明けましておめでとうございます✨
明けましておめでとうございます✨

囀ずりは死の洗礼

1. 怖い噂話



ガシャン!コロコロ…

ガリガリガリ、ガリガリガリ…


蒸し暑い真夜中、風もないのに、

月見野藪が揺れる時…


ヒュ~~!ヒュー~!


ブルウの頭が姿を現す…


ガシャン、ガシャン…

コロコロコロ…


庭の雀たちは、蒸し暑さにベタつく羽を繕いながら、近頃、話題の怖い話に花を咲かせていた…


「真夜中にね、鳥天のリビングに出るんだって!」


「ええ〜💦」


「小さなカゴがひとりでにだよ、

毬のようにコロコロって、転がるんだって!!!」


「うひゃー!」


「それでさぁ、風呂場の方から、まるで それに答えるように、

ガリガリぃ、ガリガリガリぃって、壁を引っ掻いてるような音が、ずっーと続くらしいのぉ〜!」


「ひゃぁ~!気味が悪いね~」


雀たちは羽を逆立て、身震いする、


キィーーーーーーーィ!!!

ぴぴぴーーイイイイイイ!!!


すると、部屋の中から、甲高い悲鳴にも似た声が轟く、


「しっ!ほら、聞こえるだろ?」


「え?」


「あれは、バニラの叫び声だよ

部屋中、飛び回って消えたブルウを探してるんだって!

え? ブルウはどうしたか??

そりゃマダラに殺されたにきまってるよ!

食べ残された頭だけが、今も月見野藪を さ迷ってるっていう噂だからね〜」


「キャー!ほんと?

恐ろしい~ーー!!!」


「あの事件以来、バニラは頭がおかしくなったって話だよ!」



キャアアアアア~ー!!


目に浮かぶ惨劇…。甦る悪夢…。


その光景の残酷さといったら、今でも目に焼き付いて、消えないという…


今は無き竹藪の上に月
今は無き竹藪の上に月

2. バニラの叫び!



ガシャン!!


「やかましい! この、おしゃべり雀!」


ガンミはカゴの中から金網をキックした。


 “キャー~!”


驚いたスズメたちは、あっという間に逃げ散っていく。


「まったく、勝手なことばかり言って」


スズメの噂話しなんて、殆どがデタラメだ。


しかし、バニラが心を病んでいるのは本当だった。


「気の毒に。ここにいると恐怖しか思い出せないんだろう 」


ベムは暗い表情でポツリと言う


「※PTSDってやつね 」


※心的外傷後ストレス障害

鳥もなるんだね。


ベムとガンミはバニラを不憫に思い、ため息をつく。


二人の隣にオトが来た、


「 来週、新しいおうちに行くみたいだから、環境が変われば良くなるかも!ね、チョコ!」


「ああ、下僕どもが話してた。俺の弟がいる神戸に行くらしい。」


下僕とは鳥たちのお世話をする人間達のこと。


チョコの弟、モカちゃん宅だ。


チョコは、放鳥タイムに情報を集めることをかかさないのだ。


「そうか!よかった、その方が、きっとバニラのためになる。ブルウを忘れることもできるかもしれないね 」


ベムの言葉に、願うような気持ちで頷くガンミたち




ぴぴーーーーぴーーーー!!!



バニラが奇声をあげる度、小鳥たちは、あの夏の日の出来事を思い出す。




ガシャン!!

「やかましい! この、おしゃべり雀!」

ガンミはカゴの中から金網をキックした。

 “キャー~!”

驚いたスズメたちは、あっという間に逃げ散っていく。


───


スズメの噂話しなんて、殆どがデタラメだ。

しかし、バニラが心を病んでいるのは本当だった。

「気の毒に。ここにいると恐怖しか思い出せないんだろう 」
ベムは暗い表情でポツリと言う

「※PTSDってやつね 」
※心的外傷後ストレス障害
鳥もなるんだね。

ベムとガンミはバニラを不憫に思い、ため息をつく。

二人の隣にオトが来た、

「 来週、新しいおうちに行くみたいだから、環境が変われば良くなるかも!ね、チョコ!」
「ああ、下僕どもが話してた。俺の弟がいる神戸に行くらしい。」

モカちゃん宅だ。
チョコは放鳥タイムに情報を集めることをかかさない。

「そうか!よかった、その方が、きっとバニラのためになる。ブルウを忘れることもできるかもしれない 」

ベムの言葉に、願うような気持ちで頷くガンミたち



ぴぴーーーーぴーーーー!!!


