スファニー・レノア2

5. ファーストビルで暮らそう


久方ぶりの我が家


奥からは みんなの賑やかな声が 漏れ聞こえて、ルフィーは 自然と 安堵の笑みをもらす。


全身を ズッシリとした疲労感、倦怠感が覆っていた、決してコロナではない!


そのまま廊下を進み バスルームに向かうと シャワーを浴びる


バセンジーからの激動の日々を思えば、この数日など 大したことではないが、スファニー・レノアのエアロベースであるカタストローフェの検疫から始まり、基地に着いてからは航空検体検査局で さらに調べられ、 公安局によるW34Nb03惑星やDA〔防軍〕に関する供述書類 作成の聞き取り調査を受け、 諸々の手続き等を経て  ようやく 解放にいたる


さぞ みんなも ホッとしているに違いない… 



タオルをひっかけ、部屋に 足を踏み入れると、そこには  お馴染みのメンバーが蠢《うごめ》いていて、やたら 狭苦しく感じられる状景



「オレには広すぎる部屋だと思ったが…  💧 」



ハチはハンモック型マットで ゲームに夢中、レイラはパネルデッキで筋力トレーニング、ミレイユはキッチンとリビングを右往左往


そして、他のみんなは 壁から天井一帯に、銀河の海を広げ、なにやら 惑星の検索中


こんな状態で、明日からの休暇が どんな楽しいものになるか 、想像に余りある


「 はぁ💧」 休暇返上しようか… 

ルフィーは 深いため息をついた



スフィア〔操作装置〕をくるくる動かし天体を探すユキホとミヨシ

「 あー、ユキヒョウ!早く動かしすぎ! 」

「ムズいなぁ💦」


それを囲むように オブジェにマコト、スズカといった征弄組は、真剣な表情で上を見上げている


ここは 宇宙のどの辺なのか?


地球は一体 どこにあるのか?


明日の我が身を案じているのか…



なぜかそこには  向かいの部屋に住むリパーダ・リクトンもいる


ヤプロイ・リクトンをウコ〔叔父〕に持ち、領域調査開発局に所属しているリーパダ、漆黒の宇宙と天体、そして なにより異星人が大好きな変わり者だ


「ここのうちは  プラネットGシステムの更新が三年以上もされてないという 信じられないような有り様だからね💦詳細はデータがすべて入るまで はっきりしないけど  」


「 でもさ、 周辺は  高度生命体の惑星で溢れてるんだろ、なのに 地球は まったく サーチされないなんて  」( ;∀;)


ふくれた顔で口を尖らすミヨシに

後ろから冷たい声が飛ぶ


「 あたりまえだ、 ここらはすべて オレたちの縄張り。 そんな旨そうな星があったら、とうに食ってるわ😁   」ヒヒヒ


「  あー! ルフィー!  おかえり! 」 


口々に明るい笑顔が向けられる


「  近場で 探したってあるもんか、もう消せ!  部屋でまで

ワールなんぞ見たくもねぇ」


ルフィーの銀河を見る目は乾いている。パネルボードをタップして、天井 一体のスクリーンを消そうとするが モジュール稼働中とナビゲーションに拒否られた


「 なんだよ💢    おい!  お前ら 勝手に色々 さわってんじゃねーぞ!  

しかもなんだって、リパーダがいんだよ  」


イライラしながら ソファーにドカッと腰を下ろす


「  彼は手土産を持って 挨拶しに来てくれたんだよ  」


オブジェが カプセルパッケージを開《ひら》くと、

中から 鮮やかな果物に彩られたタルトケーキが顔を出す


「 ほいじゃ  ルフィーも帰ってきたし、早く これ食べようぜ🎵」じゅる


ヨダレをすする音を立てながら  ユキホが  テーブルにスタンバった


「 ケーキとか なんか久しぶりなんですけどぉ🎶 」美味しそう!


