almightyシリーズ

ハイキング バサラ

1. 大武連




7月20日 大武連戦線が始り、黒龍院富岡チームは駿東地区をクリア、 東部大会まで進出したが、その一回戦で敗退してしまった。


相手はSKの田子チーム。


わずか2スコア差で時間切れとなったが、開いた点数差を縮めてきただけに、その試合終了のホイッスルには息が止まった。



麗羅「……終わったか」


三年間、今年の大会のために導師を務めてきた麗羅の悔しさは計り知れないもので、もちろん応援に駆けつけた皆も落胆した。


ユキホ「あーあ大武連はもうないんだよな~」



スズカ「いい加減にもう忘れなさいよ」



レオン「でもまた奇跡が起きると信じていただけに切ないわね」



ミレイユ「負けてばかりのあのチームがあそこまで頑張ったんだから十分だわ」



ルフィー「 小山との一戦はすごかったもんな‼  」


オブジェ「極微《ミクロ》の東チームは負けたらしい、田子は、まだ勝ち進んでいる。」


麗羅「そうか…やはりSKだな。」



グリーウェ「  やめてよっ!思い出してかなしくなるじゃない!

そうでなくても スクイズボトルを見ては泣き、ユニホームを見ては泣き、あぁ~~、麗羅、あんたのせいよぉー!あんたの指導が悪いからこんなことになったのよぉ~!」



誠「お宅、そりゃないぜ、リュウちゃんがいたから、あのチームはここまでこれたんだから!」



グリーウェ「 ここまでじゃ困るのよ!全国大会を夢見て、毎日、院生たちの面倒を見てきた私の気持ちは どーなるのよっっ💦」


 グリーウェは半べそ状態



スズカ「  最近、黒龍に帰化したまがい物のくせして、よくそこまで感情的になれるわね!」


巳佳「本当だよ、征弄なんて一回戦で終わったっていうのに、東部大会までいけただけでも感謝しろよっ 」



グリーウェ「  そんな 弱っちぃとこと、うちを一緒にしないでよ‼  」



スズカ「  ちょっとお前、失礼なこと言いなさんなよねっっ💢  」



グリーウェ「  本当のことじゃないっ」


スズカ「  なんですって!」



オブジェ「  やめないか!二人とも!   残念な気持ちは  みな一緒だ。だが、選手や指導部官は、もっと無念な思いでいるんだ!」



確かにそうよねと思ったのか、グリーウェもスズカも静かになった。



ルフィー「  あと30秒か40秒ありゃぁなぁ。同点にして延長に持ち込めば駿東戦の時みたいによ、

二分あれば逆転も夢じゃねぇ!

あれだけ  ひらいてた点数をちぢめてきたんだし……」



ユキホ「ああ、すっげぇ、おしかったよな。だいたい6番がフリースローはずしやがるから!」


レオン「あーいうときの15秒ってとても長いのね💦 」


ミレイユ「  カツサンドにしてって言ってたみんなの笑顔が忘れられないわ  」



麗羅「ミレイユ」



グリーウェ「  そういえば、スタメンの一人が極微《ミクロ》東チームと、もう一度練習試合がしたいからって、竜将星に申し出たみたいだけど…多分実現はしないだろうけどね  」