バニラが奇声をあげる度、小鳥たちは、あの夏の日の出来事を思い出す。


3. 夏のある日



ミーン 、ミーン、

ミンミンミンミンミンミンミーン


蝉がしつこく鳴いている。

風ひとつ無く、とにかく蒸し暑い、

ギラギラと太陽が照りつける昼下がり。


下僕たちは車に乗り込んで、みんな  どこかへ出かけていった。


リビングには、三羽の子供と、六羽の大人たちが賑やかに過ごすしている。


「柔らかいやつだけ入れるんだぞ!」


ゆらゆら動くハムスターの回し車は、錦華鳥 兄妹ブルウとバニラのお気に入り。


真ん中の出っ張りに、偉そうに止まって指示をするブルウ。バニラはそんなことなど、お構い無しに何でもかんでも入れていく。


いつもは遊び場の遊園地で、開放的に過ごしているのだが、今日はなぜか、カゴの中に閉じ込められていた。カゴと言っても金網を乗せただけのプラスチックのアミカゴだ、


暇なので寝所の整備をして遊んでいるようだった。



「僕も集めたいよ~」


二人の遊びが気になって、背伸びをするように眺めている、こちらは、ヨーロッパ十姉妹のセイバー。


ブルウたちより少し年下で、羽は生えそろったが、まだ口の端が黄色い、幼さが残る子供の鳥。


日頃は三人一緒だが、今日は離されて、セイバーだけ 小さなキャリーケージに入れられていた。



壁際の方には、大人たちのカゴが並ぶ、


「ねえ、あれに入っているって事は、セイバーどこかにいっちゃうのね  」


「 うーん、寂しいねぇ」


ヨーロッパ十姉妹ペア、ニニギとコノハは、セイバーの仮親だったせいか、お別れするのが寂しいようだ。


「岐阜にいくんだよ 」


隣のカゴから チョコが得意気に言う


「そこは、他にも鳥がたくさんいるらしいから、きっと楽しく暮らすわよ 」


チョコ&オト この錦華鳥ペアは、常に人間の回りをうろついているため、かなり情報通だ。



「  ベム!もう少し! 強く引っ張って!」


その隣は ベムとガンミ。ほぼ一年中、魅惑の巣材集めに駆られる狂戦士ペア。


カゴの中から、ネットのはし切れを必死に引っ張っている


「  わかってる!外側からなら、もっと取れるのになぁ 」


ピピピピーーーっと、ベムが囀ずると、廊下の向こうにある 他のカゴからも、頑張れー!と言わんばかりに、小鳥たちが一斉に鳴き出す。


ペーペーペーペーペーーー!


いたずらしたり、おしゃべりしたり、歌ったり、踊ったり、水浴びしたり、一時も落ち着かない、小鳥たちの愉快で楽しい生活。


今日もまた そんな一日のはずだったが…


4.侵入者


カリ、カリ、ススス~ーー


ゆっくりと 窓が動いて開いた、

小鳥たちのいるリビングの窓だ。


下僕たちの姿はない…


静かに 音も無く、ぬぅー~っと何者かが侵入してきた、

だが、小鳥たちは まだ気づかない、

相変わらず 賑やかにやっている。



「…  キョロキョロ」


侵入者の正体は、近所の野良猫ガリレオだった!


昔、誰かに飼われていたのかもしれない、そのため、上手に窓を開けることが出来たのか?


いつも、周辺をうろついて、こんな機会を狙っていたのだろうか?


ガリレオは 辺りを眺め回わし 舌なめずりをする


まさに ドロボー猫とはよくいったものだ、まわりの様子を伺いながら、人間のいない隙を見て、抜き足差し足、忍び足、器用に窓を開け、その毛並みの悪い痩せた身体を、そぉっと、中へと忍び込ませることに成功した。


もっちり、ジューシーな肉団子が溢れる夢の島、


ガリレオは胸を踊らせ、興奮せずには いられない…



さあ!猫と鳥による残酷な宴が始まる!その惨劇の火蓋は今、切って落とされたのだ!


小鳥たちの運命は、もう風前の灯火!



……が、少々、お待ちを!

ここで、あえてハーフタイム


まず先に、防犯対策の重要性、そして、これを読み進めて、猫や鳥を恐ろしい生き物なんて思わないでほしい。


こんな事が起きる  きっかけを作ったのは人間だ。下僕たちがすべて悪い!


窓の鍵を忘れたり、子供たちのカゴにだけ、防護ネットをしていなかったり……最悪だ!


外からの侵入者を甘く見てはいけない。もし鍵を掛けてあっても、まさか、こんなところから?!という場所から入る連中だ。


ドブネズミやカラス、蛇、テン、猫に猿、百舌鳥など、敵は様々

獸避けネットは必須アイテム!


それを施しておくことで、襲われたとしても、人間に気づいてもらうまでの時間稼ぎには十分だ。


助かる確率は上がる。


そして 捕食者に、“ 安易に襲える”   という期待や機会を与えないことこそ大事である。


危機管理は不自然界で家禽と生きる人間の責務のひとつなのだ!



5.ガリレオ登場


ガタン!ガシャーーーン!!



激しい物音によって、ハーフタイムも鳥たちの平和も破られた!



「ごちゃごちゃ言ってんじゃないよ!」



しびれを切らしたガリレオが、戦いのゴングを鳴したのだ!!



まずはキッチンを物色、鰹節の臭いを嗅ぎ付けると、食器棚の上に飛び乗った。そこにある小物や、なんやかんやをすべて叩き落とす



バサバサバサ!!ビビビビ!!



