


「 いいから、早いとこ医務舎だ!薬剤倉庫へ向かえ!」

モービルはまた照明を光らせ、進路変更。


「だいたいなんでオレがDAの集会なんぞ、くだらねぇ💦」


「ルフィーさまぁ~」


「うるせぇな!  だまってすわってろ!」


ボカッ!!


ルフィーがイライラしてシートを殴り付けると、ラディアはビクッと体を震わした。


「やめて!そうやってすぐに乱暴なことするんだから💢  ルフィーの悪いところよ❗️」


ミレイユがキツい視線を向けると面白くなさそうな顔をして、そっぽを向くルフィー。


そこからは皆、余分な無駄口もなく、薬剤庫にいって、手際よくCANINE 6を見つけ手にいれる。


そしてルフィーたちは素早くバセンジーへとかえって行ったのだ。





24◆オブジェたち合流


森に駆け込んだ三人は姿勢を低くして隠れるように身をちぢめる。


「しかし、こんなことしてても捕まるのは時間の問題じゃない?」


「静かにっ、マコト。飛行艇が消えた。すぐ近くにいるかもしれない!」


オブジェはあたりを見回す。


「おれたちエイリアンの食料にされちゃうのかね💦」


とりあえず銃を構えて苦笑いのマコト



「襲ってきたら、カデッチをお見舞いしてやるわ!」

鼻息を荒くして、鬼のスズカ❗️


こんなところに、近づくのは危険すぎるような気がしますが…





レイラとミヨシはエアオートウォーク  SEALDsゴーストに乗って森まで一直線に向かっている。


シュシュシュシュゥゥーーん


名前は立派だけど歩みはノロい。


「鈍すぎだろっ…これの操作方法は?」


パネルを色々さわるものの何か動きが変わったようすはない。


「へんだね💧   誰でも簡単っていってたよ。」


〝アーマーを着ないなら、せめてこれに乗ってください!6 , 7人は余裕で乗れます、ええ、大丈夫です、誰でも簡単です、セット完了、乗ってるだけで着きますよ。これなら相手からもちゃんと見えるので安心でしょう!〟


〝へぇー🎵いいね、便利だね、〟


二人の話ぶりが目に見えるようだとレイラ。


「…💧」




慌てて追いかけてきたミヨシの必死さに、渋々ゴーストに乗ることにしたが、普通に行ったほうが早いんじゃないかという、のんびりさ加減。


「えー💦どうしよう。」


それもそのはず、もともと高官たちの歩行用だ、通常はそんなに速い設定ではない。



「あ、でも、大丈夫!だいたいは音声アシストついてるじゃん🎵  

 えーと、もっと早く!!  ??  

あれ、もっと!早く動いてください!あれ~」


ミヨシはパネルに向かって話しかけるが、ゴーストは、いたって変わりなく進んでゆく。


「…💧はあ。」


レイラはげんなりする。


「えーと、なんで?  …ああ!あーそうか!竜崎さん!あれ、あれだよ」


「?なんだ?」


「だから、あれ!ほら」


「?あれとは?」


「あーとあの、あれ💦」


「あれではわからん、ちゃんと言え!💢」


言いたいのにその言葉がなかなか出てこない。


「あー💦あの、 ほら名前!この子の名前みたいの❗️」


「名前?」


「あ、だからさぁ、コードナンバーみたいな?そういうの言わないと言うこと聞かないとか。」


そんなことが言いたかったのか…



「…ムっ。もういい、降りる。」


「えー、うそ💦 ちょっとまって竜崎さん」


レイラはシールドボードに手をかけると乗り越えて降りようとする。


ピピピピピピーーーーー‼️


警告音が鳴り響き、開いていた天井のシールドが閉まった。


「💢 きさま、なにをする?!」

レイラはギロリとミヨシを睨む。


「💦私じゃない!!私じゃないよ💦  この子が危険を感じてやったんじゃない?多分、目的地に着いたら開くんじゃないかなぁ💧」


「…ふん💨こんな調子じゃ、泉たちどころか獲物も逃げる…。」


「んーだから、なんとか、この子に ぃ!パチパチ     おーい、スピードあげて!  カチカチ、もっと早く!!  非常事態!高速移動!」


と次の瞬間だ!


ガタッン ウウーーゥゥーイイイイイイン!!


変な音と振動がして、シールドの外側から新たなシールドが現れると、しっかり外部とシャットアウト。そして突然、ゴーストは加速し始めた‼️






ブオォーーーーォォォーーー!



