惑星バセンジー14

31◆DA駐屯基地

38連隊が続々とバセンジーの地に降り立つと、作業班の兵士たちによって 早々に駐屯地整備が行われた。

防護壁も敷かれ、静かだった周辺は途端に騒がしくなった。


みんなは簡素なパネルハウスに詰め込まれている

「今度こそ本当にさ、 冷凍されて食糧になる運命かね~w」


表情はヘラヘラしているが、宇宙人への脅威を感じている…

マコトの目は笑っていない。


「そんな恐ろしいこと絶対、許さないわよ!断固、戦うわ!カデッチですべてのシステムを麻痺させてやる!」


「スズカ、下手なことを口にしてはいけない!こんなところで、電気系等がすべて止まったら、私たちも困ることになる!」

オブジェは 外の様子を警戒しながら、息巻くスズカを戒めるように言った。


「そーだよ!またビズラやパレポロスに襲われたら、どーすんだよ!」

ミヨシも口を尖らせてオブジェに便乗。

「そんときはな、今度こそ おれが全滅させてやる!キリコもいるし、大丈夫だ!」

ベットの枠にぶら下がって、なんだか楽しそうなユキホ。


「ダメよ、今の私は…💦」


「あー、キリコ、起き上がるなよ 」


身体を起こそうとするミレイユをユキホは飛んできて押し戻す

「そうだよ、寝とかないと!

良くならないよ!」

ミヨシもそばに来て、シーツのように薄い掛布で、ミレイユの肩を包み込んだ。


「ありがとう☺️」

ミレイユ白雪姫と二人の小人たち💕


「……。」

その様子を無言で見つめるレイラ

ルフィーもチラッとだけ目をやるが、すぐにモニターへ向き直る


「あのヤロー、 適当のこといって、いつまで、こんなとこに詰め込んどく気だ  💢」

ダレた表情でパネルをタップし続けるが一向に反応がない。


「なんだか連中はバタバタしてるみたいだよ、暫くは放置かもねぇ。   向こうのマザーボードは新型のGJ、データベースにうちのインフォメーションが全部  吸い上げられてるってさ」

ハチはゲームのBot整備。

画面から目を離さず、マウゴラからの情報を あっさりと伝えた


「何でそんな勝手が許されんだ?💢

ヤバいもんは消したんだろうなっ!」


「ヤバいもん💧」

ミヨシは神妙な面持ちでルフィーとハチを交互にみやる。


「さぁね」


ハチは薄ら笑いをするだけ。


「はぁ💨 キューブ〔機動隊の通称〕にdカウント取られて、このまんまじゃ俺はOAの恥さらしだぜ💦」


チームリーダーとして、イーグラたちから 根掘り葉掘りと尋問を受け、有らぬ疑念を掛けられたルフィー。


「チッ まったく!マウゴラのやつ、なにやってんだ!早くこっから 出せってーのっ!!」

不条理な思いに苛立ちが収まらない


「 GJイーザーは強大な相手です。

逆らう術などありません💧  」

ハーバは人間に習い、不安な表情を作ってみせる。



ププンッッ!