鳥たちは、ようやく その音でガリレオの存在に気づく


そこは飼い鳥の呑気さだろう



「なに?すごい音がしたよ!」


気の小さいバニラは頭を引っ込めた



「しっ!バニラ、なんかすごいのがいるぞ!」


ブルウは背伸びして覗く



「なんかって?((゚□゚;))」恐いよ!


「静かに!なんかゴワゴワの毛に覆われた四つ足のやつだ  」


ブルウは冷静にじっくりと観察した。


ガリレオは赤茶トラの薄汚れた毛皮を、あばらの見える身体にまとった野良猫というのに ふさわしい輩。


「えー、バケモノじゃない!」


ブルウとバニラはカゴのなかで小声ではなす



「びびーー!なぁに?なぁに?」


セイバーも飛び跳ねている!


人間が帰ってきたのかと思い、この狭い所から出してほしくてアピールだ



「…?」


セイバーの声と羽音にガリレオはふりかえる!



鳥天のかごには、ネットが施されていて、簡単に襲えないようになっている。ガリレオはそれを知ってか、知らずか、まずはキッチンの食べ物に向かったのだが…


なんだ!鰹節なんかより、良いもんがいるじゃないか!


ニヤリと笑って、ギラギラと目を輝かす



「ぴ?だれ?」


この頃、まだビーンズは居ない


セイバーは毛むくじゃらの四つ足など知らない、


人間に育てられたせいか、大した警戒心もなく、初めて見る生きものを、クリクリとしたかわいい瞳で、だだじっと見上げた



「ふっ、あたしが誰か知ったところでなんになる?」


ニャ~ー!


食器棚から飛び降りて、セイバーの小さなカゴめがけて猛烈な勢いでタックル!


「  うひ(*゚∀゚)ャーー」


大きな目玉が金網に張り付いて、ギョロギョロとセイバーをなめ回す


「な、な、なに?」



ガリレオは毛深い前足をカゴの隙間に差し込んで、モフモフ肉団子を捕まえようと必死にかぐった!


熱い鼻息が ふーっ ふーっと吹き荒れる


チチチチチチチチ!!!



セイバーは、それはもう 恐ろしくなって、途端に狂ったように大暴れ!


バサバサバザ!!


バケモノ~!バケモノだ~!

誰か、ここから出してよ~!

Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)


6.頑張れ!セイバー!


「やめろ!セイバー!!じっとして!小さくなってカゴの底に伏せるんだぁ!」


ベムは 大声で叫ぶ!

ベムは老猫ザイチと暮らしていたことがあり、猫は動く生き物に過剰に反応することを知っていた



ガシャン!ガシャン!


小さなカゴはコロコロと転がる!


ギギギギギー、びびびびび!!!


大人の鳥たちはそれを見て、青ざめ、慌てふためく、大袈裟に 騒ぎ立てて 飛び回った。



ドガッン!ガチャガチャン!!


ガリレオは、それらに振り返ると、挨拶がてらに飛びかかる!


カゴをひっくり返し、飛び乗って、爪に引っ掻けると蹴散らした


ガシャガシャ!!  

ガッシャン、ガッシャン!


しかし、大人たちのカゴには、防護ネットがしてあるため、手を入れることはできない。



「ヾ(゚д゚;)なんと! 大陸の悪魔が現れたぞ!これは緊急事態発生じゃ!下僕はどうした?!下僕を呼べ!!!」


ガラスケースの中から、大暴れするガリレオを眺める。


鳥天の長老、丘ヤドカリのセトササラだ、


ヤシの木を登ったり降りたり、ウロウロとしてみたが、成す術もなく、砂の中へと潜り込んだ。




ガラガラ~~!!ガッシャーン!!



「ねぇ!何が起きてるの!!」


回し車の下の隙間に、ペッタリと くっついて伏せているバニラには何も見えない。


「 しっ!いいから顔をあげるなよ!」


自分だけこっそり覗いているブルウはバニラを制す。


すべてのカゴをぶった押して、思いきり暴れたが、それでも中身にはありつけない。


「…ちっ 」

ガリレオは苛立った。


セイバーのところにとってかえると、ひっくり返したカゴを表にむける。



「さあ、そこから出てきなよ。あたしが誰か教えてあげるからさぁ!」


ガシッとカゴを両手でつかむ



「 自分じゃ出れないよ!でも!出れたって出たくないよ!!」


セイバーは怖さのあまり、また大暴れしてバタバタと騒ぎ立てた


「そうかい!じゃ引きずり出してやるだけだ!」


ガリレオは鋭い爪を立て、金網の間からセイバーを襲う


「びびび!!!たすけてぇぇぇ!」


かごはひっちゃかめっちゃかに振り回されるが、はめ込み扉は頑丈で、開くことはない。



「ねえ、セイバー、ヤバくない?」


ガンミは、ひっくり返ったカゴの中、底板の間で心配そうにしている。


ベムはぐっとガリレオを睨む


「よし、みんなで騒いで、こっちに気を引くんだ!」


「うん、下僕たちが帰るまで時間を稼ごう!」


チョコたちは羽をひろげた


ぺーぺー!ぺーぺー!

