25.水と油
レオンは、タブレットを閉じて、みんなに笑顔を向ける。
レオン「…プライアス外交官、無事にイワンの別荘に戻られたみたいよ 」
事件のことは、こっちでも話題になっていた。
ミレイユ「 あ、そう💦よかったわ 」
ニコッと微笑むが内心は、ユーリに置いてかれた感が満載で穏やかでないミレイユ
レオン「 パラメリアン出現の知らせを聞いて、すぐルフィーを行かせたから、きっと勇猛果敢に敵を撃退したんじゃないかしら〜 」
グリーンパレスの夜桜会はレオンも加わって、また盛り上
りを見せていた。
ラディア「 ルフィー様すごいです♥」
タニア「さすが曹長!」
ミレイユ「 ☺ (…はぁ) 」
さり気なく遠回しに、でも、なんとなく気持ちが伝わるように引き止めたはずなのに。
すんなりかわされて、なんでかユキホを連れて 帰っていってしまったユーリ😢
ミレイユは浮かない表情を隠せない
レオン「ミレイユ、 グラスが空いてるけど何か飲む?」
ミレイユ「ニコッ ありがと💕」
カクテルスタンドとバーテンダーまで連れてきて、もう飲みたい放題です
クレイン「レオン、やっと来たのね 」
苦味渋った不機嫌な顔をぶら下げてクレインがやって来た
レオン「💧… 顔、大丈夫? 」
クレイン「はぁ?💢」
レオン「 (^_^;) まるで 待ってたような口ぶりだけど、ただ寝てただけって、顔が物語ってるからw 」
クレイン「💦えっ、なんで」
知ってるんだ? さてはまた盗み見してたのか
レオン「?何がなんで、なの?やっぱり寝てたのね、うふ 」
しっかりモニタリングしていたので、もちろん全部知っていて、とぼけてます
クレイン「 そうか、そうやってまた人にカマかけて話してるんだな 😠」
そんなことしないわよ、
ふふんと笑うレオン
レオン「 リンクを待たないで、たっぷり呑んで、勝手に寝てたってわけね☺ 」
クレイン「 そんなっ。来るか来ないか分からない人間を待って、ボーッとしてろっていうのか!(# ゚Д゚)」
レオンを憎々しげに睨みつけるクレイン
レオン「 ふふ、またそんな怖い顔して真に受ける。 花も美しいし最高じゃないっ、さぁ一緒に飲みましょうよ💕」
クレイン「ムスッ 」
なんか嫌な感じ、気分が悪い
ミレイユ「 🎶そうよ、 飲みましょう」
グラスを掲《かか》げて勢いよく飲み干し、満面の笑顔を振る舞うミレイユだが、かなり酔いが回っている様子。
レイラ「そろそろ帰るぞ。花見も飽きた 」
ミレイユを気遣い、側にくるレイラ
ミレイユ「 なによ、そんなこと言うほどお花、見てたの?レイラ 」
レイラ「…💧 いや 」
おまえ、かなり酔ってるな
ミレイユ「 どーせ、水のようにガブガブとお酒を呑んでいただけでしょ 」
ミレイユに詰め寄られ、困った様子のレイラです
クレイン「くすっ、ミレイユにかかったら、レイラも形無《かたな》しね」
クレインは二人のやり取りが面白くて笑う
レオン「あら、そんな笑ってる余裕あるのかしら」
そんな言葉を投げ捨てて、レオンはミレイユたちの方に行ってしまう
クレイン「💢 ムッ」
意味がわからないし、いちいち腹が立つ、あの話し方はどうにかならないのか…
ごちゃごちゃと思い巡らしクレインは少し歩く。
会場を離れ、風に当たりながら空を見上げると、こっちに向かって飛んでくる光の玉、みるみる大きくなって現れたのは、戦闘機ランディの姿、ルフィーだった。
機体は、あっという間に草原の丘陵《きゅうりょう》に着陸。
コックピットが開くと、ステップも出さずに、いつものように勢いよく飛び降りて、プロテクターを外しながらプラプラと歩いてくるルフィー
クレインは、そんな様子をただ ぼんやりと眺めた。
ルフィー「 よう、クレイン」
クレイン「あ、ルフィー!」
いつの間にか、目の前に来ていたルフィー
とびきりの笑顔を向けられ、たじろぐクレイン
ルフィー「?どうした? 」
クレイン「 いや💦 別にどうもしないけど… 。その、ちょっと散歩、あ、大変だったな、イワンまでいったのか?」
どうでもよかったが聞いてみる
ルフィー「いかねぇよ、全然、すぐそこだ。さてはパラ公が気になって オレを出迎えたなw ふん、奴ら逃げ足だけはクソはえーんだから心配すんなよ 」
ケラケラと笑うルフィーは子供のようだ
無意識に目を細めて微笑む
クレイン「 そうか」
ルフィー「んなことよりクレイン 」
ルフィーは急にガシッとクレインの肩を抱き、頬を寄せる
クレイン「 え💦」
ドキッとして横目でルフィーを見るがすぐに目を戻す
ルフィー「 お前、レオンの面倒ちゃんと見てんのか? なんか あいつ、ガチでヤバいぜ w 」
いやらしいスケスケのピラピラの服でおかしな事ばっかり言いやがってよ〜🤣
クレイン「カッ💢 なんでっ、離せ! 何がぁっ!レオンなんか」
まともな言葉にならないほど怒《いか》れるクレインに、笑いながら離れるルフィーはまるで何も分かっていない。
クレインには、それがまた更に怒りを増幅させる原因になる
ルフィー「 キャハハ、照れんなよ、オレは親切で言ってんだぜ、あいつ、ほっとくと本当に 」
バシン!!