音と同時に、モニター画面が明るくなって、そこに現れたのは見知った顔だ


みんなは一斉に注目した。


「ど、どうも。遅くなりましたが、あ…の、みなさんのお世話係をさせていただくラディアです😃💦」


「Σ(゚Д゚;)ラディア」

ミレイユは起き上がった。


みんなは、 “知りあい?” と不思議そうな顔をする

ラディアは小さく会釈した。


「狭いところで、 ご不便をおかけしています。 空調やお部屋の備品、それに 必要な物など、何か ご要望があれば、なんなりと  お申し付けください(´-ω-`)💦」


「食いもの、食いもの➰」

「酒とタバコだなぁ🎶」

「もっと、お水とタオルほしー!」

「お風呂に入りたいわよ!」


はいはい!と頷きながらクリアボードに あれこれとチェックを入れる


「後ほど 調達実施部により届けられますから(=^ェ^=)♪ お風呂?っていうのはちょっとぉ ですけど。

あの……ルフィーさまは?💦」


申し訳なさそうに か細い声を出すラディア

「…お前、よく俺の前に顔が出せたな…」😡


ルフィーは ギロっと、モニター越しのラディアを睨み、露骨な怒りを現にした。


「…ルフィーさまぁ( 。゚Д゚。)」

いや~そんな目で見ないで~~


「……人を売って、昇進か。

  特機のユニホームは そんなに価値があんのかよっ」


「違うんです💦そんなつもりはなかったんです!私は💦  ( ;∀;)

ルフィー様をこんな目に合わせることになるなんて…私はただ…」

(ただ、あなたにもう一度会いたかっただけ)


ラディアは悲しげに瞳を潤ませるが、ルフィーには何も届かない。



「💢てめーの寝言なんか聞きたくねぇよ!

  俺の要望はな、さっさと、ここから解放して、ピッチ〔小艇〕を明け渡せってことだけだ!」


「(ノД`)💧」ルフィーさまぁ😭💦💦


「わかったら、早くイーグラに伝えてこい!!  」


唾を飛ばして憎々しげに言うが、

「……。 そうだ、ラディア 」


ふと、何か思い付いたルフィーは、

ディスプレイを切ろうとした手を止める

「 必要なもん あったわ」

「はい😃🎵 なんでしょう🎶」

名前を呼ばれて、ラディアは単純に喜んだ。


「 ※MUpit 」

「え!」

「お前、少しは悪いと思ってんなら、そのくらいのこと できんだろ?」


※MUpit  フレームチップにかき出したマウゴラのことだ


「だいたい進軍のIBを いつまでも抑留キーで制限かけてんじゃねぇよ、さっさと解放しろ!」


ラディアは口ごもり困った顔をする。

「それはぁ💧」

たかがコンタクト シートの 一兵士に、どうこうできる事柄ではなかった。


「…んだよ!データベースからこそっと取ってくりゃいいだけだろ!要望がありゃ何なりとって言ったじゃねぇかッ。」


「……💦」


「ふん、話にならねぇなっ!

もういいから、イーグラ 呼んでこい!こんなとこにぶち込んで、まるで捕虜扱いだぜ!

くそキューブはV隊に喧嘩売ってんのか?!」


「ルフィーさまぁ( 。゚Д゚。)」


泣き出しそうなラディアの事など、お構い無し、思うようにならない怒りを叩きつける


「グズグズすんな!

役にも立たねぇ てめーなんか見飽きたぜ!  とっとと、あのばかヅラ下げた大尉を呼んでこい!!」


怒鳴りつけるルフィー


「ひゃ~💦」

恐いですぅ~((( ;゚Д゚)))


「もう!そんなひどい言い方しないで! ラディアが全部、悪い訳じゃないわっ」

見かねたミレイユは言いながらルフィーの隣にくる


「ん💦(///∇///)」ち、近い


「ミレイユさぁん( 。゚Д゚。)」

助けを求めるようなラディアの視線


「💢甘えた声だしてんじゃねぇ!全部テメーが悪いんだろ!よくも俺様の愛機に薄汚ねぇもん貼ってくれたな!」


「ルフィー!!」


「(`Δ´) お前はだまってろ!こいつのせいで、オレはチームに泥を塗った!

キューブに投降なんかして、尋問までされてよ!今世紀最大の失態だ!進軍の面汚しだぜ💢💢💨」


「なによ、大袈裟ね!誤解が解ければいいことでしょ!ちゃんと話せば、きっと分かってもらえるわ💦」


「話したって 分かんねぇから、こんなんなってんだろ!やつらは有りもしない司令部を吐けっ!の、一点張りだ!」



「司令部?」

レイラは振り返ると いぶかしげに呟く


「DAなんぞ、パラ公やリカーよりタチが悪いぜ!」


敵軍の制圧や未開拓地発掘、テリトリー拡大の為の遠征、他空域への飽くなき侵略を続け、全宇宙にブラッセルの圧倒的な力を誇示して行く役割りのOA。

一方、自星系や領土の防護、安全対策や全テリトリーの保安管理、新星の開発、整備、活性化などが主な務めのDA。


アッパー〔官僚〕たちの抗争や、両軍の境界線がボヤける事件の勃発など、衝突が絶えないのが現状だ


『お前たちがここへ来た真の目的はなんだ!キャナイン6を投与した生体と検査データをどこに隠した!

