2.瓦礫

6.レオンの思惑



ピピッッ  ジジーー!


ルフィーのコックピット内モニター、そしてクレインの頭上にもパネルウィンドウが開き、麗しいレオンの登場です。



レオン『ルフィー!ジヒキンにリカリオンス《反乱分子》の残党が現れたわ!作業の邪魔だから追っ払ってきて 』 


険悪な空気が流れていた二人の間に、グットタイミングとはこの事か


ルフィー「…ポロか 」


レーダーをみるルフィー


クレイン「 またそうやって逃げるんだな 」


クレインがジロッと睨む


ルフィー「オレじゃねぇだろ!レオンがっっ」


クレイン「 人のせいにするな!」


ルフィー「  なっ💦 なんだと!このヤロー💢💢💨」


レオン『  急いで。ルフィー』


レオンは、相手にするな、と言わんばかりに おどけた笑顔で命令する


ルフィー「 じゃこいつをだまらせろよ💢」


クレイン「 悪いのはお前だろ、ルフィー 」


レオン『 だまって、クレイン』


クレイン「 ムカ💢」


作業中のマコトたちはインカムから聞こえてくる やり取りについ笑う


クレイン「 レオンこそ、今、ガレキの撤去中だから、ちゃちゃ入れないで!」


クレインは かなりご立腹だがレオンはまったく動じない。

エップ風におどけてみせる


レオン『 そうなのぉ?  でもぉ、ロットの防衛局の連中が向かってるみたいだから、うちが追っ払わないと一匹残らず、ぶっ殺されちゃったりするんじゃないかしらぁ~?うふ 』


レオンはどーでもいいけど、でもロットはフォルティナ人の命しか大事じゃないものね〜


クレイン「えぇ〜、ちょっと まって💦」


リカリオンスの正体は、キウパラ達だと分かっているクレイン、 もちろん彼らのことが気にかかる


ルフィー「 ふん、オレもどーでもいいぜ 」


ルフィーはそそくさと窪みに戻って作業を再開。


クレイン「 ちよ、ちょっとルフィー、やっぱり行ってきたほうが…」


ルフィー「 は? なんだよ? オレはガレキ隊長だぜ 」


ガシャーン、ゴショォーン


泥を巻き上げ、ガレキを放り上げるルフィー


クレイン「 ガレキ隊長なのか?」


そんなルフィーをなんとも言えない顔で見る


ルフィー「ああ、そうだよ!」


ドゴーン、ボコーン


クレイン「やけくそだなw 」


でも ちょっと嬉しい様子のクレイン


ルフィー「…。」

(オレだって、別に)


“ どのくらいぶっ殺したら気がすむんだ… ”


  (オレだって別に、好きでやってんじゃねぇよ )


クレインの言葉が、どうにも胸につき刺さる


レオン『 ルフィー、ジヒキンいかなくていいのぉ?』


ルフィー「 お前も いい加減、オレを犬のように使うんじゃねぇよ、部下に行かせろよ 」


知らん顔でガレキを投げている


レオン『 まあ、クレインと仲良くガレキ部隊したいなら、それもいいけど。でもジヒキンの戦闘が激しくなると、うちの隊員たちだって、とばっちりを受けるかも知れないのよ、わかる?』


うちの隊員たち…?

 ジヒキンに行ったのは、えーと


ルフィーは手を止めて考えている。


ミレイユだぁ!!


花畑で微笑むミレイユの姿が、


ドド〰〰〰〰ン


クレイン「ム!」


そんな事でルフィーが行くわけがない。


(レオンは本当にしつこいんだから )


レオン『  さぁ、早くいってリカリオンスを追っ払って! それに今日はソーンパスのCCがあるら、レオンの艦≪ふね≫にきてね☺  』ブチッ



そう、ブチっと通信を切るレオンにはもう慣れっこだ


ルフィー「ラッジャ〰!」🎶


ふざけた敬礼のルフィー、頭の中はもうミレイユでいっぱいだ!


クレイン「えー💧いくのか?」


ルフィー「 そりゃいくだろ!リカーをちゃっちゃと蹴散らして、ロットのやつらもちゃちゃ〜とおっぱらって、俺様がパラメールの平和を守ってやっからよ!お前はガレキをしっかり、頼んだぜ!」へへーん😎


言い終わるから終わらないうちに、

ドピューン!