ぺーぺーぺー!


大声で鳴きながら、バサバサとカゴの中で飛び回って見せると、


「わーーー!(;´゚д゚)ゞきた」


さすが猫だ!ガリレオの素早い反応は恐れ入る。軽功的な身のこなしにコノハは震え上がるが、


「卵、産んでなくて良かったわ」


カゴをガシガシされながらもニニギはそんなことを呟いている。

雌の方が肝が据わっているものだ。


「おーい!こっちこっち!!」


チョコもバサバサ羽を震わす


よしきた!そっちもか!とガリレオは、カゴに向かって飛びついていく。



カッシャーーン!ゴロゴロゴロ



「いたぁい!塩土が頭に降ってきたわ😒💢💢」


オトは白く美しい体にかかった土を払うように羽ばたく


「なーんだ、大したことないわね~!」


ペーペーぺーぺーーーー!

バカにしたようにガンミが鳴くと


ぺーぺー、ぺーぺーぺーぺー!


廊下の向こうのフロアから、小鳥たちが また一斉に囀《さえ》ずった。


びびびびびーー、ぴぴぴーー!


何も知らずに、いつもの呑気な声援を送っている。



「うるさい!おだまり!」


ガリレオは、これでもか!と、すべてのカゴを、めちゃくちゃに降り飛ばした。





7.戦え!ブルウ


どんなに転げまわしたところで、肉団子に ありつけるわけもない、

どうにもならない鳥かごに  嫌気がさしたガリレオ。


やはりセイバーの方に目を戻す。


明らかにこっちの方がなんとかなりそうだ。


飛んでいくと鋭い爪を出し、カゴをひねくり回す。



「ぴーー!やめて!こわいよー!」


セイバーは泣き叫ぶ!



「セイバー、いい子ね!じっとして!」


「そうだ!下僕が帰るまでの辛抱だぞ!」


みんなは叫んで、必死にセイバーを勇気づける。



「こら!バケモノ!こっちにこい!」


ベムたちも必死に羽ばたいて気を引こうとするが、もう振り返りもしないガリレオ。


金網の隙間からセイバーを引っ掻けようと躍起になっている



シャーーー!ガチャガチャ!



凄まじい形相のガリレオを前に、小さなセイバーはどれ程の恐怖を味わっただろう。


とてもじっとしている、なんて事はできなかった。



チチチチチ!!



カゴをこねくりまわされ、

羽を広げてバタつくセイバー!


するとガリレオは網からはみ出すセイバーの羽を捕まえて、とうとう残忍にむしり取る!



「ぎゃぁぁぁ!!」



小さなセイバーの身体から血が飛び散った!


ピキーー!バサバサ



セイバーの血しぶきを浴びて、更にガリレオの中の悪魔は躍り出る!


ウウゥガァ!!



金網ごと豪快に食らいついて見る!


チチチチチー!ぴぃぴぃぴぃぴぃ!


鳥たちは激しい警戒音を発して暴れた!!!



「くそーー!!」



目の前で 友達のセイバーがやられている、

なのに どうすることもできないのか(*T^T)


ブルウは巨大な化け物を前に悔しさに身をよじる!



「ねえ!何が起きてるのよ」(;´Д⊂)



バニラは我慢しきれず、コソッと頭をもたげる…


そこには恐ろしい状景が広がっていた。


全身を針のような毛で覆われた四本足の化物が、目を爛々と光らせ、セイバーの羽ごとカゴをくわえて立っている!


何より目に飛び込んだのは、血を流すセイバーの姿だった。



「ひゃーーー!」


バニラは気を失いそうになった。


「バニラ、しっかりしろ!」


「だって!だって!」



ゴトーーーン、ガシャン!



セイバーのカゴが、バニラたちのすぐ側に 投げ飛ばされて 降ってきた!


セイバーは血まみれになっている!



生きているのか!


セイバー!セイバー!



ニニギとコノハが暴れている

ベムたちも騒いでいる



カゴの隙間から息を殺して、覗いていたブルウは覚悟を決めた!


「いいか!バニラ」


「よくないよー!こわいよ!こわいよ!化物がぁ!」


「ばか!おちついて!このままじゃ、俺達、三人とも あいつに噛み殺される!」


「きゃーやめてよ!」


「だから!だから、いいか!兄ちゃんの言うことをよく聞くんだ!!」


ブルウは燃えるような瞳を、バニラに向ける。

バニラにはもう、言われなくても想像がついた。


「だめ!まって!!!

だってセイバーは!もう死んじゃってるかもしれない!」


引き留めたいが為に酷いことを言った、しかし…


ぴぃ!!ぴぃぃ!


散々な目に遇わされているカゴの中から、セイバーの小さな声が聞こえた!



「セイバー!」

ブルウは羽を振るわした!