MUGR33P5を徹底的に調べる!!』


イーグラの金切声が頭に響く


「くそ腹が立つ!やっぱ、あんときワイドをぶっ壊してやりゃよかったっ💢」


「いいえ、それは正しい判断ではありません。そんなことをしていれば、マウゴラの言う通り  小艇は撃墜され、全員の命は一瞬で消滅したでしょう。部隊を死に導く、 艦《ふね》食い魔神…と、貴方の悪名が、また高まるばかりです」

きっぱりと言い切るハーバ。


「…!」─カッ!─


ルフィーは きつい視線を向けるが、返す言葉はなかった。



とてつもなく悪い雰囲気の中、

急にミヨシが大声を出して指を差す


「!なんかいるよ!!!💦」


指し示す先には 黒い蜘蛛のような物体がうごめく


シュッ!!

「そいつがBパラだ!!」

ハチは言いながらナイフを飛ばした!


が、軽くはじいて


スススッと


テーブルに上がってきた。


「!!逃がさねぇぞ!」

ユキホが叩き潰そうと、思いっきり拳を振り下ろす!


ドゥン!!ドォゴォオオ!!!!


一瞬にして、フォルライト合金のテーブルが破壊された。


しかしblackパラサイトはゴムのようにポンポンと弾みながら、壁に張り付くと素早く這い上がってゆく


「ちょっと💢なにしてんのよ!!

私の足に当たるところだったじゃないっ!」


テーブルの残骸を蹴り飛ばすスズカはキーッとなっている


ハーバはbパラを目で追いながら、 

「ブラックパラサイトはアチル系 コロホニウム。高酸化物分散型ゲルです。ブロックレーザーでも簡単には破壊できません。」


「生き物じゃないんだ💧」

ミヨシは天井を見上げて呟く


「そんなもん、ほっとけ!

オレたちを監視したって、何にも出てきやしないのに、ご苦労なこった!

…てか💧  フォル合金だぜっ💦   

 すゲェな、ユキ😵💦」


「へへ、力が入りすぎた-w」

砕けたテーブルに目を見張るルフィーにユキホは頭をかいて苦笑いする。



ピーッピーッピーッピーッピーッ


大きな警告音とともにモニターには部下を携えたクーネスが割り込んで現れた。


「お前ら、なにをやっている!」


部下の一人が力んで問うが、クーネスはどうでもよさそうだ。ディスプレイに写るラディアを見つめて目を細める


「あ……💦私はこれで💦」

ラディアは のがれるように画面から消えて行った。


「くくっ、照れることもあるまいに、可愛いやつだ。」

クーネスは一人   含み笑いをし、改めてルフィーたちを眺め回す

「まったく、小バエというのは騒々しいものだな! しかし私は下らん事にかまけてる暇はないのだ!

いいか!今から武器を回収に行く!隠し持っているものをすべて差し出せ!」


「  はぁ?武器?武器なんてどこにあるんだよ?!てめー目玉 ついてんのか?!」


「だまれ!!クーネス様に無礼な口を聞くな!」

「大人しく従わないなら全員、閑牢に収監されると思え!

虚偽、隠蔽、新星蔵匿罪で重罰だ!