「 そういえば そうね💕   」


目を輝かすミヨシとスズカに、微笑むリパーダ


「  お近づきの印にね、大したものじゃないけど、 おすそ分けだよ。プリスタインで 流行ってるラムシーニってお店のスイーツで、今日ちょうど届いたから♪  」


しいちゃんの誕生日はラムシーニのイチゴタルトでお祝いだぁ💕

「 ケッ!マジで大したもんじゃねぇな!   んなもんより、どーせならヤコン〔牛科の家畜 〕の生肉とか持ってこいよ  」普通、肉だろ!肉!


ブラッセルの食生活は豊かではない。ソルジャーたちは、フェイクミートの冷食、輸入野菜の真空パック、各種スープのフリーズドライなど 食料品は 加工が多く、 日常的に食べられているものは見た目や食感、味なども無頓着、品質も粗悪なものが多い。


「ルフィー、そんな言い方をするものではないよ、リパーダは地球を探す手伝いもしてくれるって言ってるんだ  」


まさか?話したのかよ?!と、

ルフィーは焦ったような表情をオブジェに向けた


すかさずリパーダがフォローする


「  いや💦何も聞いてないよ!  スフィアの操作を説明しただけさ、どこの星の人間だろうとロットのエミグラントなんだから問題ない。だいいち、ホーリーに  入《はい》れた時点で総局が容認した訳だから。

速報で 君たちを 見たときからね、 きっと遠い異国の人たちだろうと感じた✨  素敵だなぁ、話がしたいなぁと思ってきたんだよ!  」


仕事柄オムニワール〔全宇宙〕規模で 研究や調査を行っているが、内務勤めで  殆ど 外の世界を知らない、もちろん戦闘機に乗って遠征などしたこともなかった。


遠い彼方に思い 馳せるリパーダ



「 変なやつ…」

ネーム持ちはロクなのがいねぇーなと思うルフィー



「 ねぇ!ルフィー!ちょっと! 」

ミレイユがキッチンから顔を出す


「  ? 」


「食器って どこにあるの? カップも足らないし💦お茶も出せないわ」


CCアシストは艦についている設備と同じようなもので ミレイユはなんなく 使いこなしている


「 食器? そんなもんねぇよ💧 オレは全部ベビーカート〔フードデリバリー〕だ 、後はビューホールで事足りる 」


「 えぇ? 」


驚くミレイユの顔を正面から見る、

あまりにも可愛すぎた


(やべぇよ マジでクソ可愛い )

数秒間 フリーズ…


こんな些細なことで、いちいち頭がどうにかなっていてどうする…

これから数ヵ月と期限の決まっていない共同生活、狭い部屋の中で、

とてもじゃないが身が持たない


やはり早急に住居の手配をする必要がある



「 ねぇ、聞いてる? 」

「は💦  なな、なんだって?」


間の抜けた表情を見せるルフィーをリパーダは見逃さない、といっても、これだけ あからさまな態度ではルフィーのミレイユに対する恋心は誰でも気づくだろう


気がつかないのは当人のミレイユだけ。


「 だから、ケーキをのせるお皿。それに お茶を入れるカップとかっ! 」


「あ、ああ💦 じゃ、 エップんとこに!  111のOR〔オーゲ〕だ、聞いてみれば なんかあるかも💦 」


「おれ!行って 借りてくる🎵 」


ルフィーがディスプレイを開くよりもソッコー、 ユキホは飛び出して行く!


