19.うぉぉ〜女の恋狂い
撮影が終わったユーリとミレイユは、夜桜会に合流した。
ミレイユ「 まぁ、すごくきれい、ね〜💕ユーリ 」
昼間とはまた違った表情を見せるピューレの花たちは得意気に咲き誇る
ユーリ「 うん、そうだね 」
向こうからダッシュで飛んでくるユキホとキラ
ユキホ「キリコ〜💕」
キラ「わんわんわん」
大好きなご主人さまにまっしぐらの二人
ミレイユ「 ユキホ、ご飯食べた?結局 お弁当も何も作れなかったから😢ごめんなさいね 」
ユキホ「気にすんなよ、食い物いっぱいあるから🎶 」
キラは大喜びでユーリにすり寄る
ユーリ「☺よーし、キラいい子にしてたか?」
キラ「わんわん」
ニコニコして尻尾をブンブン振っている
ユーリ「ん?お前、かなり食べたなぁ」
キラのお腹をさすりながら、眉を寄せるユーリ
キラ「クーン ハァ ハァ ハァ」
ユーリ「こーら、ごまかすな!こっちこいっ」
仕事柄、そんなにブクブク太るわけにはいかないキラ。
逃げるキラを抱きかかえるように押さえ込みじゃれつくユーリは愛に溢れた微笑みだ
ミレイユ「…。」
(ユーリの笑顔☺💕素敵すぎる)
そんな二人をじっと見つめるミレイユはどことなく切なそうな表情をしていた。
ユキホは、そんなミレイユをじっと見て、またユーリたちに視線を移す
ユキホ「キリコ💕」
ミレイユ「なぁに」
二人共、ユーリたちに視線を張り付けたまま、
ユキホ「オレとキリコみたいだな」
ミレイユ「 クスッ 本当ね、楽しそう 」
ユキホとミレイユは顔を見合わせて微笑んだ
ユキホ「 たのしいぞ〜!オレたちも混ざろう!」
ミレイユ「きゃぁ」
ミレイユをひょいっと抱き上げてユキホはユーリたちに駆け寄ると
ユキホ「ほれ!」
ミレイユをユーリにほうり投げる
ユーリ「おっ💦」
ミレイユ「あ(〃∇〃)💕」
そして、飛び去るように走り去ってゆく
キラ「ワォーーーーん💕」
大喜びのキラは、ブリブリ尻尾を回しながら、ユキホの後を追いかけた
ガガァ〜、グォォ〜、グゴゴォ
大喜びで駆け回る二人は、人が見たらケンカしているかのように、異様な唸り声や、うめき声をあげながら取っ組み合って遊んでいる。
ユキホにとって、トランス《筋肉強化肥大》してないキラなど子犬とジャレているようなものだし、キラにとっても唯一、手加減なしに遊べる友達だ。
ミレイユ「💦もう、ユキホったらごめんなさい 」
そっと地面に降ろされたミレイユは、言葉とは裏腹にお名残惜しそうにユーリを見つめた。
ユーリ「 ハハ💧 キラがいつも楽しそうで感謝しているよ 」
少し後ずさるユーリ
ミレイユ「ほんと? 迷惑かけていないか心配してたの 」
ユーリ「 いやいや、今日だって予定してなかったから、掘削機を持っていってなくて、みんなで手掘りしたんだけど、雪豹が一人で何人分もの穴を掘ってくれて☺ 」
何やら嬉しそうに話すユーリをうっとりと見つめるミレイユ
ミレイユ「 そう☺✨よかった、いつも すぐふざけるから邪魔になってるんじゃないかって思ってたけど 」
ユーリ「そんなことは全然ないよ、オレも一緒にいると落ち着くんだ 」
ユーリは優しいまなざしで、ジャレ合う二人に目を向ける
ミレイユ「💕💕そうなの 」
自分のことのように喜ぶミレイユ。
ユーリ「 ああ、キラと雪豹の声を聞いていると、何も無駄な考えが消えて安らぐ、雪豹は何星人? 」
ミレイユ「…え?」
ミレイユの表情は固まる
ユーリ「 キラはあなたにも何か感じるみたいだけど、会話はできてないよね?」
ミレイユ「 会話?」
( まさかユーリたちはテレパス💦)
ミレイユの顔からさっと血の気が引いてゆく