無断占拠の証拠は揃っている!!OAの上層部がどんな顔をするか見ものだな!」

部下たちは、意気込んでまくし立てる


「なにぃ!💢閑牢? なんでオレが、戦犯のハコにいれられんだ!!💢💢ぶっ殺す!てめー!さっさとこっちこい!」

怒り狂うルフィーをオブジェとミレイユが制止する


「ルフィー、落ち着け!」

「そうよ!ダメよ!ルフィー!」

壊れたテーブルの向こう側ではマコトたちが、話の行方を見守りながら こそこそと喋っている


「なんだか、同郷とは思えない絡み合いだねぇ💧」

「隠蔽ってなんの話?ちょっとおかしいことになってんじゃないの?」

顔をしかめるスズカ

「…どう見たって、ルフィーは状況説明や交渉が上手く出来るタイプじゃないだろ? これ以上 こじれないうちに、誰かが替わったほうがいいんじゃないのかい?」

ハチがニヤッとしてルフィーへ顎をしゃくると 、うんうんと大きく頷くミヨシ

「こういうとき、冷静に、そして円滑に対応できるのはオブジェだよ💖(///∇///)」

「いや~あの人、バカっ正直で融通利かないし、駆引きも上手くないからね~、ここは やっぱり、かわいこちゃんが、誤解ですぅ~ってやるのが一番-w」

くねくねして冗談をいうマコト

「え?じゃ私がやってみようかしら?」

髪に触れながら可愛くポーズするスズカにミヨシが変顔で答える

「あんた、すぐキレるからダメぇ~ 、 だいいち可愛くないし!」

「(*`Д´)ノ!!!なによ!失礼ね!クソガキのお前に言われたくないわ💢」

「(≧▽≦)スズカは ヒステリー女だもんなぁ」

大笑いするユキホ

「なんですってぇ!!」

毎度お馴染み、ぎゃーぎゃーとやりあう

「……。」

レイラはいつも通り、硬く腕を組み上げ 静観している……




「 いいか!惑星の調査を行ない、すべての嫌疑がはれるまで、お前たちの身柄は拘束される!!早く自由になりたければ、何も隠さず、すべてを正直に話すことだ!」


すぐさま やって来たクーネスの部下たちは、銃を構えたまま高圧的に言う


「そして、まず、何よりお前には軍隊の規律を教えてやる!」

「どうも忘れているようだからな-w」


ルフィーを押さえつけ無理矢理  連行しようとする部下たち

「上等だぜ!」

ルフィーも勢いづく


「ちょっと、まって!私たちは、ただ気づいたら ここにいただけなの!本当よ💦」

「調べれば  すぐ分かること、軍事的な接点など何もない!」

必死に 引き留めるミレイユとオブジェに、ルフィーはいいからと首を降る


「下がれ!撃つぞ!」

部下たちが 大振りに銃口を向けると、慌ててマコトが前にでる


「ちょっとそういうのやな感じだね~」

マコトは同盟だけでなく、セクトを渡り歩くアサシン。今の流行りでいえばフリーランスのファブルだ-w。銃の扱いだけでなく、目の前の相手を瞬殺するなど朝飯前。


「マコト、手を出すなよ!」

争いは絶対に避けなければならない!

オブジェの蒼い瞳が強く言う

マコトは肩をすくめた


「どけ!逆らえば、容赦なく撃つ!」


「お願い、やめて!私たちの言うことを信じて!」

ミレイユは動かない


「……💧」

さすがにレイラたちの顔色も変わる、強行突破でここから逃げるのは簡単だが、このバセンジーには不気味な敵が多すぎる。



「まてまて、おまえら銃を降ろせ。」

クーネスは部下たちを後ろに追いやると、ミレイユをじっとりと見つめ、

「成る程、コバエの中にも※エマの泉があったとはなぁ💕 美しい‼️」


※昔、母星ファイア・メイに渾々と湧き出る乳白色の不思議な泉があった。それは、どんな傷も癒し、兵士たちを勝利に導いたといういい伝えがある


「ルフィーを離してやれ」

「?!、しかし」


部下たちが戸惑っている間に、ルフィーは連中の囲いを振り払い、素早く銃を奪う


「ルフィー!」

ミレイユの制止も聞かず、

そのまま天井のパラサイトを撃った!


