29.二人の世界
「まったく、ぐちゃぐちゃになった💦 」
オブジェは落ちた絵札を拾おうとかがみ込むと、テーブルの下にはレオンがいた。
「 はい💕 上手ね、これ、マスターが作ったの?」
絵札を拾って差し出すレオン
オブジェはレオンの護身術の先生をしていて、マスターと呼ばれていた
「ありがとう☺ ああ。夜など、空いた時間に少しずつ 」
「へぇ、これは…貴方とリュウちゃん? 戦ってるシーン? 」
絵札を眺める
「いや、これは古武術の演武だ、陰陽形掌五経拳十二形 八卦翔。ここは戦うというより舞うように形をとる」
演武を形どって、しなやかに手を動かして見せるオブジェに、突如、レオンの正拳突き!
「 踊っていると見せかけてっ!」えい!
「はっ!」
避けるオブジェに、レオンは、手の甲を返し 更にオブジェの胸元へ拳を繰り出す
オブジェは素早く抑えて、その手をひねり返す
「きゃっ」
「 危ないな 」
地面に倒れないように ちゃんと自分の腕の中でレオンを支えた
「☺💕 それで、技が決まると こういう形になるの?」
トボけた顔で嬉しそうにオブジェを見つめるレオン
「 いや、こうはならないな(笑)」
オブジェも愛おしそうに目を細めた
「 もう♥ そうやってレオンを甘やかして💕 それじゃ いつまで経っても一人前にはなれないわ 」
「 これはまた熱心な習生さんだな 」
「でもちょっと足をひねったかも、レオンの艦まで連れてって♥ 」
オブジェの首に巻きついてきたレオンを引き剥がし、目の前の椅子に ちょこんと座らせた
「 どちらの足首?」
「ん〜💦 え~と こっち? うん、こっちの足ね、触ってもいいわよ☺🎶」
膝の高さにしゃがんでいるオブジェに足をぴょんと差し出すレオン
オブジェは涼し気な眼差しで足首をぐいっとやる
「あっ痛い」
「 右はついていないはずだ、それでもひねったと言うなら 全体的に柔軟が足らないと見える 」
「 もう💦」
足でオブジェの手を払い退けようとする
「 (笑)大丈夫そうだな 」
「 痛いじゃない、レオンに恥をかかせたわね 」
怒ったふりをするレオン
「そのぐらいで痛いようではストレッチからやり直しだな 」
そう言いながらも、レオンをそっと抱きかかえるオブジェ
「あ♥オブジェ」
「甘やかすなと言っておきながら、歩きたくないとはとんだ怠け者だが、絵札を取ってくれたお礼をしないとな 」
そして数秒間、見つめ合う二人
「うふふ💕 よかった! いい事しておいて。そう、今日ね、教えられてた護身術を使って、相手を上手に投げ飛ばしたの 」
ご機嫌なレオンは思いっきり首に抱きついた
「 それはすごいな、君に投げられるとは どんな奴だか(笑)」
ルフィーはクシャミをしているだろう
「 えいっ!てねぇ、気持ちよかったわよ🎶 泉 」
まきついた手を離しオブジェを見つめる
「…。💦」
レオンが玲子と交差して、オブジェの胸の奥はうずく。
無意識に身体が固まった。
玲子様…
( レオンはどことなく玲子様に似ているかも )
「 ?…。 泉って呼ばれるの嫌なの? 」
急に腕の力が緩み、一瞬硬直したような、ぎこちない表情を見せたオブジェ。
それを見逃すレオンではない
「いや、そういうわけでは… 」
後が続かないオブジェ
「マスターじゃ お稽古の時みたいだし、オブジェじゃみんなが呼んでるから、二人の時 私だけの呼び名、なんかないかと思って、泉って呼んでみたけど 」
そっとオブジェの胸に頬を埋めその体温を感じながら、様子を伺うようなレオン
「ああ、むしろ そう呼ばれるのは…。 (玲子さま) 好きだよ 」
妙に熱っぽく感じられるオブジェの様子に、
秘めた何かを感じ取ったレオン
だが今はそんな所に触れなくていいと自らそれを握りつぶす
「 そうなの…。でも考えたらスズカも泉って呼ぶし、レオンはやっぱりマスターでいいわ☺💕 」
ギュッとオブジェに抱きついた
「 ああ、私はずっと君のマスターだ 」
可愛すぎるレオン
熱い抱擁は甘いキスへと変わる
二人だけの濃密で芳醇な夜の扉が開かれた…
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30.香り立つ花の魔法
オブジェとレオンという超級プレミアム ベストカップルを見送った仲間たちは、まだピューレの木の下で掃き溜めっていた。
ミヨシ「なんなんだよ〜〜っ、バカヤロー!結局そうかよぉ、簡単すぎるんだよぉ、オブジェは! オブジェなんか嫌いだぁ〜 」😭
オブジェが大好きなミヨシは、かなり酔っ払っているので言いたい放題です。
リパーダ「 まあまあ、仕方ないよ💦 ミヨシ、諦めよう。お似合いすぎる🎶」
と、どことなく嬉しそうな感じのリパーダはミヨシを優しく介抱する
ドグ「あぁ~~ 羨ましいなぁ💦スズカさんは遠すぎる〜、叶わぬ恋だ」
ドグはシャトルで行ったきり戻ってこないスズカを想って空を仰ぐ
ラディア「 二人は本当に幸運なんです。そんな上手《うま》くいく恋なんて、なかなかありませんよ😢 」
ラディアももちろん、ルフィーを想って、空を仰ぐ
ドグ「切ないなぁ」ぐじゅ
ラディア「さぁ、飲みましょう!」
酒瓶を持って、にっこりするラディアだが
タニア「ちょっと! ラディアはかなり上手《じょうず》にやって来てると思いますけど? 」
すかさずタニアが立ちはだかり酒瓶を押しのける
ラディア「 そんなぁ。タニアさん」なんか怒ってる?