言い終わる前にクレインの平手打ちが炸裂、
クレイン「最低だなッ、お前は! 」
ルフィー「 ケッ、いってぇな、んな、怒ることかよ💢 オレは、レオンに、手は出してねぇし殴られるような覚えはないぜ💦 」
さすがのルフィーもやり返すという暴挙に出ることはなかった、向こうからスキャルバやタニアたちが手を振って呼ぶ声がしている
クレイン「…💧 呼ばれてるぞ、早く行けよ 」
つい、殴ってしまった手が熱い
ルフィー「 なぁクレイン、機嫌直せよ💧一緒に飲もうぜ 」
近づこうとするルフィーから距離を置き、嫌味っぽく言い放つ
クレイン「 私はレオンを待たせてるから💢」
ルフィー「あ、ああ💦 だよな、わりぃ、わりぃ 」
ルフィーはあっさり手を引いて、まるで割れ物に触れるような態度で去っていく
今までとは、明らかに変わってしまった二人の関係だった
クレイン「 ルフィー、お前は本当に何も分かっていない 」
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26.恋酒一盃
レオンはできたてのカクテルをミレイユに差し出した
レオン「 ミレイユ💕 はい、これ飲んでみて✨ すごく美味しいのよ 」
ミレイユ「まあ♥きれい、青くて海のよう☺💕 いい香り」
レオン「 そう!ハーブの香りよ。ベースはラム、トロピカルカクテル お洒落でしょう 」
ミレイユ「ええ、なんかふわっとする☺ おいしいわ」
レイラ「 …? ちょっとかせ 」
とレイラがグラスを取り上げ飲んでしまう
ミレイユ「レイラっ、何するのよっ、私がもらったのに」
レイラ「ふっ、さして旨くもない酒だ 」
静かに空グラスを置くレイラの横顔は無表情。
八の字眉毛のミレイユは、ふくれっ面だ
ミレイユ「 ひどいわ、もうこれ飲むからいい😤 」
その辺のお酒を飲もうとする
レイラ「 よせ、飲みすぎだ 」
ミレイユ「 いいのよ」
レイラ「 よくない」
ミレイユ「もう!ほっといて」
正面から睨むミレイユ
レイラ「うっ💧」
レオン「 あら、だめねリュウちゃんは。ねぇ、ミレイユ、これはどう?ココナッツミルクのリキュール 」
レイラ「 よせ、ミレイユはかなり酔ってる 」
ミレイユ「😤 酔ってないわ! ていうか酔ったっていいでしょ、お花見なんだから 」
レイラ「…💧」
レオン「 そうよ、お花見なんだからね」
レイラ「 きさま、何がしたい」
ミレイユを自分の背に置いて、レオンに凄む、
レイラの視線は恐ろしい。
レオン「別に、ミレイユと楽しく飲みたいだけよ 」
ケロッというレオン
レイラ「 さっきのはテキーラだ、こいつを潰す気か 」ギロっ
レオン「カクテルだもの、混ざってるだけでしょ、じゃこれも飲んでみる? 」
レオンが、レイラに差し出したカクテルをミレイユが急いで横取りした
ミレイユ「レオン、なんでもレイラにあげないで。あ🎶 甘くて美味しい、これは?なにが入ってるの?☺💕」
レオン「それはねぇ💕 パイナップルとライムよ」
ミレイユ「 だから飲みやすいのね〜🎶 じゃおかわり☺♪」
ご機嫌さんになったミレイユは、バーテンダーにあれこれと注文する
レイラ「ミレイユ 」
レオン「 私がついてるから平気よ、今日は飲みたい気分なのよね〜、そういう時ってあるわ」
胡散臭いという顔でレオンを見るレイラ
ミレイユ「 レイラ、もう帰るんじゃなかったの? 飽きたんでしょう? 」帰ったら?