「❗️なんか来るぞ。」

荒野を見つめていたオブジェ、目を凝らす。


「なにちょっと!すごい勢いじゃん💦」


マコトはオブジェの盾になるべく前に出るが…


「マコト、邪魔だ! 見えない!」


「…あのさ💧」(。>д<)


「いったい、なによ!💢💢💨」


我慢しきれず、茂みから飛び出すスズカ。


バケモノでなければ恐れることはないようだ❗️


「攻撃してくる気ね💢💢💨  いいわ❗️叩き落としてやるわよ!!」


かなりのスピードで向かってくるゴーストめがけて、スズカの高電圧2GV  超級 電磁波ビームが炸裂した!だがビズラのときより、かなり加減している


ゴゴゴッッガガガァァァーーー!

バリバリバリバリ!!



「うわー~💦なんか攻撃されたぁ💦」


耐久性の高いゴーストだが、ショートして煙を吹き地面に落ちる。ちょうど目的地付近だったので、おあつらえ向きにウイイイーンと開いた。


「…!!」


慌てて飛んできたマコトとオブジェ。 中の二人を見て、目を丸くしている。


「竜崎!  ミヨシっっ!  なにをしてるんだ。💦  」


服を払いながらレイラが出てくる

「ふっ…。それはこっちのセリフだ。帰りは歩きだぞ。」


破壊されたゴーストに目をやる

「  すまない 💧」



「オブジェ~!!助けに来たんだよ~」


ミヨシは嬉しそうにオブジェに駆け寄った。


「ミヨシ、無事でよかった。」

「竜崎さんが一緒にいてくれたから。(#^.^#)」


「そうか。ありがとう!君も怪我はないか?」

オブジェが涼しげな青い瞳でレイラを見つめた。


「//////💦  ない。」

見るな、と言わんばかりに目をそらす。


「なんとエイリアンの正体は竜ちゃんとクソガキ坊主だったとはねぇ。ところで竜ちゃん、もってない?」


ニコニコ近づくと、タバコを持つ仕ぐさをするマコト。レイラは無表情で*ゴールドラインを差し出した。


*煙草の銘柄



「なあに?どういうこと? なんでお前たちが!    なんで!  いつの間に宇宙人の手先になんかなってるのよ❗️河川、ちゃんと説明しなさいよね💢」


スズカはミヨシににじりよる


「なんだよっ!偉そうに!人が助けに来てやったのに、攻撃してきてさ!この子を破壊しといて!」


「はぁー? 助けにきてやったッ ですって?!なにをいってるのよ!あんな勢いで誰が助けとか、思うわけないでしょーが!バカじゃないの?」


「バカとはなんだよっ バカとは!」


キーキーやり合う二人の間にオブジェが入る。


「もう、よさないか💧  二人ともケンカなんかしてる場合じゃない。」



「そうそう」

マコトは煙草の煙をふーっと吐き出す。


「 おまえも、どさくさに紛れて、のんきにタバコなんか吸ってるな。」


「てへ😜まぁまぁ、それより竜ちゃんに色々、話を聞きこうじゃないの!」


ああ、それはそうだとオブジェがうなずく。


トゥトゥプププーー!!

変な音にみんな注目した。

レイラたちのヘッドカムから受信音がしたのだ。


センサーに触れるとエアモニターにハチが写し出され、


『ケファタルトが西南に方向を変えたよ。今、追いかけないと逃げられる、あたいがナビるから、捕まえる準備しな!』


ハチはなんだか張りきっている。


「…話はあとだ。行くぞ!」

レイラはゴーグルを下げる。


「わかった!蜂村さん、ハーバに湖側に回り込んで、待ち伏せするように伝えて!」


『とっくに移動済みさ!』


「さすが! よし💦  ケファタルトを捕まえるぞ!早く、一刻も早くユキヒョウに薬を飲ませなくちゃ!💦」


Mkオートを握りしめ、自分を奮い立たせるミヨシ


「ふっ、お前の腕の見せ所だ。」


レイラは先頭をきって森の奥へと入って行く。


「 💦 なんなのよ、せっかく森を抜けてきたのに、またぁ!ケブ…ケブァブー?  …なんだか知らないけど、そんなのどーでもいいのよっ💦」


「んー、なんか違うと思う💧ねぇ、オブジェ。」


「いいから、早くこい!」


オブジェたちには、なんのことやらさっぱりだが、とにかく二人の後について行くしかなかった。