通りしな 風を感じる勢いに ハチが笑う


「さすがドブネズミ 素早いね 」 





6. 愉快な仲間たち


プュロロ~🎶




ユキホとすれ違いにチャイムが鳴って ドアモニター が開く


 ディスプレイには、大荷物を乗せたカートを押さえながらクレインがカメラを見上げている


「  こんばんわ! クレイン・レイカーです 」



食べ物や食器はもちろん着替え、エアベッドやタオル類、日用品の細かいものまで、 すっかり 揃っていて、まるで リビングは、お店屋さんのようになった


「お皿、借りに行く必要なかったね!」

みんな大喜びで眺め回す


「  さすが、クレインだな!そこんところから行くと、僕は スイーツなんぞ持ってきて  まったく気が利かないやつだよ  」


リパーダは その沢山の品々を見て  クレインの行き届いた気遣いに感服した


「 まだ 他にも 色々、注文したのだけど、明日以降にしか届かないみたい💦   今、早急に何が欲しい!とかあったらリストにいれておいた方が 」


クレインが言うと、マコトがすかさず口を開く


「 あー、お嬢さん、煙草 頼んでおいてほしいなぁ 😁」


「  マコト💢 」


オブジェはマコトを窘《たしな》めるが、お構いなしで、ポケットから 本数の少なくなった煙草ケースをだして 見せる


「 ?  それはなに?  」


「  ああ、ルチカのCタイプだ、ほらパラ公やパンプがよく吸ってるやつ 」


キョトンとしているクレインに、ルフィーが説明する


ルチカルフルーチェ〔煙草〕といえば、火を使わないエルクやシクといったデバイスやパッチの電子系煙草が主流だ。


cutステックは ルチカルの乾燥した葉を刻んで 巻き紙にくるみ  燃やして吸う製品で  俗にCタイプと言われている


レイラたちに感化されたルフィーもすっかり 同じものを吸うようになったのだ。


真剣に 美味しさについて語っている


「  ふっ  」

そんな様子にレイラは苦笑



「 センターに頼んでも こいつは 日にちがかかる、  デソリットに行きゃすぐに 手に入るぜ 」


デソリットは 認可を受けない移民や難民が多く暮らす地域で、ブルゥ〔人民革命党 〕や  リカー〔反乱軍 〕、パラ〔反政勢力〕といった危険分子たちも多く潜んでいる



「 ちょうどいい、暇だし 明日行こうぜ~  マコト 」

「OK ❤️」

悪ガキ二人、 笑顔でグータッチ!


「 デソリット?! 今、あそこは ひどい状態だ、治安は以前より 悪化してる!   そんなところ  行くバカはいないぞ!!  」

クレインが眉をしかめる


「じゃ うちら そのバカってことね!」

マコトはニコッとする

もちろん、ルフィーもせせら笑う

「  だな😁 」


「おい! 私の言ってること ちゃんと理解してるか?💢 」



「 そりゃ! もちろん  理解してないと思う!  こいつら 本当にバカだもんっ  」


大真面目な顔で ミヨシが言うと、

周りはドッと大笑い


チッ!と 舌を鳴らして、殴るふりをする ルフィーも 満面の笑みだ


マコトもミヨシの頭をぐりぐりして、

「  まったく かわゆいね!くそガキ坊主ちゃん 」

「やめろよっ💦 」

頭を押さえ込まれ 小さなミヨシはジタバタ暴れる



「 さぁ、  お茶にしましょう✨  クレインが こんな素敵なティーカップ持ってきてくれたんだから🎵  」


ミレイユは楽しそうに カップを並べて、デカンタの飲み物を注いでいる


「  本当にお洒落! このソーサーもいいわよぉ  」


ちゃっかり注がれたお茶を 味わいながら  お皿を眺め回すスズカ


「  ……💦 気に入ってもらえてよかった」

クレインは 適当な返事を返す


そして わいわいとじゃれ合うさまを ぼんやりと見つめた


 チームなどで見られる それとは  

また違ってみえた、

何とも言い表せないものを感じる


しかも その輪に  同胞以外は虫けらのように殺す、あのライヴ・ウェポンが、穏やかな笑みを浮かべ  溶け込んでいた。


「 驚いたね~、きっと君もそうなんだろう?  バカとか言われても、あのルフィーが笑って 済ませるとはね! 」ミヨシ、君は天使だな❤️


リパーダの声に引き戻される


「 あ 💦 ああ、   ん、きっと この遠征は 多くの受難があって、みんなと大変な思いを 共に、乗り越えてきたんだろうな… 」


「 そうだとしたら、羨ましい話だね、物語みたいじゃないか 、今ちょうど、そういうalmightyっていうね、冒険物を読んでるんだ 」


リパーダの冒険物のストーリーも頭には入らない


胸に落ちてくる何か、その何かが分からないまま 今の状況を受け止めることに精一杯、クレインはただ 作り笑顔を向ける




7. ラディアも来たよ

────


ガタッン!!


