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スファニー・レノア編

1. ブラッセルへようこそ❗️

 


第1ワールプール〔銀河系〕の右端に位置し、恒星ルミネスが率いる7つの惑星と6つの衛星で列なるブラッセル星系…


国家第一主義 リージバック・ハーリアによる独裁政権が続くブラッセル帝国だ!


───


往時、前帝ショー・アファールは リージバックからの献策もあり、ウトンリカ大戦を敗退に導いたという理由をつけ、帝政に抗戦的で 軍隊を総括していた危険分子、 大元帥クニックコッツェを排除し、軍部5会派勢力のセンテュリオ党も解散に追い込んだ。


代わって その空席を埋めたのは、アファール帝より厚遇され  最も信頼を得ていた 、当時 まだ 警視護衛局の幕僚《ばくりょう》に過ぎなかったリージバック・ハーリア本人で、ブラッセル軍 最高総司令官に任命されたのだ。


一夜にして 栄達を遂げたリージバックは 皇帝のディア〔恋人〕と噂されたが、本来の実力を見せつけるべく、WR大戦線で 総指揮を勤め、延べ4500万のロット軍を打ち砕き  停戦の合意を巡る協議へと導いた


そして100項目とも言われた皇帝の意向を示す協議事項を、すべて合意させ  停戦協定書に署名するまで協議進行は、すべてブラッセルが主導するという偉業をなし得る。

停戦によって、途絶えていたロットワイラーとの国交も再開され、長期に渡り、続いた戦争による国土の荒廃、経済産業の疲弊、困窮も緩和された。


ハーリア派の勢いはそれに留まらず、政権運営を軍部総局の統制下に置くため、基盤勢力を強化 拡大、諜報機関および治安機関、国の中枢機関を統括していくと、行政府の長としても政策を執行する役割りを担い、中央議局を手中に納める、

そして 数年と 立たぬうちに 皇帝も認めた総統の地位を確立、 閣議決定により リージバック・ハーリアが就任した。

その後、軍部司令塔は二権され、進軍にグランバー将軍、防軍にスプリンガー将軍が据えられる


翌年 ショー・アファール皇帝が何者かによって暗殺されるという大事件が勃発して、


事態は反政勢力パラメール解放軍によるものと アッパー〔上層部〕から表明され、犯行声明もなく 確実な捜査もされないまま、過激派掃討が開始される。

激戦の末、解放軍を指揮したティラド・ブキ・ キャラベキーナを確保し閑牢に投獄。

勢力は各地に分散、徐々に衰退し、事実上  過激派組織の崩壊とした。〔  その実態は今だ根絶には至っていない〕

先帝の報復を果たし、リージバック自ら 新皇帝に即位する


かくして 位人臣《くらいじんしん》を極めた リージバック・ハーリアは 、全権を掌握、名実ともにブラッセル帝国の覇者となったのだ。




         *                *                 *


2. OAの将軍たち



さぁ  時は今、氷塊のごとく冷たい雨が打ちつけるスファニーレノア。


そこはブラッセル星系 第四惑星にあるOA〔進撃軍〕の主要ベース。


戦艦Goonでルフィーたちが帰還すると、マウゴラによって 持ち帰ったバセンジーの記録や周辺空域のデーター、セイバーとの戦闘の詳細が 明かになり、OAアッパーはざわめく。


進軍の元帥を始め 将軍たち、各局R4の背広組が集り、諮問《しもん》議会が開かれた…


スクリーンに写し出される美しい星バセンジー


それを目の当たりにして、 欲さない者は いない



「 W34Nb星系は、進撃軍の前線基地として最適な位置にあり、遠征の基盤として重要な要素を含む、得難いポイントである、更に  この03惑星バセンジーに至っては、経済合理性に基づく最高の利益が見込まれる価値ある惑星と言えるでしょう」


冷静だが 言葉の節々に熱がこもる

ガンジェリード・セシール


リクトン大将も 眉を吊り上げ強調する


「 なによりもだ! まず最初に発見したのは、我軍の遠征隊ソルジャーだということ!」


W34Nb惑星所有権を巡る この問題は、どーしても譲れない、負けられない戦い! 