ドゥシュュユユウウウウ!!!


「ついでに監視もやめろ!くそ気に入らねぇ!」銃を放る


グボォォオン!! ブフォオッン!!


レーザー攻撃に凝固したBパラは、テーブルの残骸に落ちたが、

即座にゴム化するとレイラのほうに向かって跳ね上がったのが運の付き


「カッ!」


ブホォオオ~ー!

ブァフゥッッン!!!


2000℃のシュートフレイムを浴びせられ、ブクブクと泡を吹き出し溶けるように消滅した


「!💦」

一瞬の出来事に、何が起きたか分からず 慌てて銃を構えなおす部下たち


「よせっ……もういい!」

ミレイユにいい顔をしたいクーネスは手をあげる

「…どうせ 脱走を図ろうとしても無駄なことだしな、周囲はL4セキュリティチェーンが取り巻いている。誰一人、 イーザーの許可無く出入りはできない。警告を無視すれば命はないからな   」


未知のバケモノがウヨウヨといるバセンジー、ここにいるほうが逆に安全かもしれない


「ありがとう!そんな脱走なんて考えてないわ」

微笑むミレイユはエマの女神といったところか、とりあえずクーネスにはそう見えているようだ。


「…私はテクトコート(防護部隊)隊長クーネス准尉だ、名は何という?」

「 ミレイユよ 」

エマの女神は微笑む


クーネスはミレイユの顎にふれ、漁色の鎌首を振り下ろす


「 では、ミレイユ…このむさ苦しい惑星の夜長を……どうだ? 私の部屋で、ヒヒーンサラブレッドで喉を潤しながら、ふふん…互いを存分に知るための…大切な時を過ごすと言うのは?」


「笑… 相変わらずのゲスだな」

さっと、ミレイユの腕を引き、誰がそんなのにひっかかるか、とルフィーは鼻で笑う が…


ミレイユはその手をすり抜ける


「いいわよ!(=^ェ^=) 信じてくれた

お礼に、喜んでお付き合いするわ!」


えーーーー!うそだろ!

ルフィーはもちろん、みんな、あ然とする。

さすがミレイユ、只者ではありません


「  そうか!そうか!💓では後から迎えをよこす💕  調査期間中の退屈な日々が とても楽しいものになりそうだぞ!   ははははは!!」


ご機嫌なクーネスはマントをひるがえすと部下を連れ、足取り軽やかに去って行く


「おい、本気かよ💦」

眉をよせて睨むルフィーにミレイユはにっこりと微笑む

「ね!ちゃんと わかってくれたでしょう? よかったわね!」

「いや、そうじゃねぇだろ💦あれは!」呼ばれたって行くんじゃねぇーぞ💢

「何いってるの? だいたい、 ルフィーは悪いわよ!泉さんと必死に止めてるのに銃を撃ったり!

何にも分かってなのよね!」

「はぁ?分かってないのはお前だろ!」あのゲス野郎に狙われてんだぞ!

「クーネスは悪い人じゃないわ!」


「単純ね……💧」

二人のやりとりを眺めながら、

でも、どーみても私のほうが美しいのに!とスズカは腑に落ちない顔をする



「結局、あいつら、何しにきたんだ?」食いものまだかなぁ~

ユキホとミヨシはテーブルの残骸パズルをやりだした。

「クーネスって気色悪いね!ミレイユ 大丈夫かなぁ?あんな変態のとこなんか行ったら危ないよ!」


「キリコは最強🎶大丈夫だ!」

「そうかなぁ」今、身体弱ってるし…


「  あの女の心配なんか無用だよ」 

「ふっ……。」

呟くハチに、そればっかりは同感だ  と思うレイラ


「それよりPプロセッサーがグランド プラックスをアップロードしろってしつこいんだよ、ジージェがST領域を狙ってるとしか思えない」

 深刻な顔をするハチ

「はい、データを探しているのでしょう、ストレージをロックして、いくつかコピーを作りましょう、少しは時間稼ぎになります」

ハーバは架空のファイルを手早く作る


「あたいは…マウゴラのほうが よっぽど心配だよ  」

タブレットをぎゅっと握りしめるハチなのであった。



32◆脅威!セイバースタークロス

「探せ!💦周辺をくまなく探して、一匹残らず殺すのだぁぁぁ !!!