「 あーっ!おれ、帰らなきゃ!」


ハッとなって立ち上がるユキホ


111ORのエップのお部屋。


食器を借りて すぐもどるはずが 部屋に上がり込んで、おやつなどをむさぼっていた。


「  えー もう行っちゃうのぉ? 今 さっき 来たとこじゃなぁ~い♪   もっと美味しいものが沢山あるから、ゆっくりしていきなさいよぉーん💕 」


エップは ルフィーと同じ突撃部隊で、先鋒 V編三番隊に所属している。


こんなパープーな感じだが、一度 敵艦をキャッチして 張り付くと、どこまでも追い詰めるタフなファイター!  V隊きってのヘッドスピアだ


「 んんー  食べたいけどぉ。だめだっ!  キリコに怒られる!」


「 大丈夫よぉ、ちょっとお菓子食べたくらいじゃなぁい❤️  」


「 いや! そういうのが 一番怒られるんだ!」


「 へぇ~💧そんなに怖いわけ?」 

ユキホのほっぺについたお菓子を取りながら微笑む


「  キリコは半端ねぇ、最強だ!早く 戻らねぇと💦やべぇぞ! 」


「 えー!(^_^;)  じゃぁ、これも持ってってぇ、 曹長んちで食べればいいじゃぁない🎶  あたしも 持っていくの手伝うからっ 」


「 そりゃいい考えだな🎵 」


ユキホが欲張って あれもこれもと漁っていると、  


プュッロロ~~ン🎶


とインターフォンのチャイムが!!


うわぁっ! 


と飛び上がるユキホ、青ざめた顔で振り返る。

まさか、ミレイユが般若と化して現れたか?!


「 あらん、だれかしらん  」


開かれた ウインドウには  OA内局の制服に身を包んだ ラディアの姿が映し出される


『 あの~、向かいの部屋に入ることになりました、通信基盤局 総合調整第一課に所属するラディア・ ボルホルリフキーです! 』


同階の各部屋を 挨拶回りに訪ねてきたのだ


「  ラディア! 」


相互モニターON!手を振り合う二人


『  あ、ヽ(´ー`)ノ  ユキヒョウさん!』


オーソ・ティラーチ局長に気に入られたラディアは、住居は ぜひとも、ファーストビルに!と おねだりしたようだ。


ここまで来ると 変態に好かれるのも ラディアの才能というより他ないだろう



「  そっかぁ!よかったなぁ、ラディア!   それにドグとピッグもいいとこに来たぞ!これ、いっぱいあるから 部屋 持ってくの手伝えよ!  」


ラディアの後ろには ドグとピッグも顔を揃える。二人は前の経歴もあり 艦艇整設計画局の整備部隊に所属したが、次の遠征に志願する予定だ


「    おう! なんか久しぶりな感じだぁ~!どうしたかなぁって心配だったぜ💦   元気そうでよかった!! 」


「  んだんだ  」


「 うん みんな元気だよ! ドグたちも部屋近くて よかった!いつでも遊べるな🎵」


「  (^^;)ゞまさか!  こんなところ住める身分じゃないさぁ💦  おれらは ポータルの近くB3の宿舎だ!遊びにこいよ! 」


「  ごめんなさい💦  私だけ 」

ラディアはあたふた


「  いや~😁  ぜんぜん! 個室だし快適だぞぉ  なぁピッグ! 」


「  ああ!  最高だよ!  それにドグのやつ、戦隊に入れなかったのに、 やたら張り切ってるしよぉ!  」


「 そりゃお前、当たり前だろーが💕 なんてったってなぁ~  こっから出航する  みんなの艦《ふね》を整備できるんだからな!(≡^∇^≡)ハハハ 」( スズカさんの乗る艦を オレが見てあげられるんだ~😁✨✨すごいじゃないかぁ~❤️

 あーだけど💦  そのときが スズカさんとの お別れ!  って事だからなぁ

あーーーぁスズカさぁぁあああん❤️❤️❤️❤️❤️❤️❤️ )


一人で身もだえるドグを見て、???の三人


「 おい、大丈夫かぁ?ドグ? 」


「な、おかしいだろ?」

「 うん、おかしい 」

ユキホは首をかしげる


「 うふふ、ドグさん可愛いです✨」


エアロベースの検疫 以来 、バラバラになっていた四人は 再会を喜んだ





8.結び目ほどけるかい

──


ユキホたちが部屋に戻ると、みんなで楽しいご飯会がスタート!