スズカ「そうよ、そんなことしたって大武連は終わってしまったことにかわりないんだから…空しいだけよ!」


ユキホ「  でもオレやるんなら応援に行くぜ!なあキリコ‼  」



キリコとはミレイユのことです。



ミレイユ「  ええ、そうね 」


レイラ「もう今さらだ…」



オブジェ「  院生たちには、いい稽古になる。指導は続けてやった方がいい   」



レイラ「…私は明日から海外研修だ… 導師のHSトレーニングを一からやり直しで8月の10日過ぎまで戻れない。」



グリーウェ「  えー、あんたが どうしようとどうでもいいけど、連中はどーなんのよっ!」


レイラ「  それぞれの道に進むだけだ。大武連など院生にとっては1つの行事に過ぎない。忘れたのか?自分達の時を   」


グリーウェ「  すごい無責任なことをいって、今年の黒龍院の質を落としたのは あんたなんだからね‼  」



レイラ「  あれがやつらの実力だった   」



誠「  まあまあ、今になってお宅らが、いがみ合ったってねぇ  」



オブジェ「   ああ、そうだ。この話はこれで終わりにして、食事にしようじゃないか   」



そう忘れられない大武連の話しはこれくらいにして、本題に移ることにしよう



そうやっとここからが、今回のお話なのだ🎵



2. ミレイユの命令




ユキホ「さあて、めんどくせーけど、畑の草むしりいかねぇとな。応援に明け暮れて、ほっぽらかしだったからな~」



ユキホが立ち上がる




グリーウェ「なにいってんの、今日は、山の診療所にこのケースを届けるんだからね。」




ユキホ「え?」




スズカ「それから凶畑研究所にいって、SAの資料書類を受け取りに行くわ!」




ユキホ「  は?」




シャンソナ「  そして一番大切な仕事は、指定されたこの山と、

復元された  この建築物、そして次の城跡に、ミキゾーノパックを取り付けてくることよ!  」



いつのまにか地図を広げて、

ターゲットポイントをマークしている。



ユキホ「   なにいってんだ?

おめぇら💦    だいたい、何で 俺が行くんだよ?」



ミレイユ「  みんな山中には不馴れなんだから、ユキホ、お手伝いしてあげて! 」



ユキホは、山奥くで生まれ育った。


山猿というあだ名で親しまれている



ユキホ「  んなこというけどよ、ナビでいけばいいじゃねーか!」



スズカ「  山頂までは電波がないのよ!」



ミレイユ「 それに、こんな合同作業は、本当に珍しいことだから

三人が 仲良く行けるように、ユキホが  間を取り持つという大切な役目があるでしょ!」



ユキホ「  ゲーーーっ!何でだよ、キリコぉー💦   オレには草むしりという大切な役目があるんだよ~  」



ミレイユ「そんなことしてたら遅くなっちゃうでしょ!」



ユキホ「  でも畑が  草で、ぼーぼーなんだよ!    せっかく  ぶっちょうヅラと、二人で  頑張って植えてきた キュウリや ナスが、バケモノみたくなってるしさ!  」



ぶっちょうずらとは、レイラのことである。



キュウリやナスが、そこまで大事という訳でもなかったが、こんなやつらと よくわからない山に登るくらいなら、一日中草をむしって、キュウリやナスと、戯れていたほうがマシである。




ミレイユ「 そう、わかったわ。

じゃ私がやっておく!」



ユキホ「え?」



ミレイユ「 ルフィー、手伝ってくれるでしょ?」


ソファで寝そべってるルフィーに振り返る


ルフィー「  おれ?まぁな…」


まさか突然のご指名にビックリして、


なんで俺なんだろうと思うけれど逆らえないルフィー



ユキホ「 えーーーー!そんなことキリコにやらせらんねぇーよ、じゃ 明日にするからいいよ💦 」



ミレイユ「ううん、大丈夫よ!