なにも言えないレイラ
クレイン「…ひどい言われようだな」
クレインが後ろから来て苦笑い
レイラ「ムッ しらん、もう帰る」
バツが悪いレイラは踵《きびす》を返すと、スタスタ行ってしまう。
クレインはその後に続く
クレイン「私も帰るわ、なんか疲れたし💧」
レイラ「 …お待ちかねの相手が来たのに、帰るのか?」
向こうでルフィーが、スキャルバたちに囲まれて、駆けつけ何杯!と、ワヤワヤ騒いでいる
クレイン「 そういうこと言う? あんなバカ…待ってないし💦 」
レイラ「 ふっ、じゃ帰るか。 私も疲れた 」
レイラたちがモービルに向かう様子に気づいたルフィーは、慌てて駆け寄ってくる
ルフィー「 リュウっっ、 まさか帰るのかよ💦 」
レイラ「 ああ、遅かったな 」
ルフィー「それが聞いてくれよ〜、色々あったんだって 」
レイラ「…クレインに聞いてもらえ、私は帰る 」
ルフィーは露骨に嫌な表情だけで意思表示
クレイン「 私だって帰る💢」
そんな言葉など 全く無視でルフィーは必死にレイラに食い下がる
ルフィー「 なんだよ、リュウ💦 おい、夜はこれからだぜ、まてよ、なぁ 、まだいろって 」
レイラ「…眠い 」
ルフィー「 マジかよ💧」
呆れるルフィー
クレイン「眠いのか、子供だな」
穏やかに笑うクレイン
レイラ「 ふっ、ずっと寝てたやつは目も冴えただろうがな 」
チラッと見るレイラ
クレイン「私だって、まだ眠い💦」
子供のようにレイラの後を追う
レイラ「…ミレイユがまだ飲んでる 」
ふと、足を止め、レイラはルフィーに振り返った。
ルフィー「 なのに行くのかよ… 」
意味深な目を向ける
レイラ「 たまにはお前が面倒見ろ 」
ルフィー「💦」
あからさまに動揺するルフィー
レイラは意地悪く笑いながら、モービルに乗り込むとクレインもすかさず隣に座った。
ルフィーは仕方なく二人を見送る形になる
ルフィー「 お前もほんとに帰んの?クレイン 」
手持ち無沙汰で、とりあえず尋ねるルフィー
クレイン「 ついでのように言うな。 明日も作業があるし、行政に提出しなければならない書類作成も残ってるからな」
ルフィー「ふーん」
クレイン「お前も飲みすぎるなよ。明日はサットンの住宅地を片付けだ、遅れるなよ!」
モービルは キュゥウーン!と、うなりながら急加速して、草原の中へ消えていった。
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27.オブジェの千早振る
いくつかのテーブルをくっつけて手作りカルタで楽しく遊ぶ、
オブジェの周りには、いつの間にか人だかりができていた。
オブジェ「動物園、飼育係のミヨシくん ゴリラの檻を洗います。飼育係の〘し〙だよ」
『ん~~~』
みんなは真剣に探している
『あった!!』
誰かが絵札を取ると
ミヨシ「 あぁ〜〜💦 目はもう見つけてたのにぃぃー!」
オブジェ「ははは、言い訳がましいな、ミヨシ 」
ミヨシ「本当だって!」
ミヨシは嬉しそうにオブジェに振り返りながら、また絵札をじっと見る
オブジェ「じゃ次、みんなで行った鳥羽水族館。スタンプブックやったのだあれ! 鳥羽水族館の〘と〙」
ミヨシ「とーとー」
ミヨシがキョロキョロと探していると
『あ、〘と〙、これだー』
ミヨシ「えぇーー!私の真ん前にあったのにぃぃ〜〜! 近すぎてぇ、見えなかったぁーー」
オブジェ「ふふ、またそんな事ばっかり 」
ミヨシ「だって本当のことだもん 」
オブジェ「はい、次! ディズニーランド 行くとき食べた人型クッキー美味しいな 〘ひ〙、人型クッキーの〘ひ〙だよ 」
ミヨシ「 う~~、今度こそ!ひー、ひー、ひー 」
みんなも一生懸命探してます
ミヨシ「 あ!あった 」
『あった!』
ミヨシと同時に隊員も。
ミヨシ「…え?」
ミヨシは手の中のカルタに目をやる
オブジェ「はい、ミヨシ、間違い。〘ぴ〙だからそれ、全然違う 」笑
ミヨシ「あれ〜〜💦 おんなじディズニーの絵だから 」
持ってた〘ぴ〙を投げ捨てた
オブジェ「 子供みたいに絵ばかり見てるからだな ☺」ははは
L&Pの隊員たちも笑う