両軍の確執を深める一因となり、後々まで 長く引きずりそうだ。



3. レオン・セシール



「 元帥、失礼します、お時間です!」



エクスビュロー〔警衛〕所属 側衛官エンリッチ・パル大佐が現れた


主に総統や元帥を護衛するチームリーダー

レオンの直属の上司である


「 あーら💕 みなさま、お揃いね!」

うわさのレオン・セシールも顔を出す


「おぉ🎶 」

場はいっぺんに華やいだ


「相変わらず輝いてるなぁ、レオン💕 」

オーソ・ティラーチ、好色の虫が騒ぎだす


「 うふっ 正装のオーソさまも素敵ですわ、 諮問議会はいかがでした? 」


「 こらっ💢 OAの領域問題だぞ、お前の知るところではない 、首を突っ込むな」


一瞥《いちべつ》をくれると眉をよせる父 ガンジェリード


「 まあ少将殿、このレオン、経済産業資源構造委員会における通商政策の戦略プロジェクトを任され、外交による流動性資産形成は、過去最高の高総利益率を打ち立てるという成果を得ています。

まんざら畑違いというわけでもありませんわよ!新星W34Nb03、 あれを手に入れることで、OA体制下 収益はもちろん、遠征の振り幅も目覚ましく拡大する、ということでしょう?  」


目をぱちくりさせる将軍たちに、やれやれと渋い顔のガンジェリード


レオンは臆することなく 両手を広げ、ニッコリと微笑んだ。


オフートだけは大喜びで手を叩く


「 この親にして、この子アリだな!さすが!ガンジェリードのご子息、頭が切れますな、ホッホッホ!」


「  確かに…  EA〔 護衛軍 〕が中に入るのはいい案かもしれん。総統は、常に我々とDAを衝突させて、ふん! 勢力を加減し分散することに余念がない、正当なやり方では、あの惑星は手に入らん! 」


グランバーは鬼瓦のような表情のまま立ち上がる


「  今から 総統に ご機嫌うかがいに行く!   あの ※ゼニガメもくるぞ!どーだ?レオン! お前もくるか?」


※防軍の元帥シュリグイン・スプリンガーのこと

金に目がなく 屋敷やビラ〔別荘〕はすべてゴールドでできているという。進軍の兵士たちからは、他に 金華将軍、ガマガエルなどとも呼ばれている



「 元帥💦 この子は、まだほんの小娘、真に受けてはなりません  」

ガンジェリードは慌てているが、


「  はい! もちろん、お供いたします💕   皆さまで  お夕食など いかがです?  レオンは 両軍の間で しなやかな潤滑油になって、うふっ  お役に立ってみせますわ!」


ゴーストに乗り込んだグランバーは満足げにうなずいている


レオンはその後に続く


「 レオン! 遊びではないぞ!

グランバー様の邪魔になる!💦    

それより お前は クレインを 夕食に誘ったらどうなのだっ  」


「 …。  レイカー嬢は  ルフィーや、ホーリーたちと友好を深めるのに忙しいご様子、レオンに割《さ》く時間の余裕はございませんのよ!  」


言い捨てると、そのまま出ていってしまうレオン


言葉を無くしガンジェリードは立ち尽くす


「 まあ…なに、案ずることもあるまい、あの子は出来上がっている。

進むべき道を己で築いて、たいしたものだよ  ホッホッホ 」


さりげなく慰めながら、

クレインにも見習ってもらいたいと思うオフートだった



4. ルフィーとクレイン



処  変わって スファニー・レノアの中心部、ポタマスCITY内のミリタリータウン、

高層タワーが  連なりそびえる一角に、ひときわ 巨大で華やかな  高さ1403㍍のハイパービィルディングがある


それがルフィーたちの住んでいるファーストビルだ。


命知らずの高給取りや、何らかのコネクションのある者、名家のサムなど、要するに金に困らないやつが住んでいる



────


ロビーにはルフィーとクレイン、そして ルフィーの直属の上司、リドキー少尉がいた


「 請願書が取り下げられるということはないだろうが、長期戦になると思って間違いないぞ!  大丈夫か? 連中が ホーリーに入隊できたなら、住居申請もさせておくといい  」


「あ、はい 」


「 送還という形をとれば、早く片付くと思うがなぁ 」


「  いや💦 」

そうじゃねぇだろう、と思いつつ、どう言えばいいか、言葉が見つからないルフィー


それにかわってクレインが口を出す


「 いいえ!  武装もしない一般人が、無関係の抗争に巻き込まれ 命の危険にさらされたのです!それに対して責任問題や補償、損害賠償が追求されるのは至極、当然のところっ!  それをただ同等の機体を要求するのみとは、むしろ控え目すぎる要望でっ。  これくらいの事に応じられなくては、 周辺の先進星で 民主化が進み、近年の世界通念は、自由や安全、平等です!   我がブラッセルは!そういうところから まったく かけ離れた非常識で遅れた国と 全ワール中の笑い者となります!!  」