とランディーは変形して飛んで行く


クレイン「 💢Σ(-∀-;)なんなんだ、まったく!」


あっという間に小さくなっていく その塊を見送るクレインだった。




7.どうなの?この二人



呆れた様子で見送るクレインの後ろから大型トレイマシーンでレイラが現れた。


ハッチが開き、中からWORK botのハチとスキャルバが飛び出した。


スキャルバ「うぇ~~💦 こんなにあんじゃねぇーか」


ハチ「まるで奴隷だよ、奴隷!」


二人は文句をタレながらも、テンポよく、ガレキをトレイ車に投げ込んでいく


ブィィィーーン!!


レイラ「 何をぼんやりしてる?」


トレイマシーンから、オートバッファルを降ろす


クレイン「 別に💦」


レイラ「 下は片付いたか?」


クレイン「  そんなわけないだろ、ルフィーのやつが適当なことしかしないからっ!

ぐちゃぐちゃでっ。

はあ やんなるな、もう😤 」


レイラ「 ふっ、そう落胆するな」


クレイン「 なっ!別に私は落胆なんてっ💦  どーせ、同じところに落ち着いてられない奴だしっ。 だいいち解放軍の人たちが殺されたら大変だから😞💦」


レイラはクレインの顔をみる


レイラ「  …。  ルフィーがいなくなったことを言ったんじゃない、作業が進んでないことを言ったんだがな  」


クレイン「 え…💧」


レイラ「 まあ…。なんでもいい 」


レイラはバッファルに乗り込むと速やかに窪地に降りて行く


クレイン「よくない💧」


クレインは自己嫌悪で唇を噛む。


それから二人が黙々と作業に打ち込むと、損壊の激しい場所だったにも関わらず、残骸の撤去は、あっという間に片付いていった。


ハチ「 あたいらだって やっただろうが!💢 」


スキャルバ「 そーだ  そーだ、ナメんなよっ、  イヤッハッハーイ!!」

パラメールの周辺地図
パラメールの周辺地図



8.パラメリアンたち



ニック「 追ってこないっ、チッ、やる気のないやつだな 」


さっさか引き返してゆくルフィー機を見送るニックたち解放軍は雲に紛れて群れていた


彼らにとって、この星がどこの持ち物になろうと、さしたる変わりはなく、入り込むルートに困ることはなかった。


コヤ「もう少し、こっちまで上がってくりゃ、ティーファの射程距離に入ったのに、惜しいなぁ」


ティーファは解放軍のコロニーベース総旗艦だ


キウパラ「 いいから、相手にするな 」


キウパラたちは自分たちの砦が、ロットやブラッセルの人間たちに荒らされる様子が気にかかり、リカリオンスに扮しては危険を承知で見に来ていた。


ニック「いっそのこと、ジヒキンを襲撃して、こそ泥共を全滅させてやりましょうか!」


キウパラ「 だめだ、ポロに迷惑がかかる 」


ポロはジヒキン砦から北にある小さな集落で、村人はキウパラの味方であり、戦える者は皆、解放軍人民兵。


ニック「 パラメールをコンビナート星にするとかなんとか、ニュースでやってましたよね💦  」


キウパラは無言


コヤ「 みた!みた!」


ニック「政府の規定に適合した者は企業に入《はい》れるらしいが、ルポリーやスタリナ、プリスタイン系の人種、レフュージ《難民》なんかの不適合者は 前より暮らしづらくなる、さすがロットのやることは期待を裏切りませんね 」


ふんっと憎々しげに笑うニック


フレンチ「ああ、ロットなんかにもどったって、大して変わらんよ、いや ますます悪いかも 」


コヤ「 だからといってブルも嫌だぜ!」


ニック「確かに」


口々に悪態をつきながら 大空へ突っ込んでゆく


キウパラ「パラメールは美しい、自然に溢れた星なのに 」


悲しげに地上へ目を落とすキウパラ。

反転すると、みんなと共にその姿を消した。




9.ボトルパラダイス




レオンは 完成間近のボトルパラダイスにいた。


場所はエリヴォドローム《空港》を南下した、パラシィーク湾内の静かな海岸沿い。


この地域を再開発する第一歩として、レオンとブラッセル外地住居推進管理局 雑種地建築事業課とロットの政府公認 スーパーゼネコン企業オムレーン•ポーラが設計と建築に携わった【パラメールの豊かな未来!美しい街づくりプロジェクト】に基づく共同開発事業だ。


