スファニー・レノア編3

10.バセンジーを眺めながら



リパーダの部屋の、巨大なディスプレイには美しく不気味な惑星バセンジーが映し出されている



『 ご覧ください! これが噂のエメラルドプラネッツ!  W34Nb03惑星 バセンジーです 』


ナレーターは 少々興奮ぎみだ。


マウゴラが記録していた KCサテライト〔惑星観測衛星〕とeyesドローンによるバセンジー星の全体映像が公開されている



「   ! ?  あ~!!ここ、私たちが居た星だよっ 」


食事中のミヨシが 口に運んでいたスプーンを放り投げ、 画面に食いつく


リパーダもトレーを持ったまま、立ち尽くす


「 これは… 想像以上だったよ、今時 珍しい。 貴重な資源に溢れた 超級の惑星だったんだね~。アッパー〔上層部〕たちが取り合うわけだっ  」



映像は ワールプール〔宇宙空域〕から、惑星内部に向かって ズームアップされ中継と交差する、


大空から地上に、そして果てしなく  どこまでも 深く濃い 大自然が続いている



───


「 すごいな…💧 いったい どんなところ  」


やはり その様子を息を呑んで見つめる、 こちらはクレインの部屋。


レイラも黙って見入っていた

「 ……。」


バセンジーでの日々は 一言で、簡単に 語れるものではない。



『  尚、現在も 周辺空域では セイバーによる予測不能な襲来が横行し 、それらの制圧、沈静化に向けて、DAの激しい攻防戦が繰り広げられています! 』


ナレーションとともに現在の空域状況が拡大し流される、レーザーが飛び交い、激しい爆発と戦いの火花が舞い散る


「 …この星を巡っては、もめ事が尽きなそう。…原住民たちはいい迷惑ね!  どうせ、軍の都合のいい施設が建ち並ぶだけ!はあ、見たくない 」


ブチッ!


腹立たしさをぶつけるように、モニターを切るクレイン


「 …。」

人が住んでるような気配はなかったが…と思いながらも、口には出さないレイラ。


「 あ💦  見てた? 」

同居人の存在を忘れ、独断的な行動をとってしまった自分に気づく


「  いや、いい。見飽きた景色だ 」

「 そう💦  昨日は…。ちゃんと寝られた?」


「 ああ 」


「 そう、ならよかった! あ、部屋にあるものは好きに使っていいから、食事は…」


と、言いかけると、受信を知らせるメロディとフラッシュ、


プルルップルルッ!  ピカピカ


スクリーンを上げるとミレイユが

ニッコリと微笑んでいる。


『  おはよう! ご飯できたから、一緒に食べましょう 』


朝から元気だな、とクレインは苦笑い、

「 ミレイユ、おはよう。ちょうど良かったわ、私はもうすぐ出るから、レイラの朝食だけ、お願い 」


『 クレインも もう行くの? ルフィーもなのよ~、ご飯要らないんですって(´・ェ・`) 』


ミレイユは少し不満そうな様子、きっとみんなで楽しく朝御飯を食べたかったのだろう


「今日は 式典があるから。 でも、それに出たら、ルフィーはすぐ戻ってくるでしょう、そうしたら、どこか連れてってもらうといいわ 」


優しい眼差しで ミレイユをなだめる、そんなクレインを見ていたレイラが口を開く


「 お前は?」

「 私は、式典の後には、次の遠征に関する講習会、それに リクルート訓練のミーティングもあるし、そのあと演習よ。だから、帰りも遅くなるけど 気にしないで  」


『 クレイン、忙しいのね~ 』

八の字マユ毛のミレイユ


『 なんだよっ😁   お前もとうとう、遠征 やる気んなったか! 』


横から ルフィーが 悪ガキのような笑顔を挟んでくる


「 なっ、 まさか(〃ω〃)、 講習会だけだ! あれは強制参加だから。 忘れたのか?💦 」

急にドアップなんて、  もう朝からビックリさせるなよ


進軍のアイドル、ルフィー・オリジンの爽やかな無敵スマイルは、早朝の少しボケた 脳みそをグワーンと揺さぶる


『 知らねぇよ、俺らにとって、キャンピング〔遠征〕は恒例行事だ、てか 講習会っての、いったことねぇかもw 』

ヘラヘラと笑う


クレインはもちろん、レイラまでも呆れた顔をする



結局二人は、ルフィーの部屋に呼ばれ、ミレイユの出すお茶の洗礼を受ける。


勧められるまま、茶菓子など食べ、とりとめもない話しに談笑する。なんとも優雅な一時を過ごすと、このまま動けなくなりそう…と、奮い起こして立ち上がった


「  そろそろ行かなきゃ、ご馳走さまミレイユ❤️  ルフィー、お前も、式典に遅れないよう早く支度しろよ! 顔がダラけてるぞっ 」

いやニヤけてる…というのが正しいかw


指を差し ニヤリとするクレイン


「 ほざけ-w  もう完璧だ😁  オレは 時間まで飛んでくるぜ!   お前もくるか? 」


ルフィーは デバイスをリストバンドに装着、ヘッドカムをして準備万端と 手を広げてみせる


「 はぁ?  今から? そんな時間あるか? 」


「ONEターンだけだ 」

「 おまえな💢  着替えの時間もあるんだからな、正装だそ! ユニーフォーム持っていけよ  」


え?となるルフィーに眉をしかめるクレイン


「まったく💧 そんなんだから、変な惑星にいくんだろ!」


それから ユニフォームを引っ張りだし、大騒ぎで 支度して バタバタと出かけて行く二人、


「 リュウ! 帰ったらデソリットな😁✨✨ 」

手を振るルフィー


「 また💢 やめとけって言ってるだろ! 」

ギャーギャー


それを笑いながら見送るミレイユと、ぶっちょうずらのレイラ


「 楽しそうね、ルフィー 」ニコニコ

「 …そうか? 」

「 そうよ! さぁ、ユキホを起こして、ご飯にしましょう♪ 」