ユキホが山登り頑張ってくれるんだもの、わたしも草ぬき頑張る!」



どーせ、やるのはルフィーになるでしょう。でもきっとルフィーが真面目にやるとは思えないので

ドグとかタニアとか誰か連れてきてやらせるんでしょう。



とにかくユキホは、グリーウェたちと山登りというのは決定事項のようです



そう誰もミレイユの言うことには逆らえない、これはalmightyの基本なので覚えておきましょう-w




4. 楽しくないハイキング




左手にスイカ畑が広がり、その先には乳牛が放牧されているという

、のどかな景色が現れた。


スズカ「  冗談よね…💧牛がいるわ! 」


自分の目で見ていても、疑いたくなることは たくさんあるものだ。


グリーウェ「  本当に、こっちであってるの?」


心配になって牛と道を交互に見る


シャンソナ「  私がジャンプできれば、ちょろっと行って見てくるのに   」


ていうか、そうなると全部 シャンソナにやらせそうだ


ハチ「 そうじゃん、とっとと見てきなよ!」


シャンソナは、ばつの悪い顔をしているだけ。


グリーウェ「  無理よ、シャンソナは 今、飛べないのよ   」


ユキホ「 え?お前、消えれないのか~! 」


シャンソナとの戦いでは、いつもジャンプで  逃げられているユキホ、嬉しそうです。


シャンソナ「  なんか針とか、電気治療って危険ね!   あれをやってから、どうも   調子悪くて…

まあ、そのうち治るわ  」


シャンソナは、超SS級のテレポーテーション能力を持つ!   

最高ジャンパー!    物体テレポートでは高層ビルなど、地球の反対側まで移動させることができる、自身については、他星間ジャンプにも成功している



ハチ「  はあ?    今 使えないんじゃ、なんにもなんないだろ?」


グリーウェ「   まったくよね!

バカなんだから  」


スズカ「本当よ、役立たず!」


みんなは口々に罵《ののし》りながら、先に進む



シャンソナ「…そんな  ひどい言われよう💦   」


ちょっとまってよ~ !と後を追うシャンソナ



ユキホ「  なぁ、スイカ いっぱいあるなぁ」

    


収穫は とうに終わっており、見捨てられたスイカが  いくつも転がっている。


シャンソナ「  この辺の動物は良いもの食べてるわね。」


かじられたスイカに目をやるシャソナ


ユキホ「 オレも くいてぇ」


スズカ「  やめなさいよ!   腐ってるわよっ 」


グリーウェ「  冬野! 早く前を歩いてよ!  クモの巣係り!」


冬野はユキホの苗字


征弄同盟  不動幽褄飛の下で、 古代種DNAとトランスイーオン《変異特殊能力》の研究に従事していた第一人者、 冬野清一郎の実子として出生届が出されている



ユキホ「  なんの係りじゃ!」



しばらくすると民家がありました、  こんな山奥にも人は住んでいるのだ!