セイバーはまだ生きている!


セイバーだって頑張ってる!


俺だって!俺だって!

やってやる!!!!



「おい!こら!てめー!バケモノ!!」


ブルウは叫んだ!


ビビビビーーー!


カゴの中から、ブルウがバタバタと飛び回って精一杯の威嚇をする!



「?」


なんだ?あのカゴにも 何かいたのか?


ガリレオはすっ飛んできた!


そして猫らしく、そっと、金網に手をかけると、カタンッ

いとも容易く開くではないか



「ドキドキドキドキ」

バニラは隠れてじっとしている。



ブルウはズレた網の隙間から、素早く外に飛び出した。



「このマヌケ!ウスノロ!こっちだ!かかってこい!!」


外に出られれば、こっちのもの!


スイスイと華麗に飛び回る!



「おや!活きがいいね 」

ガリレオはニヤリとする



しかしブルウには戦う術など、1つもない!戦いを挑んだところで勝ち目もないのだ



「いいから!こい!」汗


ただ、なんとか セイバーから気をそらせ、バニラに近づけないこと!

そして、とにかく逃げ回り、時間を稼ぐことだけだった。

8.決心


「あぶないぞ!あんまり近づくなよ!やつは牙や爪だけじゃない!すごい瞬発力と脚力をもっているんだ!」


ベムはカゴに張り付くようにして叫ぶ!


「そうだ!ちょっとでも引っかけられたらおしまいだ!」


ベムとチョコは若いブルウに希望を託し、なんとかカゴから抜け出そうと もがいている。


もう時間稼ぎなど悠長な事は いっていられない。


そう、

ガリレオを殺すのだ!!



「にゃ~(’-’*)♪」


ガリレオのほうは、顔に似合わぬ可愛い声を出して、口を半開きにし、獲物が獲物らしく、うろちょろとしてくれることに、堪らない喜びを感じていた。



ピピーーー!


だがブルウは普通の篭の鳥ではない。日頃から家の中を好きなように飛び回っているスーパー錦華鳥。

羽の筋肉も強靭で、運動神経も並外れている、パワー溢れる若鳥の雄。

間合いさえ取っていれば、ガリレオに捕まる事などあり得なかった。


窓の縁や棚、テレビの上などに止まりながら、体力を保ち、上手に飛び回るので、ガリレオも集中して追い回すものの、 やはり捕まらない。


「へへーん、ここまできなよ!」


対峙する恐怖心も克服したブルウは得意気だ。



「はぁ、疲れた、めんどくさ 」


しかし、ガリレオのほうは獲物らしい肉団子に、喜んだのも束の間  捕れなければ、やはり面白くない。


そうなれば、まだ隙間から手を差し入れれば、なんとか取れそうなセイバーの元へ戻って行く。


「まてー!ちがうだろ!!」


ガリレオの背中の方から飛んで行く!


シャーーー!

ガリレオは前足を振るう!



「!おっと!」


間一髪でブルウはよける!


「 あ~あぶない!!もう、見てられない((T_T))、セイバーの出血もひどいし、下僕たち、早く帰ってきて!!」


覗き見ているバニラはハラハラ


カタン! 


はっ! しまったΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)

足を滑らした


回し車が揺れる、かすかな音。


ガリレオの耳がピクリと動き、目玉がギロッと網カゴを睨む


「?まだ、なにかいる?」


バニラは 咄嗟に伏せると、餌入れと壁の間に体をねじ込み、ぎゅっと目をつむる。


頭の中では、ブルウと一緒に 大好きなコードに乗っかって遊ぶ 妄想を描く。


カチャン、ふぅー、ふぅー、


鼻息を吹きかけながら、カゴを覗くガリレオ。


犬と違って、その仕草は 上品なもので、すぐにひっくりかえしたりはしない


バサバサバサ!


「おいおい!よそ見をすんなよ!」


ブルウはガリレオの回りをかすめ飛ぶ。危険射程エリアだ


「ええい、煩わしいね!」


ガリレオは素早く前足を振るうが、もう捕まらないのを知っていてか、追いかけようとはせず、またもセイバーのカゴに食らいつく!


ガガーーゴリゴリ


金網を食い破ろうと両手で押さえ込んで、牙を立てる!


グググぅ、ガシャガシャン、ガシャガシャン


猛烈な勢いだが、セイバーは瀕死なのか、反応はない。


セイバー!セイバー!


ニニギたちが 騒がしくカゴの中で暴れている。



バサバサバサバサッ!!


「やめろーーー!!」


ブルウは、ガリレオの鼻先めがけて飛び込んだ


「しつこいね(怒)」

カゴから口をはなす。


金網に食い込ませていた鼻の上には痕がついていた。


前足の爪にはセイバーから流れ出た血がこびりつき、捕食者の風格を表している。


それをざらついた舌先でベロベロと舐めあげながら、飛び回るブルウに目玉を動かし、飛距離を図るように見つめている。


ブルウは棚上の長い状差しに止まった。


「今度こそ、捕まえて食ってやるよ 」

後ろ足で床を強く蹴って、飛び上がる!