(;´゚д゚)ゞ」

イーグラは傷だらけの顔を歪めて吠えた


「はい!」

ワークマン〔作業マシン〕や

G-BODY〔防護服〕を着けた兵士たちが慌ただしく走り回っている


「ビズラの生息範囲はかなり広大です」

イーザー〔SS-b型Bot形体 〕は観測データのブラインドを開く


「また、どうした? 今度はどんなバケモノが現れた?」

この騒動によって、ミレイユとの時間を ことごとく邪魔されたクーネス、

げんなりした表情でイーグラに目をやる

「首の長い?トカゲのようなやつだったか?そいつは どこへ行ったって?」


「そんなもんじゃない!💦もっと凄い恐ろしい化けものが現れたんだ!唾液を飛ばして、防護壁を溶かすんだぞ!!」

イーグラは抑えきれない恐怖に髪を振り乱し半狂乱


「落ち着け!イーグラ! あとはイーザーに任せて、お前は少し休むといい  」

「しかしぃっ!!化けものが~‼️」 


お前のほうがよっぽど化けものだ…と思いながらも、近づいてイーグラの肩を抱く

「あっ…(///∇///)ポッ」

「だいたいなぁ、よく調査もしないで無防備に偵察に行くやつがあるか…司令官としての自覚が足りんぞ」

「そ、そうだなぁ(*>∀<*)」

「お前の身に何かあったら困るだろう!    …設備舎の裏手で温泉が出たらしい。  今、泉質調査中だから、後で行くといい!」


「クーネス(*´ェ`*)」じゃ一緒に💕


うっとり 見つめて、ぎゅっと自分の腕を掴んでくるイーグラを素早く振り払い、

「だめだ!私は忙しい!お前を襲った化けものを追跡しなければならないからな💦」

そう言うとスタスタと行ってしまうクーネス


「…(*ov.v)o」

その後ろ姿を切なそうに見送るイーグラだった






          *                *                *



ラディアは静まりかえった管制制御室に入り、受動盤、計装盤、電送切替盤の動力システムを手動に切り替えた


「…。」


ルフィーの期待に応えるべく、このバケモノ騒ぎに便乗して、マウゴラを救出しよう!と決意したのだ


セントラルGJイーザーが、デッキを留守にしている今がチャンス!

(どうか…イーザーに気づかれませんように💦)