ハチ「   喉乾いたのに、自販機もないね。」


スズカ「  あるわけないでしょーが、こんなところに!」


水筒やペットボトルも持たないで、暑い中を山登りとは…


シャンソナ「  診療所に行ったら何かあるんじゃない?」


民家の横で、おばあさんが 何やら作業をしていた 


五人のほうに振り返る



山歩きを  するような雰囲気など 持ち合わせていない連中に、

こんなところに何しにきたのだろう…という  不信感が漂う



ユキホ「  こんにちわ!」


スズカもその声と同時ぐらいに会釈する。


おばあさん「  あぁ、こんにちわ 」


不思議なもので、挨拶を交わすと、少し 不信感や緊張感は  ほぐれるのか、おばあさんは笑顔になった


ユキホ「お前らも、ちゃんと挨拶しなきゃダメだろ!」


知らん顔して通りすぎるハチたちに向かって注意する



ハチ「  ふん!    そんなもんくそ食らえさ!」


グリーウェ「   だいたい向こうから先にするのが当たり前でしょ? 」


シャンソナ「 こんなところにも、人が住んでるのねぇって思ってたら  通りすぎちゃったわ💦 」


ユキホは目をぱちくり。


ユキホ「 お前らって、何者なんだ?」



上りと下りの二手に別れた道にくると、すぐ側の木には 7ヶ月くらいの子犬が2匹、無造作に繋がれている。



スズカ「 どっちなの?」


スズカは二つの道筋をみて戸惑う


グリーウェ「  こんな道の間に 

あるんじゃぁ  どっちか わかんないじゃない!  」


ハチ「  どうせなら下りがいいよ! 」


シャンソナ「  そーいう問題じゃないでしょ💦  」


四人が真剣に悩んでいる横で、ユキホは犬たちと楽しくたわむれる


ユキホ「  こいつは すっげぇ  慣れてるけど、あっちの犬は、オレを怖がってるみたいだ…    

ハチ!    オレは悪いやつじゃないって   あいつに教えてやってくれよっ  」


ハチ「  下らないこといってんじゃないよ!   暑いんだから、早く行くよ  」


そう言いながらも、犬の方に目をやると、確かに一匹は警戒しているのか、鎖の ギリギリまで離れて、しかし尻尾はふっていた。



ハチは、電波 、音波の静動状態を自在に操り、脳への波形、振幅、周波数を変化させ、脳波 律動に影響を与える周波を作り出すことができる、もちろん超音波も得意のサイコウェーバーだ



グリーウェ「  ハチなんて  近づいたら 、怪しすぎて、犬が噛みついてくるかもよ!😁   」



ハチ「  はん! あたいの力を知らないね!」

    


ハチの体から、ウルトラマリンのアウルが浮き上がる!


途端にうるさかった蝉の声は、

ピタリと止んで、警戒していた子犬は食い入るように  ハチをじっと見つめる



シャンソナ「  ふぁーっ。なんか眠くなってきた  」

シャンソナは大きく伸びをする


スズカも眉をよせて頭をふった


スズカ「 ちょっと!  へんな電磁波、 使うのやめなさいよね!」


グリーウェ「 ? なぁに?」


ユキホ「 くわーーーっ」


頭の中がゾワゾワしてたまらないユキホは押さえ込んで飛び回る


しかし、プロテクターに守られているグリーウェには、なんの作用もないようだ


グリーウェ「  弾性 低周波か…B級ね、使い分けて動物を操るようだけど。人間の脳には軽い催眠効果程度しか影響はない…はずだけど、ユキヒョウ、 大袈裟じゃない?」


グリーウェのアイモニターは、ハチのイーオン(特殊能力)の体質を分析している


ハチ「  ギロっ、つべこべうるさいね! 」


ハチは力を入れて目を見開いた!


ブゥーーーーーーン!!


大きな羽音と共に、蝉の大群が現れてグリーウェに襲いかかる!



グリーウェ「 はっ!きゃぁぁぁ」


シュシュゥゥーーンっっ


驚いたグリーウェは、とっさに全身をブラックメタルのコンバットスーツに身を包んだ!


ハチ「ふふん-w」


蝉ごときでビビっているグリーウェを笑う


スズカ「  いい加減にしなさいよね!」


バキバキバキ、ビビーーー!


空中にカデッチを散布させると、ボトボトボト!と 音を立てて  蝉が地面を埋め尽くす。

   

スズカは、発電能力を備え、自然界の荷電粒子を吸収、操ることもできるカデッチ《電子ビーム》の使い手だ!



わんわんわん!!


