惑星バセンジー11

25◆防衛軍の思惑

ラクサ基地、管制タワーの一室。巨大スクリーンの前。


ラディアとオルガが神妙な顔で並び、直立している。


その前方には第38連隊 特殊機動艦隊 副艦長イーグラ・ゼア大尉、そして同じく38連隊 特殊機動艦隊 防護部隊 隊長  クーネス准尉がいた。


四人は、偵察機から送られてくるバセンジー星周辺の映像や空域データを眺めている。


「見てみろ!私の思った通りだ!OAのハエどもめ!やはり新星を隠し持ってたぞ❗️ハッハッハッハ❗️」


「なんと、美しい‼️これほど美しい惑星が!まだ、こんな近くにあったとは🎵」


クーネスは宝の山を見つけたかのように得意気に笑い、イーグラは原始惑星の存在に感激し目をうるうるさせるという、なんとも対照的な二人だ。





プッッン  


小モニターが偵察機のパイロットを写し出す


「現在、目標の第3軌道へ接近、しかし、これ以上はピットブルのレーダーエリアに入るので近づけません。破壊しますか?」


手付かずの緑の星にうっとりしていたイーグラの瞳は、司令官の眼差しにかわった。


「いや、下手に警戒されて部隊を増やされても面倒だ。※blackパラサイトをまいて帰還しろ!バイアラ少佐の指示を仰ぎ、全艦で移動、一気に掌握する。」


※惑星間侵略探査Botのこと。敵の基地や惑星内のあらゆる場所の情報を集める。ピットブルはコロホニウムのblackパラサイトを感知しないため、レーダー網に引っ掛かることなく通り抜ける。



「はっ!了解」


敬礼し、パイロットが消えると、不服そうなクーネスが振り返る


「イーグラ、わざわざバイアラの言うことなんぞ聞いていたら惑星奪還がいつになるやらわからんぞ!私の部隊が到着次第、決行だ!」


「そんな勝手なことができるとおもうか!」


「できるだろう!この私の機転がなかったら、見つかるはずもなかった惑星だ、ましてや、どんな状態かもわからん、まずは進軍のコソ泥どもを蹴散らして、惑星のレベルを把握してから、総局に報告すればよい!」


「なんと?直属の上官を無視して総局に伝えるのか?💦」


「あたりまえだ。バイアラが何をしてくれると言うのだ?いいか?イーグラ、そんなことだから、お前は出世が遅いのだ。ネーム持ちのくせに、もう少し、しっかりしろ。」


クーネスは元進撃軍、突撃部隊のソルジャーだった。ルフィーと同じく※ケアドーム生まれだが、OS大戦は勿論、あらゆる処で上手に手柄を立て今やDAの機動防護隊隊長を務めるまでに至る


※兵士量産施設



「   クーネス💦 軍規軍律違反だぞ!」


「何を言うか!その規律を無視し、惑星の通達をせず、なおかつその惑星を固持するOAのゴミどもを即刻始末せねば!  また資源を根こそぎやられる!防衛軍の権威が損なわれる事態だ‼️」


「確かに。進軍の傲慢なやり方は改善させる必要はあるが。」


「まあどちらにしても、部隊が来なくては話しにもならん、ひと休みだ🎵  さぁラディア、こい💕」


「あっ💦」


「長旅の疲れを癒せ、お前のマッサージが恋しかったのだ(о´∀`о)」 


クーネスはラディアの肩を抱き寄せる。それを見て、顔をひきつらせるイーグラ


「 クーネス💨  まだ大事な話は終わっていない💦  

さぁ💢💢もう、お前たちはいいから早くいけっ 」


イーグラはオルガに目をやる。


「まだ他に何の話だ…💧」

露骨にめんどくさそうな顔をするクーネス。




「   ではっっ💦   私たちは失礼致します❗️」


オルガはラディアを引っ張って挨拶もそこそこに慌てて出て行く。


通路をしょんぼりと歩くラディア


「…なんだか、大変なことになってしまいました(*T^T)」


「本当よ!おまえが変態に余計なこと言うから!」


そうラディアはルフィーたちが薬剤庫にいる間、クーネスに連絡し

F11のことを聞いたのだ。

もし、F11が輸送挺の積み荷にあるか、その所在が解れば、ルフィーを少しでも足止めできるかもしれないと考えたからだ。



「  まさか新星権争奪が絡んでるなんて思いもしませんでした( ;∀;)」


「  今考えたら、妙に急いでたし変と言えば変だったわよね。でもうちはOAの※人育からも助成金入ってるし、争い事には関与したくないわ~。発信器付けられておよがされたなんて、あのルフィーが知ったらっ!どんなに怒り狂うことか-w」


※人民育養統制管理局のこと。


ラディアはすっかり青ざめる

「…💦(。>д<)こわいです。」

26◆ケファタルトとゼブー

巨大な体に、頭はトカゲ、ばかでかい羽を持ち、恐竜のような鱗足に大きく鋭い爪がはえた足。

それは立派なバケモノだった。


「ミヨシ!今だ!撃て!」


ケファタルトの群れをサイドから追いたてるレイラ。


少しでもミヨシにやらせてやろうと言う心遣いか…


「…っ!!」


ミヨシは狙いを定めるがホロスコープから目を離す


(親子?子連れの群れ?えーそんな!どっちをやればいいんだ!)