ボトルパラダイスは、地上から約682m 高さは それほどでもないけれどハイグレードなデザインと設備、Scopeシステムによる完全Ib管理と半端ないセキュリティ機能が搭載された住居付き保養施設タワー。


デュオ「洗練されたデザインの外観と高級感の漂う内観を持ち合わせた最高の仕上がりとなっています🎶  最終チェックを終えれば近日中にオープンです 」


レオンたちは、オムレーンのボトパラ担当責任者デュオ• ラトワイズ、言わずと知れたスプラの従兄弟と共に建物内を視察中


レオン「スズカ、Gマニュアルとリンクして、もっとそこ拡大して」


スズカは パラメール紛争後から、レオン大尉の補佐官を務めるようになり、親衛隊の制服も板についてきました。


スズカ「えーと、こうかしら」


タブレットから浮き出る等角投影図のボトルパラダイスのホログラム


レオン「 Gマニュアルは、Scopeシステムを使用するのに、必要な指示を必要な順序で すべて網羅したもので無くてはならないわ 」


スズカ「 そうよね、分かりづらいと使いこなせないから 」


レオン「 要するにスコープに効率よく仕事や処理を実行させることができる、しっかりしたホスト役、時にプログラムの変更も柔軟に対応できる主要構成も大事よ 」


デュオ「はい💦  Gマニュアルはコードにより、後からいくらでも追加、変更を他動できるのでご安心ください 」


レオン「 そう、なら明日のトライアルで性能を確かめましょう 」


話しながらエントランスの美しいアトリウムを抜け、重厚感あふれる大広間に向かう。


そこでは館内の設備、居住空間のグレード別に部屋の全体を内覧できるVRビジョンウィンドウが映し出されている


多目的ホール、リラクゼーションコーナー、レストランなども次々と紹介されていた


スズカ「パクムの兵舎は快適だと思ったけど、ここを見せられたらおしまいね、もうファーストビルに帰れなくなりそう 」


レオン「 ワンビルなんて、人間の暮らすところじゃないわ、まるでパネルハウスよ。ここはレオンのコンセプト、先進性、創造性、機能性、利便性、そして最重要な安全性のすべてが備わった楽園ですもの 」


ディオ「おっしゃる通りです」


スズカ「 確かに素晴らしすぎるわ 」


二人は、感慨深くうなずいて、レオンを見る


レオン「 うふふ。さぁ、実際にお部屋の方を見に行きましょうよ 」





10.グリーンパレスの花園で



グリーンパレスには巨樹がそびえる湿地の森と広大な草原 そして、静寂をまとった花浅葱《はなあさぎ》の水を湛《たた》えるカプル湖がある


カプル湖のほとりは、ピューレの木々が陣取り、薄桃色の花が競うように咲き乱れていた


その華やいだ風景の中に包まれるルフィーとミレイユ。


小さな花びらが、風に吹かれて舞い散る様は 得も言われぬ景観だった。


じっと木々を見上げるルフィー。


(きれいだな)


「  w… オレが そんなことを思うなんて」


ふと、バセンジーで草むらを焼き払ったピクニックの事を思い出してみたり。

今なら、自然を愛するミレイユを前に、そんな無謀なことはしないだろう、なんて。


「 ? なぁに、 なんか言った? 」


タブレットを持って、ブツブツ言いながら野草を取っていたミレイユは顔を上げる


「 あ、いや、寝みぃなぁって」


そう言うとわざとらしく寝転がってみるルフィー

柄にもなく花がきれいなどと、恥ずかしくて言えなかったようだ。


「なによ、こんなに桜がきれいなのに、少しは見たらどうなの?」


「さくら」


「 ええ、桜にそっくり☺💕  多分この星では違う名前なんでしょうけど。私達の国ではね、春にこの花が満開になって、その花の下でお花見しながら お酒を飲んだりね🎶  

あ! ねぇ、ルフィー」


なにか思いついたように、急に傍らに飛んでくるミレイユ。


嬉しすぎるルフィーは動揺する


「 なんだよ」(。>﹏<。)💕


「今夜、どうかしらぁ!」


「えっっ  どうって? なんだよ💦💦  なにが、その、え? 」

どうって??