ブルウはさっと飛び立ち、ガリレオの頭上にはペン立ての中身がふってきた。


ガッシャーーーン!


「ざまーみろ!マヌケ!」


「クソガキ!!」


ガリレオはカッとなり、

キチガイのように走り回って追いかける!


とにかくブルウは逃げ回るが、このままではラチがあかない。


しかし、引き付けておかなくてはセイバーへの攻撃が開始されてしまう。


この化け物をどうしたらいい!


ペーぺーぺー!ぺーぺーぺー!

ぺーぺーぺー!ぺーぺーぺーぺー!


フロアの錦華鳥たちの声援は続く

9.助っ人ベムとチョコ


「ブルウ!」バサバサっ!


チョコがブルウの側に 羽ばたいて現れた。


「あ✨チョコさーん!」


ガンミたちはチョコをみる。

いつの間に出たんだ?


倒されたカゴの扉は半開き。

防護ネットを止めているクリップの隙間から、チョコは上手に抜け出していた。


「ベムも早く!」


元々、チョコもベムも カゴ抜け名人。ネットをぐいぐい引っ張って、ベムのことを外へと誘導する


「よーし、三人で力をあわせて、化け物を倒すぞ!」


脱出に成功したベムも、チョコと共に棚の上に置いてある 止まり木に舞い上がる


「どうやって~ーー!」


ブルウは嬉しそうに後を追う。

倒す!なんて、とても想像がつかないが、二人の登場で心強くなった。


“あれしかないな!”


ベムとチョコは深くうなずく。


「 まず、廊下に誘い出し、洗面所の方に誘導する!」


「でも、そっちは行きどまりじゃ…」( ; ゜Д゜)


「いいんだ!風呂場にある大きな水入れに、やつを落とすんだよ!」


「え~!すぐでてくるんじゃない?」

ブルウは不安そうな顔をする


「 いや、中には大量の※アカモクがあって、ぬるぬるなのさ!」

な!っとチョコはベムをみる


※海で取れる海草


下僕たちが 取ってきたアカモクを、 洗って下処理し、バスタブに浸けてあるのだ。


「ああ、一度落ちたら、自力では這い上がれない。なにせ、粘性力の高さといったら半端ない!」


「俺達だって、危うく溺れて死ぬとこだったんだ!」


チョコ、そんな得意気に言うことではないぞ


「ははは💧」

苦笑いするブルウ


朝の放鳥タイムに チョコたちは決まって洗面所で遊び、ろくなことをしないのだ。


ガリレオは、三羽のモフシリ団子を舌なめずりしながら見上げている。


「うまそうだね~💕そんなところで、あたしが来るのを待ってんのかい!」


ガシ!ガシ!!ガチャーーーン!!


テーブルから棚へ、そして 大きな止まり木の台へと飛び乗った。


ブルウは 慌てて飛び立つが、ベムとチョコは 気にせず 余裕を見せる


“ほら、食いにこい!”


ぴょん、ぴょん、パサパサっ、ぴょん、ぴょん、ぴょん


二羽は枝から枝へ飛び移り、ガリレオをおちょくった。


チュポーーン、チュポーーン!

スイッチョン タラスイッチョーーン


“食べ頃だぞ~!”


柔らかい羽毛に包まれた、ふんわりもっちりモフシリ団子の蠱惑《こあく》的、さえずりダンスだ!


お尻をふりふり、愉快そうに、踊ると 何気なく 洗面所の方に誘っていく


「 じゅる、ペロリ」( ̄¬ ̄)


ガリレオはヨダレをすする


もう 口の中は モフシリ肉団子の味でいっぱいだ!

10.バトルロイヤル



ガリレオは 棚からヒラリと飛び降りて、小走りにベムたちを追いかける。


洗面所から バスルームへ、

その先は行き止まりだ!


ザザザーッ  カラン!

洗面器を蹴り飛ばす


「 バカだね、逃げ場はないよ!」


シャーーー!

ピピピピ~ーー


バスタブの上で、羽ばたくベムたちに ガリレオは下から攻撃の手を繰り出すが、なかなか飛びついてこない


「 こっちだ! こいよ!」

「ビビってるのか?!きてみろ!」


ベムとチョコは必死に誘う


バスタブの中に飛び込ませなくては、アカモク汁をたっぷり食らわせ溺死させることはできない


「こい!のぼってこい!」


「ちっ!焦らすねぇ。とっとと観念しな! 」


ストンッ!


ガリレオは、仕方なく バスタブの縁に飛び上がる


ベムとチョコは必死だった、

風呂場は狭く、一歩 間違えば 鋭い爪の餌食になりかねない!

ぐっと 見つめ合い、力強くうなずくと、


勝負!!

二人は揃って壁側の縁に止まった!


さあ、強烈な一発をお見舞いするぞ!!!


スイッチョン タラスイッチョーーン

チュポン、チュポン!

チュッポーーーン💕


悩殺モフシリ!ローリング タイフーン!!