我にかえった子犬たちは 元気よく吠えたてた。



ユキホ「  蝉、いっぱいだぁ!」

拾ってボリボリ食べているユキホ


シャンソナ「 はあ… 💧   先に進んだ方がいいんじゃない💨 」




5. 臭いばっかり




登りの道を五人は進む。

草原の小山の向こうに麓の町並みが見える。


シャンソナ「  あー、いい眺め」

スズカ「  おまえ、のんきね!」


ハチは景色より鼻につく においが気になった。


ハチ「  なんか臭いねぇ💦」


ユキホ「  牛だよ!  さっきもいただろ!  牧場なんだな! 」

ユキホは遠くを指差す


言われて見ると、山道の横は ずっと向こうまで柵が施してあり、向こう側には、黒光りした大柄な牛が パラパラといて、のんびり草を食べている



グリーウェ「 ( ゚д゚)ハッ!!💦キャー~ー! 」


グリーウェは、足を上げたり伸ばしたりして暴れ出す


ハチ「  Σまさか! あんた、あれを踏んだのかい!」


“ あれ ”  とは、もちろん、牛の置き土産  うんころべー。


ユキホは、その様子を見て 手を叩いて 大笑い



グリーウェ「  やだ !!  どうしよう! も~ ブーツがぁ💦   いったいなんなのよ~~💢(`Δ´)」


スズカ「  ちょっと!汚ならしいわねっっ    足を振り回さないでよ!」


靴底を気にして、跳ね回るグリーウェから、慌てて離れるスズカ


シャンソナ「…どうやって柵の外にしたのかしらねぇ 」


シャンソナは、そっちの方が気になるらしい


ユキホ「  やーい、うんこっ!

うんこっ!  」キャハハ❗️


ハチ「 あはははっ!  サイテーだね   」


グリーウェ「  うるさい! 💢怒」


シュルルルルル~ー


バチン!バチン!


特殊高機能樹脂で出来た軟鞭《なんべん》ゼオスウィッパーが雄叫ぶ!


切ることも、飛ばすことも、裂くことも、縛ることも出来る 耐油性、耐熱性、 耐候性、耐薬品性、難燃性に優れた変幻自在のムチは、グリーウェのお馴染みの武器だ!



ハチ「   💢 ふん! それなら、こっちは 亀虫攻撃だよ!! 」

ちょっとでも叩いてみな!  おしまいさぁ~😁



ぶぉぉぉぉーーん!!!


パレポロスの大群かー!

いや、悪臭を放つ亀虫だ~~!


迫力には 欠けるが、この数で、あの においを放たれたなら、辺り一帯はくさんど地獄と化すだろう!!



シャンソナ「  💦  それって、うんこと、亀虫のダブるパンチじゃない!!  」


ユキホ「  ギャハハハ! 」

大喜びのユキホ


スズカ「  バカじゃないの!

グリーウェがムチを振り回して、あいつを刺激したら、みんな一気に くさく なるだけでしょーがよ!!💢  」



わいわーい!


そんな こんなと、臭いもので 戯れながら、楽しく進んだ




ユキホ「あれ?道路に出ちゃったよ。」


へんだなぁといった顔で、立ち止まるユキホ

それを追い越し、ずんずん進む四人



ハチ「  ここ! まっすぐいきゃーいいんだよ!  」


シャンソナ「  あぁベンチがあるわ 」


疲れたのか、とりあえず座るシャンソナ


スズカ「 時間無くなるじゃない」

といいつつ自分も座る



ミーン ミーーーン ミーーーン



蝉のうるさいくらいの鳴き声で、余計に暑さを感じてしまう



ハチ「 やかましいねっっ!」

カッと目を見開く!


グワッッーン 


空気を震わすGR波を放つ!


蝉はピタリと鳴き止んだ。


しかし、今度はアブが、ベンチのまわりをうるさく飛び回る



スズカ「  しっ!しっ!   ちょっと、ハチ!これも追っ払ってよ!」



スズカは必死に払いのけるが、ハチはニヤリとしているだけ



シャンソナ「  ねぇ、背中を向き合って…」


シャンソナはスズカに背中を向けて近づいた。


ガタッと立ち上がるスズカ


スズカ「  なんなのっ!お前と背中の皮、剥き合うのなんて!

ごめんだわっ!」



シャンソナ「  💧 汗(;´゚д゚)ゞ

 だれが皮ってっ。」

背中を向き合って、アブを撃退しましょうって言いたかったのに。




道路は、また二股に別れており、直進すると牧場の事務所があるらしい


右は研究センターだ


ハチ「 診療所はどこなのさっ!」

ハチはキョロキョロする


シャンソナ「  山頂いかなきゃ」


スズカ「  山頂いくの?!」


シャンソナ「  ミキゾーノパックは、高いところに設置しなくちゃいけないのよ!」



どんどんまっすぐ進んだが、山頂ではなく、なぜか 古ぼけたトイレが、ポツンっと あった。



グリーウェ「  やっぱり右の道だったじゃない!」



トイレの前に立ちつくす五人…



スズカ「  じゃ、とりあえず…」


ハチ「 とりあえず、なんだい?」


スズカ「  とりあえず、トイレあるからいってくるわ!」


みんなは、お約束のようにガクッとなった

そして、とりあえず みんなで行ってみることになった!