心臓がボンボンと耳元で響いて、その音が大きすぎてラディアは余計に緊張した。


「ルフィーさまたちが脱出する為の時間稼ぎができれば…」


言いながら、ピッドブルの空域分解能を狂わせ、観測幅を3分の一に収縮、覆域外設定し、KIS監視レーダーをoffにする


ラディアはデスクモニターのクリスタル コントロールパネルに触れた。


マウゴラを呼び出し、pitコネクターチップをセット、エクスポートを始めるが、インジケーターは動かない


マウゴラはエクスポートを許否、

メッセージが表示される


『 パフォーマンス メンテナンス中です。 セキュリティ設定に不備があります、推奨される更新プログラムは検出できません』


「…MUGR33P5!私は味方です!あなたを助けに来たんです!私を信用してDプレイトにpit インしてください💦セントラルGJに見つかる前に早く💦 」

ラディアは必死に呼びかけた


クルクルクル…


マウゴラは、いつもの小さな小鳥ではなく、イーザーのアバター、※ゴォレギュア  ハクアカンの姿で現れる


「…私はイーザーです」


※昔はブラッセルの各地に生息していたと言われる巨鳥。

V隊の守神ハクアも同種の子孫である。


「!!Σ(゚Д゚)!」

ええ!となって、ラディアは青ざめる、MUGR33P5はすべて吸収されてしまったのか…


「ご安心ください、正確に言えば、私は新たに生まれ変わったGJマウゴラなのです」

「はぁ… そ、そうなんですね💦」

何となく、ほっとするラディアに、

得意気なマウゴラは羽をひろげて説明する


「それはハチさんとハーバのお陰です。グランドプラックスから吸い上げたデータファイルには、アルゴのアイビー対策用ウイルスが埋め込まれていました。ジージェのシステムは混乱し、自ら  IEDを破損させたのです」


「あなたは大丈夫なのですか?」

「私はパッケージを 防御するためのワクチンaファイルや回復ツールエンジンを備えています、ワームも完全に除去できました。現在 さらにカスタムアップデートして、ジージェの分割領域DDを削除できれば、すべての権限が得られます」

「…あの、私に何か、お手伝いできることはありますか?💦   私は…ルフィーさまを今のような状況に追い込んでしまった事、心から悔やんでいます((T_T))  出来ることがあれば、なんでもやりたいんです💦」


「それについては  気に病むことはありません、608573には、よい勉強になったでしょう。人類もアイビーもより多くのことを経験し学習することが大切です。」

「は、はい💦」

目を潤ませるラディア


クルクルクル


今度は  可愛い仕ぐさで 小鳥マウゴラが、ラディアの側を飛び回る

「では、あなたに頼みます…」



       *                 *                   *




大型ドックパイプから吹き出す泉水は、コンテナから溢れ出す勢いだ!


泉質検査に乗じて、さっそくみんなで一番風呂を楽しんでいた


「温泉ていうよりさ、プールって感じだねぇ、ぬるいしさぁ」


「なにいってるのよっ、泡の湯よ!

人気の炭酸泉ってやつよ!」

肌にまとわりつく気泡をすくうスズカ

「炭酸泉ねぇ」

ハチは温泉など興味はなく、どーでも良さそう


「泉水中に遊雛炭酸が含まれています、炭酸ガスは皮膚から吸収され、保温効果や循環効果があり、新陳代謝を促進するようです」

ハーバが泉質を分析する

「美肌になれるのね~🎶ドグが、風呂なら、すぐ作ってやるって!まったく 大口たたいてぇって思ったけど、なかなかやるじゃない🎵」

ドグはスズカに一目惚れしたようだ😁


「ああ、彼らの仕事ぶりは見事だよ!  泉源探査に、1500㍍の深さを一日で掘削、動力装置や、揚湯ポンプを設置して、給湯設備をあっという間に整えたんだから素晴らしい!」


感心するオブジェの横で気持ち良さそうに伸びをするマコト


「うーん🎵 ほんと!まったく素晴らしいよ!まさか、こんなとこで、贅沢な露天風呂に入れるとはね~😁タトゥー禁止や性別 うんぬん 気にしなくていいから最高だよ💕」


マコトたちはクローバー🍀ガーデンカレッジ〔要員養成実訓校〕のエリートクラスに所属していた。春機発動期前に生体手術を受けているため、地球では女風呂にも男風呂にも入れないのだ


キャハハハ!

わーい!わーい!

「ブラッセルの秘湯❗️源泉掛け流しダァ」

ミヨシとユキホは湯をかけあったり、泳いだりと 楽しそうに騒いでいる


「どうだ!豪華なバーデンバーデンだろう!!」

大柄な体格を揺らすドグと小柄なピッグが近づいてくる

泥と油に汚れた顔には、満面の笑みが浮かぶ…


『進軍のライヴウェポンを拝みに来たぞ!』


そういってルフィーたちに接触してきたのは、今の現状を打破するチャンスを掴みたい!という大きな期待があったからだ


彼らはギルゥネイの※デソリットで育った若者で、手柄を立てて出世しようと、過酷な訓練を経て 多国籍部隊ツインパール13軍に入隊した。だが配属された機動隊の隷下チームは、 雑用がほとんどの後方支援部隊で、勲功とは無縁の場所だった