しゅるるるーー!!シュパーーン!


二羽は 華麗に舞うと、風切り羽で水面を弾く!


しぶきと共に、ジューシーモフシリ肉団子たちの振りまく、魅惑の香りが ガリレオをしびれさす。


チュポーーン、チュポーーン!

チュッポーーーン!

スイッチョン タラスイッチョーーン

スイスイスイッチョーーン(’-’*)♪


あーー、たまらん!


「そこにいな(^q^) 頭以外、みーんなきれいに食べてやるからね~!!」


ダダッ!

ガリレオはジャンプした!


「!!」


ツルッ!!


濡れた縁に足を滑らせ、体勢を崩す!体をひねらせたまま、もんどりうって 浴槽の ど真ん中に、

ボトォォン!!と落っこちた!


バシャッバシャバシャ!!

カシャガシャ、ドゴン!!ドゴン!


凄まじい勢いで暴れるとアカモク汁が体毛にネットリと絡みつく!

ガリレオは ビビりまくって、大慌てで 飛び出そうとするものの、うまく出られない、焦れば焦るほど滑ってしまう


ぎゃーーぁーおおーー!

ギィヤヤヤーー!


あり得ないような雄叫びを上げて、騒ぎ立てるガリレオを冷ややかに見下ろすベムとチョコ


平然とさえずる


チュポーーン、チュポーーン!

チュッポーーーン!

スイッチョン タラスイッチョーーン

スイスイスイッチョーーン(’-’*)♪


「ボンジリが好きだって? でも通は頭を食べるんだぜ 」


小鳥のさえずりは死の洗礼!!



バタン、バタン!!

バッシャーーーン!!

ぴぴぴぴーー、ギャオオオオー

ガシャ、ガシャ、ガシャ!


物騒な音がいつまでも続いている。



──


ブルウは部屋から出たことがなく、

風呂場の騒々しい物音を聞きながらも、なかなか行く勇気がでない。


「大丈夫かな~( ; ゜Д゜)」


羽を振るわせ、旋回しながら、だだ洗面所に続く廊下を覗き込んでいる


完全に向こうに気を取られていた。


その一瞬だ!


ガタン!!シュッ!!


「はっ?!」


パクっ!  いただき!


目にも止まらぬ勢いで、デカイ何かが、フラフラ飛んでいるブルウに飛びついた!


それは 二匹目のバケモノ、マダラだった!


たまたま、近所を巡回していたマダラは 引き戸の隙間が開いているのを見つけ 入り込み、影からこっそり狙いをつけていたようだ


ぴーーーーピー~ー!


「ブルウ!!」

バニラはブルウが食べられたと思って叫ぶ!


バサバサバサッ


「 くっ!そうはいくか!!」


上手く もがいて、くわえられた口から逃げ仰すブルウ


「なに! 」

マダラの両手は空を掻く!


パタパタパタ


よろけながらも、上昇して  なんとか カーテンレールに止まる


「 ふ~💦ヤバかった 」汗


マダラは、ギラギラと目を光らせ、口惜しそうに ブルウを睨んでいる


ガリレオより一回りも大きく、迷彩模様で がっしりとした体格、太くて強靱な手足、これはまた とんでもないバケモノだ。

ブルウは青ざめてマダラを見下ろす


いつの間に入り込んだのか、廊下の方に気をとられていて、まったく気が付かなかった


「ブルウ💦大丈夫? 」

真下にあるカゴの中から バニラが顔をだす


「!頭を引っ込めろ!!バカ!」


パワーもスピードもガリレオの比ではない。こんなやつまで、家の中で暴れられては、


みんな確実に殺されてしまう!!


考えてる時間はない、ここから連れ出さなきゃ!!


ブルウは覚悟を決めた


「バニラ!!!いいか!下僕が帰るまで、絶対でるなよッ!」


ピピピーーーー!


そう言うと、マダラの前を わざと緩やかに かすめ、ブルウは外へと飛び出した!


「  まて!」


マダラも釣られて、その後を追う!


「ブルウーーっ!!」


行かないで!ブルウ~ーっ

バニラは叫んだ!



洗面所のほうでは、


どぉゴゴゴォーン!

バシャャャャャぁぁーーーン!!


ガリガリガリガリガリガリ!!

ガシャガシャバシャバシャバシャッ


激しい音がどのくらい続いたのか…


バニラはベムとチョコの血まみれの姿を想像する。


ブルウも 戻ってこない

あの怪物マダラに捕まってしまったのか…


怖すぎてブルブルと震える、

全身から血の気が引いて、石のように固まった。


「アシャーマサンハ夢じゃ。目を閉じろ、眠るんじゃバニラ 」


セトササラが優しく声をかけてきた


「ブルウ…」

溢れる涙と共にバニラはそっと目を閉じた。


そう、これは夢。


目を開けたら、きっと、いつも通り、のどかな光景が広がっているはず。



ガシャ!ガシャガシャ!