ユキホ「 うわ~!昔ながらのトイレだな」

ユキホは中を覗いて興味津々だ


スズカ「  汚いトイレっ💦 」


ハチ「 まったく、臭いね!」


そう なんだか、臭いことばっかりだ


グリーウェ「  ちょっと!!  

もう、トイレ見学なんかしてる場合じゃないでしょ!  」


シャンソナ「  スズカ!  虫が たかってる…」


スズカ「  えっ!やだっ、とってよ、」

スズカは慌てて後ずさる


ハチ「  いたっ!  あたいの足、踏んでんだよ!(`Δ´)」


スズカ「  もう、中、気持ち悪いから外でするわっ!」


グリーウェ「 トイレの意味ないじゃない!」


ユキホ「  ( =^ω^)やーい!スズカが 野しょんだぁ 笑」


ユキホはうんこや野しょんなど、真性 下ネタ系が大好きなようだ!



シャンソナも周辺を見回している


ハチ「 ?… あんたも野しょんかい? 」



シャンソナ「  違うわよ💦  もう、この辺に一つ、取り付けようかと思って いい場所ないか、探してたのよっ!  」


シャンソナは、少し高台になっている雑木林に ミキゾーノパックを設置したのだった

6.  山の施設




五人は  来た道を戻って 、凶畑研究センターに到着した!


敷地内に入って行く



スズカ「  資料を受け取ってくるわ、すぐ戻るから! 」



建物前の自販機コーナーで、飲み物を買った


やれやれ、

一行は  一休みして 喉を潤す


スズカが来るまで、外のベンチに座って待つことにした



シャンソナ「 あ、すいません!

この先って、通り抜けできるんですか?」


施設のスタッフらしき人間に 声をかけるシャンソナ


岨 「  ?…この先って、こっちは、 黒龍の診療所に行くだけで、行き止まりだぞ! 」


敷地内の東の方向を指差す


グリーウェ「 あ、岨じゃないっ」


岨 「 まりさんっ! どーしたんですか?こんな山奥に!  」


グリーウェ「  見ればわかるでしょ?  届け物よ!   隣りが診療所なんだ、 ちょーど  よかった!  」


グリーウェの本名は竜崎 真梨。

レイラの腹違いの妹だ、昔はサイバティス《改造体》ではなく、普通の人間だった


岨は黒龍の構成員


なんと征弄の研究センターと、

黒龍の診療所が、仲良く隣り合っているとは……


いったい どんな事が 行われている機関なのか?


この後 すぐに それがわかることになる



スズカ「 お待たせ!  ねぇ 隣りが黒龍の診療所みたいよ! 」


シャンソナ「  ええ、今、スタッフから、聞いたところ。征弄と黒龍は共同ラボで何を企んでるのかしら!  」


シャンソナが、意味深な視線を送るが  スズカはケロっと答える


スズカ「 人体実験みたいよ! 

SKと極微《ミクロ》が組んで、イーオンロボ? 作るのと同じようなもんね!」


シャンソナ「   あ、そう💦」

ずいぶん簡単に言うわね~💦


グリーウェ「 あのね! あたし、ロボじゃないから!💢  」




 いくつか 並んでいる不気味な建物を眺めながら 診療所に向かう


よく見ると、その裏側のほうに、  アーケードと金網で仕切られた通路があり、そこをゾロゾロと通る人の姿が見えた



ユキホ「  ん?  あれは!  蛇ノ眼《じゃのめ》じゃないか!  