お酒も入って ワヤワヤと盛り上がる


「 うそぉ! ラディアってぇ、キューブ〔機動隊〕 にいたのぉ~ !やぁだ~!すごいじゃなぁい! 超エリートじゃん!  それがどういうわけで、冴えない ツーバンなんかに?」


「  冴えないって😁💧  私はここに来られて嬉しいです 」


「 ねぇ、 なんか やらかしちゃったとかぁ?  」


「  あ、はい 💧  」


「 やっぱり~笑  そんな軍替えするほど、ドジっちゃうってぇ 、何をやっちゃったってわけ~? 」


「… それは  」


口ごもるラディア


防衛システム回路の遮断、セントラルIBC搭載の小艇を強奪したとは 口が裂けても言えない


「 ねぇ!ちょっとぉー!! もったいつけてないで早くいっちゃってよぉ!!  」


酔っぱらっているエップはしつこく迫る



ドォン!!


ハチがグラスを勢いよくテーブルに置いた


「  やかましいね! でかい声出すんじゃないよっ! 」


「 なによぉ~っ!あんたのがずっと大きいじゃなぁ~い💢 」


ハチとエップは睨み合う

ラディアは慌てて 二人の間に入る


「 💦あの   私がいけないんです、本当に もう、どうしようもないことしてしまって~ それで、 それで、私」


涙をためながら  必死に訴えるラディアは、 あの星に クーネス率いる機動艦隊を導き入れてしまったという自責の念に堪えないようだ


「  やぁだ~!💦  なにも泣くことないじゃなぁい、もういいわよん  」


座り込むエップにラディアは食い下がる


「 いえ、大失態をしでかしたので、言いづらくて… ごめんなさい!  」


みんなからは  どよめきが上り、ルフィーもチラッと見る。


ミレイユが慌てて声を出す

「そんなことないわ💦 」


「  … いや  確かに、そうだよ 」


「    ハチ!」


「  だってそうだろっ、ニヤっ

 DAにとっては、とんでもないやつさ。  捕まえといたOAのアイビーと小艇をねぇ、

たった一人で  脱出させちまったんだから。要は 機動隊の面目丸つぶれってやつだろ  」


「ええ~!あのキューブから?!」

エップが大声を張り上げると、

クレインやリパーダも注目する


「 うっそぉ! (*≧∀≦*)やるじゃぁなーい🎶  なによぉ、曹長たちを助けたヒーローってわけぇ? 」

酔っぱのエップは 床に転がって 喜ぶ


「💦  そんな、全然 違いますっっ 」


「  別に 違くないだろ!  あんたはほんとに、大したことをやらかしたんだ!    そんなおどおどしてないで、 もっと  胸 張って自慢したらいいじゃないか!  」


鼻息荒く、言い捨てると、

エップをまたいで行ってしまう


ミレイユは “偉いわハチ”と、その背中に投げかける


「  ハチさん…」

( ありがとうございます、でも私はルフィーさまからお許しをいただくまでは……  )


うつむいたまま固まってしまうラディア



「 💦  ルフィー、何か言ってあげて 」

ミレイユは小声で 促す


「  ?あん  なんでオレがっ 」


「  もう、 いいから 早く!」

ギロっと 睨むミレイユは ルフィーの背中を押して、


「 あ、リコラコーヒーの粉がまだ残ってるから、クレインたちに 美味しいやつ 入れてあげるわね! 」 


知らん顔で キッチンに向かう


「あ、ありがとう💧 」


クレインは、突然の名指しに戸惑いながら  ミレイユに目を向け、そして ルフィーに戻し、それからラディア…


そして  もう一度 ルフィーを見る


ミレイユを見つめる眼差し


(そうか…  なるほど そういうわけか…)