ミヨシ「 笑うな〜! だいたいカルタなんかより、腕相撲の方がいいんだよ〜 」
『おおーやるか』
絵札をはねのけ、突如、腕相撲大会に早変わりしましたとさ☺
28.宵闇桜の狂い咲き
(まったく付き合いわりぃ奴らだぜ)
ルフィーはピューレの木々を眺めながら歩く
昼間とは、また違った顔を見せる花たちはスクリーンなんかで見るより、ずっとロマンチックだった
「 ふーっ」
なぜか出る、ため息と共に今日の一日を振り返ったり…
(…ルフィーさま💕)
ラディアが ジドーシャガッコーを握りしめ、ルフィーに駆け寄ろうとした その時
「 ねぇ ルフィーっ 」
ミレイユが現れた、振り返るルフィーは照れくさそう
「 おう♥ミレイユ」
ラディアはハッとなって立ち止まる
「…💦」
「 あら、ラディア 。あなたもルフィーに話しが?」
ミレイユは酒瓶をもって立ち尽くすラディアを見る
「 なんだよ、どうかしたか?」
用があるなら、早く言えと言わんばかりのルフィーに、ラディアは慌ててジドーシャガッコーを差し出した
「 あ、あの、私はこれをお持ちしただけで💦 」
「 あぁ、オレの酒か」
ルフィーが受け取るとささっと行ってしまうラディア
「まあ、ラディアったら 本当に優しいのね☺💕 一緒に飲めばいいのに〜、ねぇ ルフィー」
「あ、ああ。 まあな 」
二人は空いてるテーブルに腰を下ろす
「 お疲れさま、今日は大変だったわね」
「 そうでもねぇよ 」
ミレイユの笑顔と優しい声に嬉しそうなルフィー
「 ユーリのこと、助けてくれたんですってね、ありがとう💕」
2つのグラスに 酒を注ぐ手が止まった、
話ってそれか…
「…なんもしてねぇよ、オレは。着いた時はパラ公なんか逃げた後でよ 」
ミレイユが、そのグラスに手を添えて、さり気なく催促しながら口を開く
「でも、きっと駆けつけてくれて心強かったと思うの。ユーリは、ほら外交官でしょう、戦闘なんて そんなに得意じゃないんじゃないかしら 」
ミレイユが 何か延々とユーリの事を話している。
ルフィーの頭の中は1つの事ばかりがぐるぐると回って 何も耳に入らない
なんでお前が、ヤツのために…。
そんな可愛い笑顔で、スパイ野郎のために。
このオレに礼なんて…
言うんじゃねぇよ…バカタレ
「 ねぇ、ルフィー。それで、ユーリと何か話しした? 」
「…。」
「ねえ、ルフィーったら!聞いてる? 」
ハッとなってミレイユを見る
「あん? なにが」
「だから、ユーリ、何か言ってなかった?」
『命は、是非 大切にしてください!』
『私は、私なんかのために死んでほしくない!』
ユーリの温《ぬる》すぎる言葉が頭に響く
「 …とくになんも 」
「…そう、はぁ、つまらない」
言葉通り、露骨につまらなそうな顔をして肩を落として肘をつくミレイユ
「 …💧 なんだよ、ずっと あのヤローとくっちゃべってたんじゃねぇのかよ 」
ルフィーはスクリーンで見た二人の様子を思い浮かべる
「 だって…。ユーリ ひどいのよ、何にもたいして 話してくれないし、帰らないでっていうのに…帰っちゃうし。もっと一緒にいたかったのに 」
ミレイユは、いつの間にか ジドーシャガッコーを握りしめ、もう片方の手にグラスを持ち、グビグビと飲んでいる
「…💧」
(オレ、こんなのに付き合わされんのかよ)
「 真面目に聞いてあげて💕 欲しいんでしょう、ミレイユが 」
いつの間にか傍にいて、耳打ちするレオンに、ぼんやりしていたルフィーは飛び上がる
「な💦変なこと言うな💢」
「酔っ払ってるから聞こえてやしないわよ。なんでもいいから 傍にいてあげればいいのよ 」
「冗談じゃねぇ💦 いっくらなんでもな、オレはそこまで心広くねぇよ」
「まぁ お好きなように。でも目を離したスキに よその知らない誰かに連れて行かれちゃうかもよ🎶 気をつけるのね 」
「なに💢 んなわけねぇだろ💦 」
「 さぁ、ね。アドバイスはしたはずよ。いつまでも ヘタレの相手をしてる暇はないの😁 私は愛しのマスターを手に入れに行くわん♥ 」
小悪魔な瞳をキラリとさせてレオンはひらひらと手を振り、行ってしまうのでした。