あー、九千尾《くせんび》に、万頭斬《まんとうざん》、耳亡坊《じむほう》もいるぞ!」


それは、すべて黒龍院の名の知れた荒くれどもだった



グリーウェ「  あらっ  知り合い?」

呑気なグリーウェは笑顔でいう


ユキホ「  まあ、知り合いっちゃー、知り合いかぁ!  

おれが、みーんな  めっためたに叩きのめしてやったやつらだぜ! 

黒龍院の 弱っちぃ刺客たち! 

アハハハ!!」


ユキホは愉快そうに大笑いする



その声に 蛇ノ眼たちが 気づくと、にわかに騒ぎだした!


“ おい!  地獄門のユキヒョウだぞ! ”


“  なんだと!こんなところに何しに来た!!  ”

“   あのヤローめ!  ”   


“  おのれ~~!  今度こそ  八つ裂きにしてくれる~~!  ”


金網を震わせて、口々に罵倒を浴びせる


ユキホ「  へっ!負け犬! まだ、懲りないか!   いつでも  どっからでもかかってきやがれ!  」

ユキホは変顔で舌を出して飛び跳ねまくる!


ミレイユが居たら、どれ程 怒られたか知れないだろう



万頭斬「  なにぉ~!💢  このクソガキがぁ!  今の俺たちは、昔とは違うぞぉぉ💨  」



ドォ~ーーオオオオーン!

ゴゴゴゴゴゴーーォーォーー!!


金網とアーケードを吹き飛ばし、万頭斬は 筋肉肥大して、ユキホの目の前に飛んできた!


シュユユユユユー~~!

ぶはァーーーーーン!!ドゥン!



九千尾も砂煙を巻き上げ、超高速で、ユキホの周りをぐるぐるとまわる


九千尾「 我らに、かなうと思うか!  ヒーヒヒヒヒヒヒ! 」


蛇ノ眼と耳亡坊も あっという間に、ユキホの 背後に回り込む



ユキホ「  なんだ💦こいつら💧 」


驚いて、キョロキョロと四人の動きを見回す



シャンソナ「   いったいなんなの!💦  」



ハチ「  おやおや 笑     これは面白いショーの始まりかい!  」


ハチは  せせら笑うと  さっさと離れたところに飛び退《すさ》る



スズカ「   ちょっと!  ノータリン!   こいつらはね、征弄の開発した 新薬MNSワクチンによって、バイオパワーを身につけ、トランスイーオン〔変異特殊能力〕を備えることに成功した弄壟《ろうりゅう》たちなのよ!  」



ユキホ「   なんだ、そりゃ💦 」


蛇ノ眼たちとユキホは、ググッと睨み合う



研究員「  こらー!お前たちぃ!何をやってる!!  」


ダダッ

騒ぎを聞きつけ、研究員たちが止めに入ろうとするが、


所長「  いや、まて!  第5段階のテストになる、このまま戦わせよう! 」


スタッフ「  し、しかし💦 」



ブフウァ~ーーー!


風塵を巻き上げ、激しい竜巻を起こすと、一番手の名乗りを上げ、戦いを仕掛けたのは九千尾だ!


九千尾「  ヒーヒヒーヒーーヒ~ー」


猛烈なトルネードが処構わず、暴れまわった


シャンソナ「  キャー!」

ジャンプ力を失っているシャンソナが一番に飛ばされた!


シュューウーン!

ゴオオオオオーーーー

シウウウ~~ュューウーン!


ユキホの 全身に細かい痛みが走り、体のあちこちがブチブチと切られ  服はボロボロ、

あっという間に  すり傷だらけになった!


ユキホ「  カッ!  何が ひーひーだっ!!  こんな風、ドライヤーみてーなもんだぜ!!  うぉりゃーー!」


ブァオオーー!


竜巻に 向かって突っ込むユキホ!九千尾を、ガシッと飛っ捕まえて、思いっきり ぶん殴る!