思わず含み笑いを浮かべながら、クレインはミレイユの元へ



「  ……💧 」


悲しげに立ち尽くすラディアに近寄るのも面倒くさいルフィー


しかし みんなも、ここは あえて 触れない方がいい、そう見守るべきだろう  と、誰も自然な会話を 不自然に交わしていて、あくまでノータッチを決め込んでいる



そうなると ルフィーが 助けを求めるのはレイラしかいない

リュウ~といった具合に振り返る


「  …。 マシンだけでは感覚が鈍《にぶ》る、サハラウェーブだな  」


「   マジかよ 💦 そんなんオブジェとやれよ 」


サハラウェーブとは、 VR トレーニングbox-D  AMM エクサ5の  89ガーデン、  ピンショックが続く 難易度500%のステージだ!


この兵士総合訓練D カリキュラムは、単なるゲームではない。

想像を絶する過激なステージが次々と繰り出され、超級 脳細胞タッチ、骨伝導、筋肉振動で全身を刺激され、激しい疲労感、時に 心臓発作を起こし ログアウトすることも。

強制解除をオフしていると死に至ることもある


もちろん、ルフィーたちは いつもリミッターカットして、恐怖をあおった


「 ふっ、泉はもう かなり飲んでいる 」


レイラはルフィーの隣に座ると、煙草に火をつけた


「 ったく!💦  おれがSP 何本飲んでやってると思ってんだよ-w 」


SP=ソリードパックは一時的に筋肉を増強、肥大させ、パワーやスピードを高める効果をもたらす


「  ふっ 観念するんだな  」

レイラが静かな瞳を向ける


「 …💧   チッ、しょうがねぇな。

  ラディア!」

やっとルフィーがラディアを呼んだ


「 Σ(´□`;) は、はい!💦 」💕


「 そこのシートの ジドーシャガッコー持って来い! そいつは スペシャルブレンドで、ハイパーSP入りだ😁 」イヒヒ


ラディアは嬉しそうに飛んでくる


「ルフィーさま、グラス換えますね❤️   おつまみの小皿をどーぞ! 」


「 ああ 、お前も飲んでみるか?」 

「  はい💕 私もDコース入ります 」

「 ぶっ倒れてもしらねぇぞ!」ムッキムキだかんな!


「 あ、じゃーおれも🎶」

即座に 食いついていこうとする、酒に卑しいマコトを押さえるオブジェ

「 よせ!空気を読め! 」


「 なんでよ~、もう 一件落着じゃないですかぁ~😁✨✨」


「 お前も、竜崎を見習ったらどうだ?稽古をする気があるなら、 私が相手になってやる! 」

じっと見つめるオブジェの瞳はキラキラと輝いている、

… とマコトには絶対的にそう写っていた


「 ヤバい 」鼻血出そう


「 何がヤバいんだ?  お前は日頃からノラリクラリしているから いけない! 」


オブジェはマコトを ぐっと引き寄せる


「 ちょ、ちょっと待って!」

近すぎる💦


「 待てん!」


「 ええー、やっぱりオレにもSP入りの酒をくらはい~ 」

「そんなものはいらん、自分の実力だけでかかってこい! 」


「 そんなぁ~💦くそガキ坊主ちゃん助けて~  」


「 よせ、やめろ!触るな! 」


「 本当にみんな 仲が良いんだね」 

リパーダはミヨシを優しく見つめる


「これ見て どこが仲良く見えるのさ💦  もう!バセンジーじゃ変な化け物と侵略者、ここじゃ頭悪い、口悪い、態度悪いの三悪だよっ!    何ヵ月かかるかわからないのに!   狭いし、うっとおしいし、げっそりだ!!」


うーん、そうか とリパーダは何やら考える


「 💢  河川!