クレインの凄まじい勢いの弁舌に

ルフィーとリドキーは後ずさる


ロットやプリスタインに留学経験のあるクレインは、前線を経験したいと無理矢理 部隊に編入してきた名家のお嬢さん。

ルフィーたちには到底、理解できない呪文のような言葉を、時折 まくし立てることがある、まさに今のようにだ。


しかし、生れ育ちが違うのだから 仕方ないと  だいたい聞き流している


「 ああ、なんというか💦   君の意見はもっともだろうが、ただアッパーは そう融通はきかない  」


総局 参謀官オフート・レイカーと言えば、雲の上のような方と言っても過言ではない、その方のご子息だ


リドキーも慎重に 当たらず さわらずの対応をする



「 だからです! 総隊長からも陳情書の提出をお願いいたします 」


「 ああ💦 そうだな 」


「 おい、クレイン、なにもそこまで💦 」


「  いや、こういうことは より多くの署名が集まると動かしやすいんだ!」


ルフィーを Cy1リスト入りさせた功績を振りかざし、要領を得ていると言いたいようだ

親子揃って、ルフィーファン!


「 しかも、きちんとシップを提供することができれば、事の成り行きを見守る銀連にも、“他星や他民族に礼節ある姿勢 ”  と、 我々 ブラッセルは 高く評価されるはずですから! 」


瞳を輝かすクレインに ひきつった笑顔を返すリドキー


「  ああ💦  名言だよ、クレイン  」

「 ありがとうございます!総隊長」



クレインは、ルフィーが無事、帰還したことを とても喜んでいた。


「 もちろん、私も精一杯 協力するつもりです!  」


そして沢山のフォリナ〔異星人〕を連れて戻ったことは、日頃、他人の命を軽視する傾向があるルフィーが まさか人命救助的な事ができるとは…と 欣喜雀躍《きんきじゃくやく》して、その行動を讃えたのだ。



「 とにかく、後のことは総局に任せて、休暇を楽しめ! 」💦

リドキーは熱すぎるクレインに恐れをなして そそくさと退散することに。



「 はっ! 感謝いたします! 」


パシッ!


ルフィーとクレインが敬礼する中、リドキーが去ってゆく


見えなくなるまで見送ると、二人はフラッシュピット〔瞬間エレベーター〕に乗り込み、部屋へとむかう



「 色々 世話をかけたな、まだ これからも何かしらあるか… 」


ルフィーがボソッという


「  ええ! シップがちゃんと認可されるまで 頑張ろう!  お前もしっかりな 」


「  あぁ、あいつらを自分達の国に送り出さねぇとな… 」


「 ルフィー 」うるうる


しばらく見ないうちに、大きく成長をとげたような、たくましさを感じる…と 、何やら 胸に込み上げるものを覚え、うるうるのクレイン


まるで母親だ💧


「 なんだよ 」

じっと見られて変な顔をするルフィー


「 いや、本当に良いことをしてるなぁと思って  」


「  💧… 別にオレは。 Σ  あ、お前も ちょっと顔出せよ 、話しときたいこともあるし  」


「 んー、着替えてから すぐ くる! みなさんにご挨拶するのに、色々持っていく用意もあるから 、ご飯とかもきっとまだでしょ 🎶」


「 お前、例の食事会じゃねぇの?

モリゾー〔親衛の通称〕が探してたぞ  」


レオンの秘書官 アリッシュ・モナだ


「 はぁっ! 行くわけがない!💢  本当にしつこいんだっ!   私は忙しいと毎回 断ってるのに  」


「  別に飯くらい いってやりゃいいのに 😁お前のリンク〔 婚約者 〕だろ?  」上等なもん食えるぜ、きっと


ユキホみたいになってるぞ


クレインには家同士で勝手に決められた結婚相手がいた。


そうレオン・セシール


お互い、好きあっている訳ではないが、これはネーム持ちの宿命とも いえる避けては通れぬしきたりなのだ


「 まだリンクじゃない!💢  私は戦場で食べるビスケットだって あの手の連中とは食べたくない!  」


これ以上ないというほど、顔をしかめるクレインに、ルフィーは笑い転げる


「  笑💦  いや  お前に食ってほしいのはぁ  豪華な晩餐じゃなくて、ヒヒ、その外局の偉いさんのよぉ、何て言ったか、リンクスの相手! 」


「 うるさい!💢 キモいことをいうな!」


 悪ノリしてニヤニヤするルフィーを叩く


「  さっさといけ! 」


「  (≡^∇^≡)  じゃ あとでな 🎶 」

笑いながら、部屋に消えていく



その振り返った笑顔が あまりにも 爽やかで、そして輝いていて、クレインの足は、GAB〔重力調整システム〕が故障したかのように、床に吸いついたまま  立ち尽くす



「  …… 。お帰り、ルフィー 」



ドアに向かって そっと呟いた