「そうよぉ! きゃぁ〜素敵♥」


瞳を輝かし、ミレイユはルフィーにすり寄るとペチペチと叩いてきた


「💦 なんだよ。ミレイユ? 何をそんなに喜んでんだよ☺」


( 可愛い顔して、そんなにオレにくっついてよ、押し倒されてぇのか🎶 )


いやいやいや、

ぶるんぶるんと首を振り妄想を振り払うルフィー。


そんなわけはない。

てか、そんなことは とてもできないと目をそらし顔も背ける


「 夜ね!ここをライトアップさせて、お花見するのよ〜!!」


「?おはなみ…なんだそれ? 」


ポカンとしているルフィーに、ふくれたほっぺを向けるミレイユ


「私の話、ちゃんと聞いてた?」(-_-)


「花、見ながら 酒飲むってやつか」


「そう!そういうのをお花見って言うのよ💕  カナたちが居たら、もう毎晩やってるわ、きっと!」


「…?(^_^;)💦 なんだか 分かんねぇけど、とりあえず 酒飲むって事な」


ニッとするルフィー


別に花の下で酒飲む事だけが、お花見ではありませんけどね(^_^;)💦


「うんうん💕 夜桜はきっともっとキレイだと思うのっ😍  みんなでワイワイ夜桜会、楽しいわよね〜。あ、でも 桜の木をライトアップできるかしら 」


「 プレイス《外灯》だろ?今、Bパラやってるディオに言えば すぐだ 」


「ほんと!じゃ今夜、みんなでお花見できるわね💕」


「ああ、すぐは無理だってなってもオレが施設部隊呼んでやっから🎶」


ルフィーは、すかさず腕のftラグをタップし手配する


「ありがとう☺💕ルフィー」


「ああ(*´ェ`*)  ん💦   おまえは早く なんちゃらって草、取っちまえよ。あと、色々 用意すんだろ、おはなみの 」


「ええ、おつまみとか〜。お弁当作るわ、私♥ 」


「☺いいな 」


嬉しそうなミレイユに思わずルフィーも素で微笑む


「よかった!ルフィーにここへ連れてきてもらったから、桜、見つけて、夜桜会できるし、きっとクレインも元気が出ると思うし、レオンも これで、みんなと交流する機会が出来て、もっと、ほら、みんな仲良くなれると思うの、うふ(〃∇〃)」


(ユーリだって、この美しいお花を見て、日頃の疲れが取れるわ〜〜🎶🎶

キャ~〜💕 楽しみ!!!  )


みんな、みんなとやたら強調するミレイユの真意など知る由もないルフィー


「ニヤニヤ」


(まったく、可愛いったらねぇよな(*'ω'*)♥ 一人で喜んでよ、お前のためならオレは、この辺の木を全部チッカチカにライトアップさせてよ、そうやってずっとお前が笑顔でいられるなら… )


はしゃいでいるミレイユを眺め夢心地なルフィーを、

ブーーン、ブーーンとしつこく振動する腕のftラグが現実に引き戻す


「  んだよ うるせぇな」💢


ピッと押すとウィンドウが開いて、ブズっとした表情のアリッシュ•モナが現れる


『何度もメールも着信もいれてるのに どうなってる。収録の2時間前に戻れと言われたのを忘れたか? 』


「 オレはな、忙しいんだよ!まだ帰れねぇからなっ 」


『 レオン様に言いつけるぞ!』


「ああ、そうだ 丁度いい、レオンに今日グリーンパレスで飲み会やるから準備しろって言っとけよ 」


ブチッ


何か喚《わめ》いているアリッシュに構わずルフィーは 通信を無造作に切断、オフにした。


「ルフィー♥ これ見て〜!巨大よぉ、この子はアルトリアペンドラゴンにするわ!円卓の騎士の一人にしてブリテンの王よ 」


大きな多肉植物をフリフリさせながら踊るミレイユ


「ああ♥ すげぇな 」


(そんでもって、オレはお前のためならよ🎶)


頭の中のお花畑に戻ったルフィーは、ミレイユとの楽しい妄想ワールドに入り込んでゆく、ミレイユもまた野草とキノコと夜のお花見会を思って興奮が止まらない。


何とも呑気な二人なのでした。