態度悪いって?  まさか私のことじゃないでしょーね!」

だって、頭悪くないしー、口悪くないしー(^∇^)


「 あはは!  態度悪いって!自分でちゃんとわかってんじゃん!  それが嫌なら 顔悪いにしてやってもいいけど」


「 なんですってぇ!💢」


「 スズカさん、落ち着いて~💦」 

ドグが肩をたたく


「  ちょっとぉ!!  汚らしい手で触りなさんなよね!!💢  」


スズカ怒り狂って放電!!

ひぃぃーーぎゃーーーと大騒ぎ!


「おい!オレのジドーシャガッコー割るなよっ 」

「安心しろっ   割られる前に飲み干す!」

「 だめです! 私が守りますから 」

もう何がなんだかわからんぞ~!





9. リパーダの提案

───


キッチンでは、ミレイユがコーヒーを淹《た》てている横で、  

クレインは テーブルに肘をつき それを眺めている


「  いい香りね  」

「  そうでしょう  」

「   なんだか心地いい 」


ミレイユは微笑む

「  コーヒーの香りには 癒しの効果があるんですって…  」


「…そうか 」

クレインは瞼を閉じる


いや きっとミレイユにそんな効果があるのかもれない


今日 会って まだ数時間しかたっていないのに、そんなことを思うクレイン


「 ちょっといいかい? 」

リパーダが顔を出した


「 ああ、今、呼ぼうと思ってたところ、いい香りでしょ  」

「 そうだね 」


「  できたわ! どーぞ、リコラの根っこのコーヒーよ 」

二人にカップを差し出すミレイユ


「 へぇー、君たちの星の飲み物かい?  」


熱いコーヒーをすすり飲むと、

リコラの深くどっしりとした存在感、大地のパワーがなだれ込む


「 いいえ、バセンジーよ 。可愛いお花なの、花も葉っぱも根っこもみんな食べられるのよ!もっといっぱい摘んでおけば良かった 」


少し寂しげなミレイユ、ユキホみたいに食べることばっかりかい?


「 まだ協議は続いているらしいから、今回ばかりは  ガマガエルの好きにはならないだろうよ!もし、その惑星がOAの区画に入れば、また行けるようになるさ!」


「 そうなの?!」


ミレイユの明るい笑顔に、ぬか喜びさせてはいけないと、慌ててリパーダは付け加える


「 あくまで 仮定の話しだよ💦  」


「でも、このリコラの花が咲く 豊かな惑星を守るなら、DAだろうがOAだろうが、私たちブラッセルは、干渉しない方がいい!  どうせならロットやプリスタインが所有したほうが、きっと 人々にとって  より良い場所として開発されるはず  」


「  ほら、クレインの他国びいきが始まったよ 」


「 ひいきじゃなくて、ブラッセルに他星の良いところを見習ってもらいたいだけ!   何て言うか、私たちの国には、なんでもあるようで、何もない!誰もが自由に利用できる旅客機だって無いも等しい!

遠征に出す艦はあっても、シリゼン〔民間人〕に賠償する艦はない!

総局は 人民の生活のことなど お構い無しで、  他星の制圧と領域の拡大ばかり考えている、この体制に 問題があるといいたいのよ! 」


「 また そういうことを大きな声で💦 問題なんて どこの国にもあるものさ、だからって、その問題点を総統にでも言うのかい?  」


「…💧 そうじゃないけど 」


「 そんな どうにもならないアッパーのことより、先ずは僕たちで みんなの役に立てるよう、目先の問題を解決するべきだろ?」


「  目先の問題? 」

ミレイユとクレインは顔を見合わす


「  こんな難民キャンプのような状態では、みんな かわいそうだよ!」


「  ああ、まあ、確かに  」


と、みんなのほうを見てみる、

大スクリーンで、ルフィーたちのサハラウェーブを観戦しながら 同じように体を動かし騒いでる。

さして問題は無さそうな様子だが…



「 だからと言ってね、  このワンビル〔ファーストビル〕は、どこよりも安全な場所だから   」


「 そう! 住むのは ここが一番だと思う  、テロやデモ隊とか 色々 物騒だしね!  」


リパーダとクレイン、ここは激しく同意!