ギョゴゴゴゴゴーー!!

ギャギャアア~ーーーー!!


半狂乱のケファタルトは右往左往している!


「ミヨシ!!」


固まっているミヨシを見かねて、オブジェはイレクトバーを振り回し、ケファタルトの注意を引く


ザザザザ~ーー

ギギギイィギョーォーオ!!


怒りを剥き出しにしてケファタルトは襲いかかってきた!


ミヨシは動かない。


子供を捕まえれば母親が悲しむ、母親を捕まえれば、子供が飢える…かもしれない。


「…!( ̄□ ̄;)」


マコトはミヨシからMkオートを奪い取ると、ちょっとまごつきながらも連中に向かって撃ちまくる‼️


プシューーーン、プシューーーン


コムディアファイバーがケファタルトたちの自由を次々と奪っていく。


「ちょっと!黒木さん、なにすんだよっ」


「…(;゚Д゚)そりゃお宅が石のように動かないからさぁ」


「だって!子供だったじゃないか?!」


悲痛な声で訴えるミヨシにマコトは思いっきり、変顔で切り抜けようとする。


「 (`Δ´)マコト、ふざけてないで、すごし気遣いを持て!」

ギロッと睨むオブジェ。


「えーおれ?」泣

自分を指差し八の字眉毛



「そんな選りごのみしてる場合じゃないでしょ!どれも同じよ!」


スズカはさりげなく、マコトの肩を持つ。


ケファタルトたちは回収され、※フラッシュピットから、ルフィーの艦艇に移送されていく。


※移動装置


子供か、大人か、と迷ったまま、逃がしていたらユキホは助けられない…

言い返しようのない現状に、ブスッ垂れた顔のミヨシ。


「…。」(-_-)


「……。次のを追うぞ。」


レイラはハチのよこすターゲットを確認する。


「ここには、奇妙なバケモノしかいないわね(;゚Д゚)」

普通の動物とかいないわけ?


感心しながら、エアウィンドウに写し出されたパレポロスやハレコーンを眺めるスズカたち。


「こいつがユキヒョウを刺したんだよ!」


こいつなら全然殺せる!と憎々しげに言うミヨシ。


いつの間に、あのバーサーカー冬野と、そんなに仲良くなったんだ?と不思議に思う征弄組。


そのとき、ガサガサっと茂みが揺れて、


ブゴブゴォォォォー

小型の獣が突進してきた!


黒面貘か、イノブタか、

いやゼブーが現れた。


しゅゅゅーーしゅるるるるーん


「あー、ビックリした!」


とっさに持っていたMKを発射して捕まえてしまったミヨシ。


グゴォーと暴れてはいるが、迫力に欠ける。


「なんだか、こいつは他のと比べると、ちゃちいやつだね。」


「ふーちゃんの言う、ここの食物連鎖の底辺にいる生き物じゃない?」


「ブヒブヒ!」

冷たく見下ろすスズカに物言いたげなゼブー。


「ブタに似てるし、食べたら旨いかもよぉ♪」


「いやだぁ、臭そう!だいいち、こんなの料理できるの?」


「あー、知らないね(^^)d 

密林の臭肉で有名なアカガオヨナキザルだって、俺にかかれば、夢みるふんわりジューシーソテーに早変り!」


「えー!ほんと?なんか、美味しそう!」

ああゼブーは、マコトとスズカに夕飯にされてしまうんでしょうか…


「ぶぶひっ!」汗


「放してやろう!無用な捕獲はよくない。」


オブジェは気の毒そうにゼブーをみる。


「うん、そうだよね、間違って捕まえちゃっただけだし。」


ミヨシがピコルスをかざして近づくと、ゼブーは威嚇して頭を屈め、背中の針毛《しんもう》をとばしてきた!


「危ない!」


マコトはとっさにミヨシとオブジェを突飛ばし、自分が針毛《しんもう》の的になる!


「!」

ぶほほほおおおォォォォーー!


針の矢はレイラのサイコフレイが焼き払い、


ビキーー!バチバチバチバチ!

「この底辺め!」


スズカのカデッチはゼブーを直撃、感電死させた。


あっけないゼブー、下手な抵抗が自分から晩飯になってしまう結果となった。


「 何も殺さなくても!」


ミヨシは地面に転げたままで、スズカを睨む。


「は?バカなこといいなさんなよ!襲われたのよ!」


確かに、あのとげとげがオブジェに刺さっていたら…と思うとゾッとする。

またもや言い返す言葉もなく、ブスッ垂れるミヨシ。


「うーん、仕方ないから、ちゃんと食べて成仏させよう!ハッハッハ」


山ざるのようなやつだな…とマコトをみるレイラ。

「行くぞ!」


「絶対、食べないから!」

ふん!と怒りながらレイラの後に続く。


「まったく、お前は人の神経を逆撫ですることしか言わないな。」

あきれ果てるオブジェ。


「あれぇ、( 。゚Д゚。)ダメな感じ?クソガキ坊主ちゃん、難しいお年頃。」


「私は食べてもいいわよ!」


うふふっと、どんどんたくましくなるスズカです。