ぶぉッゴォォーー~ん!!


九千尾「  ひーーひー!💦」


耳亡坊 「 九千尾ぃぃ~!💦    

きさまぁぁ~、バラバラにして、 牛の餌にしてくれる~~!」


頭を振って、ソニックブーメランを大量に繰り出した


バフォォ!!シュルルル~~!!



ユキホは衝撃波のアンブレラで、対抗しながら飛び跳ねるが、


強烈なブーメランがユキホのかかとを切り裂いた!


ブシャャャャーー!

血を吹きながらも、体勢を立て直す


ブォーっと激しい光を放ってアウルが放出!!


ユキホ「 チッ!  んな、へなちょこ音波ぁ!!   オレには、マッサージにも なんねぇーぞぉぉ!」


ユキホの体は膨れ上がり、猛烈な勢いで 耳亡坊に体当たり!


ブゥハアア!!!

バァボボボボ~ーっっ!!


耳亡坊「  イヒャァァァァーー!!」


異様な叫び声を上げながら、耳亡坊は  転げまわり消えていった!



蛇ノ眼「 💦 万頭斬!!何をやってる!   早く 押し潰せ!  

一気に行くぞ~~! 💦💦  」


万頭斬「  クソォーー!! 

グォォーーー! このぉ!!バケモノがぁぁ!!  」


蛇ノ眼が目玉を見開き、レーザー照射の雨を降らせる中、巨大な鉄球と化した万頭斬が、ユキホに向かって激突して行った!



ユキホ「  ギリリっ! 💢💢  

だぁれがァーー!!!

バケモノじゃぁぁあ~~~!!」


ユキホの怒りは、頂点に達する!

アウルは巨大な悪魔の形相!

強烈なサイコイディオムとなって 溢れだすと  思いっきり蛇ノ眼たちに叩き衝けた!!



ギィヤァァァァァァァーー!

ゲピー~~~ーー!!


二人は、ビズラのように弾け飛んで 遠くに吹き飛ばされていった



センター長「  💧ど、  どーなってる? なんということだ!!   あれは💦   だれだ?  何者だ !!💦 」


向こうから岨が、喚きながら飛んでくる


岨「  所長ぉーっ!💦   無茶ですってぇ💦  冬野ですよ! 冬野  雪豹です!   それこそ、お宅で作った  とんでもない ばけもんでしょうが!💦 」はあはあ


センター長「  あれが、冬野博士の…💦  」


 岨「  あーあ💦  蛇ノ眼たちを  どーしてくれるんですかぁ💦  」まったく!!



ユキホは 征弄が心血を注いで、作り出した最強の生物兵器であり、当時、征弄の 発生工学、分子生物学、中でもゲノム、DNA塩基配列、遺伝子の複製,組換え,変異,また遺伝暗号の解読や形質発現の過程で、古代生物の基本現象の解析の中、No.ZERO (古代種であるガルーダ族)の生体高分子を受け継ぎ、発生と成長に 成功した数少ない貴重な存在なのだ!



ユキホは遠くを見つめる


ユキホ「    ふ~  」


傷だらけの身体は震え、怒りの炎は  なかなか静まらなかった



ハチ「   なんだい、もう終わりかい、つまんないね~  」


グリーウェ「  ねえ、あの弄壟、本当にバイオパワー備わってたの?欠陥品?  」  弱すぎない?


スズカ「  💧   やっぱり まがい物はダメね。 ははは!(^。^;)」



診療所にケースを届けると、

吹っ飛ばされたシャンソナも戻ってきた


シャンソナ「 はあはあ💦  終わったみたいね💦  

まあ💦  とにかく!二つの用事が、一辺に済んで良かったじゃない!      さあ、気を取り直して、次にいきましょう!」



グリーウェ「  そうね、あの 無駄にデカイ ケースから解放されて せいせいしたわ!  」



そして  五人は  また次の目的地に向かうのだ!