タニア「 もうこの人は、かなり飲んでるから、これ以上 勧めないであげてください! 」ふん
ドンッ
タニアに突っぱねられて、つまずいたディアは ハチにぶつかる
ハチ「 なんだいっ、痛いね 」
ラディア「あ💦 ごめんなさい」
ラディアは、潤んだ大きな瞳から今にも涙が零れ落ちそうな様子。
驚いたハチは、両手でラディアの肩を掴む
ハチ「!?な、なに?どうしたのさ? 」
ラディア「…ハチさん 」
見つめ合う二人に、不思議な空気がまとわりついた
エップ「あー!ハッチ〜!いやぁーん、やっと見つけたぁ〜〜〜ん 」
そこへ何かを察知して嗅ぎつけたようにエップ登場!
グイッとラディアを引っ張って押しのけるとハチに近づいた💕
エップ「ハッチーん♥ 」
ラディア「 きゃぁ!」
倒れるラディア
ハチ「 ちょっと、あんたっ、なにすんだよ💢 」
ハチはエップを突き飛ばしてラディアに駆け寄ると、もう無意識に手を差し伸べる
ラディア「 ハチさん 」
うるうるんとラディアの瞳が数回瞬いた、はい、完了!
ハチはあっという間に愛の花壺の泉に飲み込まれてゆく
ハチ「…ラディア、あたい」
ラディア「ハチさん 」
そして二人は手と手を取り合ってバルに向かって吸い寄せられるように行ってしまう。
エップ「いや~~ん、なぁーに? どういうことぉ〜💦
あぁ、もう いったぁぁーい、ちょっとぉ〜、誰かあたしを助け起こしてぇ〜〜。手から血が、血が出てるんですけどぉ〜〜」
エップの雄叫びは しばらく続いていましたとさ(^_^;)
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31.花と瓦礫は終わらない
出来上がった酔っぱらいたちは楽しそうに乾杯を繰り返す
花と瓦礫も、そう簡単には終わらない🤣🎶✨💕
ミレイユ「ルフィー、呑んでる? はい!カンパーイ💕 」
呆れるルフィーは隣でげんなりしていた
『欲しいんでしょう、ミレイユが』
『傍にいてあげればいいのよ』
そんな簡単な訳はないと分かっていても、心揺さぶるセールストークに乗せられて、まんまと買わされてしまった商品。
それを只、呆然と眺めているような心境だった。
当のレオンは、ちゃっかりオブジェを咥え込んで消えていったのに…
(…冗談じゃないぜ)
ルフィー「 はぁ、 酒癖 悪💧」
ミレイユ「え? なあに? なんか言った? 」
ルフィー「 いや、なんも💦」
『たまにはお前が面倒見ろ』
レイラの意地悪な表情がチラついて消えない。
こんな化け物を自分に押し付け、さっさと帰っていったレイラを恨めしく思う。
ミレイユ「 はーい、じゃカンパーイ💕 」
『 カンパーイ!! 』
周辺の酔っぱらい共は口々に叫んでいる
エップ「か〜んぱ〜い🎶」
スキャルバ「うぇ~い!!いやっはーい!」
辺りは、暇人と酒呑童子級の呑兵衛たちしか残っていない
ルフィー「はぁ💧 もう いい加減 帰ろうぜ 」
ミレイユ「何言ってんの? お花見なのよ、たった一回のこの、一生にぃ、たった一回しかない ふーの誕生日なのにオールマイティーやらないって言うの? !」
ふーの誕生日は一回しかこないのかい?😜
ルフィー「はぁ?何いってんだよ、ミレイユ 」
ミレイユ「 はぁーい、じゃカンパーイ💕 」
ルフィー「お前、何回乾杯すんだよ 」
ミレイユ「ルフィー、乾杯嫌いなのか?」
ルフィー「それ、オブジェだろ?」
ミレイユ「じゃそういうことで カンパーイ💕 」
『かんぱーい!!!』
みんなと楽しく盛り上がるミレイユ
ルフィー「…💧」
オレ、面倒みきれねぇ
たまには見ろって言われたけど、本当ムリ〜〜!!