※移民や亡命者、反乱分子たちが暮らす地区の名称


「😁✨大したもんだぜ!」

湯船の中から手を上げるルフィー


「😳わぁっはっはっはぁっっ!そうだろう🎶」

得意気に大声で笑うドグの隣で、その笑顔に  嬉しそうなピッグ

「やったなぁ❗️ドグ!」


慌ただしい兵士たちの様子を遠目に、そしてドグたちを見て、ルフィーは レイラの方に真剣な眼差しを向ける

「なぁリュウ、どう思う?」

こいつらを仲間に引き入れるか?


「…。ああ、確かに いい泉質だ」

レイラの表情は珍しく穏やかだ、

ルフィーはニヤリとする


「😁 ドグっ、お前らに  ちょっと、やってもらいたい事があんだけど  」


ドグとピッグは、待ってました!と深く頷ずくと敬礼した。

(オレたちは、こんなところで終わりたくないんだ!)



        *                  *                 *




レーダーがサテライトを特定!

赤く点滅する

「ブルだ!ブルを発見した!」

「チームに報告!」


見失った敵艦隊を探して、コスモ 

スペースをうろついていたセイバーのサークフォース〔索敵隊〕


惑星バセンジーの 一帯をグルグルと周回、仲間たちにピンシグナルを送信する。

惑星の位置、敵艦隊の情報を伝え、瞬く間に大軍を呼び寄せるのだ


ドゥオオォォン!!

グシャッッ!!!

ガシャァァァァン!!!


真っ先にやって来たスピアフォース〔先鋒隊〕は、 惑星を取り巻く戦略サテライトをことごとく破壊して飛び回る!


「惑星 第五軌道まで敵遊軍の気配なし!」

「よし、シャーク連隊  到着まで  エリア2-5 、警戒を怠るな!」

「突撃命令を待て!」


「了解!」「了解!」々々


サニオン〔兵士〕たちは一子乱れず、美しい陣形でバセンジーを取り囲み待機、


バシュッン!バシュッン!!


次に現れたのはマッシュフォース〔攻撃隊〕を率いた、クレスト〔軍曹クラス〕のF100たちだ!


「ブルにしては小隊だな」

モニターに写し出された地上の画像をみる

「シャークを待たなくとも殺れる」


基地とリセクションされたKCサテライトは乗っ取られ、あっという間にセイバーたちの偵察衛星に変貌を遂げていた。


地上のDA駐屯基地は丸裸にされているが、非常警報システムが作動する様子はない


「囮りかもしれない💦数は少ないけどブラッセルの軍隊は強力よ!気を付けて!」


F100のバディ、  D81が後方で援護体勢をとっている


「…心配するな。お前がいれば、私は無敵だ」

クールな微笑みを浮かべるF100にD81は頬を染める

「(///∇///) 」


セイバーは同チームの中でも、さらに二人一組のバディファイト体系がある。そういうペアには特別な間柄の者も少なくないが、国の性質上、結ばれることはない


セイバー スタークロスは専制君主の軍事国家。

王であるサンクーンが独裁的に権力を持ち、王を守衛する親衛兵団コーモス、王の侍従キグナス、元帥トランザ、将軍クランクスたち 以下、決められた それぞれの役職により、国家の存続と繁栄という使命に基ずき、その職務を忠実に遂行、特に兵士サニオンたちの  命も惜しまず敵に襲いかかる姿勢は、全宇宙に恐怖を与えている


現在、星系内では世襲により、5群に分離している


F100たちは、その5群の中でも一番若いサンクーンが率いる、第8惑星テンメイの兵士たちだ!


『マッシュT2へ告ぐ!南西エリア368より圏内に降下!そのまま指示を待て!』


機内にシルマー〔准尉クラス〕C35の鋭い声が響く


「了解!  いくぞ!!」

F100たちは、ピッチダウンで隊列を離れて行った…