「 うん、そこで!   これは提案なんだけどね、僕らの部屋も みんなに提供して、使ってもらうというのはどうだろう !」


え?となるクレイン、生まれて此の方、 他人と暮らしたことなどない、未知の領域、初体験だ❗️


戸惑っているのは 明らかだった


「  ほら、考えてもごらんよ、みんなが、我が国の戦争によって、損害を被《こおむ》った被害者であるなら、いわばその責任は国民である僕らにもあるわけだろう?   それなのにルフィーにだけ  その荷を背負わせるというのは、それ事態  まず大きな問題であって、つまり  彼らが 今後  無事にシップを補償されて、出航できるまでの間、僕たちが一丸となって 庇護する義務を負うのは 論無く 当然の理《ことわり》だろうよ 」


「 …💧ええ、その通り!  その提案に異議なしよ! もちろん、とてもいい考えだと思う、協力はするけど、ただ私はコミュニケーション能力が低いから、私の部屋に来る人が気の毒なだけ💧 」


「 また、 よく言うよ。君が低かったら、誰もそんな能力は持ち合わせていない  」


「  なんと  おだてられても 事実は変わらないわ、人との距離感がよく分からないの、だから 相手に嫌な思いをさせたりしないかと 気になるけど、考えていても仕方ないから うちでもいいって人がいるなら 喜んで来てもらう! 」


「 じゃ 私が クレインのところにお世話になるわ 」


「ミレイユ 」


「 いくらなんでも 大人数だから、本当に どうやって寝るのかしらって思ってたの  笑  リパーダの提案は助かるわ! 」


まるで聖母のようなミレイユの 笑顔を見つめるクレイン


「 …ありがとう、ミレイユ。 

気持ちは嬉しいけど、 あなたは、ここに居て ほしいから 」

ルフィーのために。


ミレイユが不思議そうな顔をする


「 だってほら、ルフィーは  あんなんだから、 誰かが面倒見てやらないと。 それに、あなたの言うことなら ちゃんと聞くと思うし! 」 


「  そうかしら?  いつも お前はだまってろって!  ルフィーったら、何もわかってないのよ  」


「  -wあーそうね!    そういう悪いところがあるなぁ、あいつは!😁    でも  きっと貴女なら、ルフィーをいい方向に導くはずだから 」


クレインは、ショックピン ステージをレイラと競い合って、 大笑いするルフィーを見つめる 



「  わかったわ!  じゃクレインには、レイラのことをお願いする  」 


「  レイラ?  」


「  ええ、ルフィーの隣で、恐ろしい顔してるでしょ-w    レイラは、クレインと同じ?、コミュニケーション能力 低いと思うから  」


ミレイユはクスッと笑う


「  えっ(*''*)  そうなの?  」


「 ええ!  あなたのところなら、レイラは  きっと  落ち着いて過ごせると思うの 」


ミレイユとクレインは まるで昔からの友達のように、穏やかに微笑み合う




──


「 じゃ僕はこれで失礼するよ!また明日ね 」


リパーダはすっかり熟睡しているミヨシを抱えて部屋に戻ってゆく



オブジェとマコトはエップを介抱しながら、部屋へ送って そのまま そこで寝ることになった。


「  いやーーん、三人で寝ちゃうわよーーーん 💕  」


キングサイズのベッドで、のたまうエップ 

「 そうしましょーーん!」

「💢  マコト!   私たちは隣の部屋を使わせていただくよ  」



ラディアは、ハチとスズカを自分の部屋に招き入れる


「  どーぞ! 私は 明日の用意がありますので、お二人は 先に休んでくださいね  」


「  なんかルフィーのところより、広い気がするわね~! 」

部屋の中を見て回るスズカ


「 どう見ても広いだろ! 

はあ!せいせいした!  あたいはもう寝るよ!」


ハチは、ひと部屋  陣取って

バタン!!と扉を閉めた


くるくるくる~

マウゴラが姿を現す


「 ハチさん、せいせいした!とは?」


「 ああ、やっと一人になれて、スッキリ いい気分ってことさ! 」


「  一人?」


「 あ、あんたは別だよ💦 」



…てことで、おやすみなさい😪