むりむりむりむり無理だから!
ルフィーはこそっと逃げ出そうとした
クルッとふり返る恐怖のミレイユ
ミレイユ「? ルフィー、どこ行くの? まさか、帰るんじゃないでしょうね 」
ビクッとなるルフィー
ルフィー「💦 なんでそんなとこだけ、しっかり見てんだよ」
ミレイユ「 あー そう!帰るのね? じゃ もういいわよ」
ルフィー「…💦」ちげーって
ミレイユ「 別にね、帰ればいいわ、ユキホもレイラも帰ったし、どーせいいわよ。 私はこの付き合いのいい〜 隊員さんたちと朝まで飲んじゃうからぁ〜💕💕💕💕💕
は〜い💕 じゃ、みんなカンパぁーイ」
隊員たちは『おおーーー!』
『カンパーイ 』『カンパーイ』
エップ「あたしもぉ〜飲むわ〜〜よぉ〜🎶」
スキャルバ「オレも出番が少なすぎてよ〜!付き合うぜ〜〜」
飲んで飲んで飲んで飲んで〜💕
かーんばーーーーい!
ルフィー「💢 んだよ、てめーらオレはトイレ行こうと思っただけだし!」
大声を張り上げるルフィー
ミレイユ「あーそう? じゃ行ってくれば? 」
ルフィー「💦ミレイユ」
ミレイユはルフィーを払い除け、 わざとらしく隣の兵士に微笑みかける
ミレイユ「 ねぇ、そこの貴方、貴方、高射隊の人よね〜、あのロボみたいのゴキンゴキンって乗ってて ほんとステキよね〜💕 さぁ!☺✨ どんどん飲んで、はい、どーぞどーぞ🎶 」
ルフィー「オレも乗ってるけどな 」
ルフィーは、そういって前にしゃしゃり出る
ミレイユ「 ちょっと どいてよ。もう本当いつもステキで〜 、憧れてるのよ〜」
隊員『はぁ、ステキですかぁ☺そうですかぁ♥』うれしいーっす
隊員たちは大喜びで盛り上がる
ルフィー「 おい💢 こら、どけ! お前らミレイユに近づくな! 」
まわりの隊員たちをガ〰ッと追っ払うと、ミレイユの側を陣取って座るルフィー
ミレイユ「 なによ、早くトイレいってきなさいよ💢 」
ルフィー「 トイレやめたわ! お前、よそに絡むなよ 」
ミレイユ「 ふーん、じゃルフィー飲むの? 」
ミレイユは邪鬼のような顔を向けるとルフィーの前に酒瓶をデデーーン!と置いた
ルフィー「う💧 お、おう!飲んでやろうじゃねぇか💦 」
さぁこい!とショットグラスをドン!とやり返す
ミレイユ「キャハハハ! 楽しーい! じゃカンパーイ 」
手を叩いて喜ぶミレイユ
ルフィー「か、カンパーイ💦」
容赦なく注がれた酒を一気に飲むルフィーに、周りの隊員たちから、
『おおーーーー!』
と歓声があがる
ヒューヒュー
スキャルバ「 曹長、かっこええ〜〜」
ルフィー「 う(^_^;)」
ミレイユ「さすがぁ💕 ルフィー、お花見最高ね〜! はい、どうぞ もう一杯🎶 」
大喜びのミレイユ、満面の笑みで酒瓶をふっている
ルフィー「…💧 オレ死ぬわ」
そう多分ルフィーは花見なんて嫌いになった事でしょう!
さて、その後、夜桜酒盛り会がいつまで続いたのか、みんながどこまで呑んだのか、そして、その後どうなったのか、そんなことなどは考えないことにいたしましょう🤣www
それでは みなさん、次はボトルパラダイス編でお会いできたらいいですよねぇ〜💕
さようなら(^^)/~~~