ガリガリガリガリガリガリ


そんな音も遥か彼方に消えていく。


バニラはそのまま気が遠くなり、いつの間にか眠りについた。

11.勝利のさえずり

ピーッピーッピーッピーッ、

バタン!バタン!


バック音がして 車が止まる、ドアの閉まる音もする、

インコたちがよく真似てる音だ。


ようやく下僕たちが帰ってきたのだ。


ガチャ!

玄関が開く!


ベムは、真っ先に飛んで行った!


「やっと帰ってきたぁ!」


ピピピーッっ!ぺーぺーぺー!


人間が大好きなベムは、いつも肩に乗って、ご機嫌な さえずりを聴かせるのが日課だが、

今日ばかりは歌わない。


「あれ?ベム!何で出てるの?」


下僕1号が驚いてベムをみる


「ちょっと、窓がすごい あいてるんですけど!」

外で車から 荷物を運び出していた、下僕2号が大声をだす!


「え?ドロボー?!  」


リビングに入った3号は 凄まじい状況に目を見張る!


「遅いじゃないさー💦 」

ガンミたちはカゴの中で飛び跳ねている。


「  うわーー!!なんじゃこりゃ!」


部屋の中は 激しく荒らされ、物が散乱していた。

すべての鳥カゴはぶっ倒され、

転がされたキャリーケースには、セイバーの無惨な遺体が転がっている


「なんてひどい!!」

「暑苦しいと思って、ネット着けていかなかったから!!」

「かわいそうなセイバー!」


下僕たちは、口々に嘆いた。


「はっ!ブルウとバニラは?」


慌てて 二人のカゴに振り返ると、こちらも網が外れている。


えーー、どこにいった?!


恐る恐る部屋の中を探し回る、

まさか、部屋のどこかで食い殺されているとか…


下僕たちはそう思うとゾッとした


「……。」


いや、もしかして 網の外れたカゴの中に… 居るわけはないだろうが…と、そぉっと覗いてみる、


「!  バニラぁ!!」


なんと、回し車の下の隙間に 小さくなって隠れているではないか!


「バニラ!お前、ちゃんとカゴの中にいたの! こんな隅に小さくなって!  たった一人で隠れていたの?」


1号は、ボロボロ涙をながして、大声で泣きながら バニラを抱き上げた。


「ブルウは?」

「どこにもいないぞ、羽が散らばってないから、部屋の中で殺られてはないみたいだけど」

「外に逃げたのかなぁ」

2号たちは、いないブルウを探し回る


“いいか!バニラ、兄ちゃんの言うことを聞くんだ”


“下僕たちが帰るまで じっと隠れているんだぞ!”


ブルウの声がしたようで、バニラはそっと目を開ける、


「!!」


羽をむしりとられ 血みどろになって横たわるセイバー、

バケモノの爪痕を残す混沌とした情景。


そこにあったものは、悪夢のように恐ろしすぎる現実だけだった、バニラの胸はバケモノたちの鋭い爪で 容赦なく引き裂かれる!


ビビビビーーーー!!!


思わず、下僕の手から飛び出した!


キキキキキィィ~ーーー!

「ブルウはどこーーー!!」


吹き出す恐怖が押さえきれない、決して覚めることのない悪夢にバニラのすべてが粉々にくだけ散る。



──


ぎゃぁぁぁーーー!!


洗面所の方でも悲鳴が上がった!


「ちょっときて!!!!Σ(-∀-;)」


下僕4号が大声で呼ぶ!

どうした!とみんな急いで飛んでいく。


えええええ~ーー!!!


「 何で、猫が風呂桶で死んでんの?」


バスタブの中には、相当もがき苦しんだと思われるガリレオが、眼をむき、口を半開きにして アカモクに絡まり浮かんでいる。


シャワーホックにはチョコがとまっていた。


「チョコも出てるし💧」


下僕1号が手を差し出す


「待ちくたびれたぜ!下僕共!」

「そうだ!そうだ!」

ベムもチョコも下僕の腕にとまると、お尻を振って歌い出す


チュッポーーーン、チュポン、チュポン!スイッーチョンノスイーッチョン、スイーチョンデスゥイーチョョン!


どうだ!!やってやったぞ!

俺たちは、薄汚いバケモノをやっつけたんだ!


セイバーの仇を取ったんだ!


二羽は、声高らかに、そして、

誇らしげに勝利のさえずりをした。


「お前たち、何をご機嫌さんに歌ってるの?」

「のんきだね~」

「死体があるのに」

「なんにも知らないって、こわー」


知らないのは下僕共だけである。


四人は首をかしげて、その死体を覗き込む。

いったい何が起きたのか…と青ざめて想像を巡らした。



さて、ブルウはどうなったのだろうか?


鳥たちの噂では、マダラに殺され、頭だけが、月見野藪を さ迷っているという話だが……。((((;゜Д゜)))


「そんなわけあるか!  体も ちゃんと付いてるわ!」


そうだ!きっとどこかで、逞しく生きているにちがいない!


        

 セイバーとブルウに捧ぐ           

            

                               完