ユーリ「 ああ、オレは少ししか分からないけど、キラと雪豹は完璧に二人で話ししてるよ 」
ユーリは気づかず笑顔を向ける
ミレイユ「!」
えっ!という声には出さない驚きの表情を隠すのに精一杯
そして次の瞬間はもう頭の中でユキホを呼んでいた。
❨ユキホ!❩ ❨ユキホ!❩
ユーリ「 あー💦もっとも、単純に腹減ったとか、あれで遊ぼうとか、オレが怒ってる、とか そういう内容なんだがwww」
ミレイユ「ふふ、そうだったの」
引きつる作り笑顔の裏の顔は邪鬼のように歪んでいる
ユキホの脳内にねじり込むように響くミレイユの恐ろしい声
❨ユキホ! どういうこと、なんで言わなかったの?❩
遠くで遊ぶユキホたちだが、草むらからヒョイっと顔を上げる
❨今の話し、聞こえてたでしょう?💢 ユーリとキラはテレパスなの?❩
ユキホの聴覚は常人の12倍、音を感じる範囲は8倍以上、32方向まで聴き分けることができる
しかし、聞く気がなければ、なんにも耳に入ってこないものなのだ。
キラ「わんわんわん」
一番にキラが走って戻ってくる
ユーリ「?」
ユキホ「 違うんだよぉ〜💦キリコ 」
ユキホも飛んで帰ってくる
ユーリ「あ…内緒だったのか💦 いや、軍事的エレメントなどなにもないし、問題にするほどの事はないと思うから💦 雪豹を怒らないでやってくれ 」
ユーリは慌てて二人の間に入って取り成した
ミレイユ「 ええ💕もちろんよ」
ミレイユは笑顔を振りまく
❨ ユキホ!なんで話してくれないの?シールドしない会話や思想が丸裸じゃない!恥ずかしいわ❩
完全に怒っている裏の顔
ユキホ「 ちがうって!キリコ
イーオンとかじゃないんだって 💦 」
ミレイユ「(^_^;)うふふ、いいのよユキホ。怒ってないわ、怒ってるように見えるの? やぁね、ユキホったら もう 」
❨ 声出さないで!ユキホのばか!私が怒っているように見られるでしょう💢 ❩
ユーリ「…💧」
ユキホ「…💦だってよ💦」
(オレ、どうやるか分かんねぇーもん )
ミレイユ「うふふふ、さぁ何か頂きましょう✨」
❨それでいいのよ💢 ❩
ユキホとキラは無意識に70キロヘルツほどの高周波音波で会話していた。
イーオン能力ではない。
ユーリは母親がマラミュート人のため、その種族特有の超音波コミュニケーション能力があり、二人の会話を多少 聞くことができたのだ。
レイラ「ふっ…」
(あんまり責めると山ざるは余計要らないことを言うぞ)
少し離れたピューレの木の下で、そのやり取りを見ていたレイラが助け舟を出してきた
ミレイユ「 ユーリ、なに飲む? お酒は?うふふ」
❨わかっているけど、驚いたの💦 会話をしてるって!知らなかったし、私はテレパスが得意でないから! まさか、レイラっ、貴方も知ってて黙っていたんじゃないわよね?!❩
レイラ ( なんで私が。知るわけがない )
❨ほんとう?ユキホをかばってるんじゃないの?!❩
レイラ (まさか、そんな必要があるか )
テレパスは得意でないミレイユだが、アウェイク《覚醒》された状態の今であれば、強い思想を送るだけで彼女と会話することは容易だった
ユーリ「 オレは酒は飲まないから そこの水を。…ミレイユ? 」
ミレイユ「 あ💦 あ、そうなの? お水ね💦 」
ユキホはキョロキョロする
ユキホ「 💦」(あ、ぶっちょうずらと喋ってんのか )
どうやら矛先はあっちに行ったな、とホッとするユキホでした。
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20.ただ貴女の側で
周りは楽しそうに過ごしている。みんなの笑顔がいっぱいだった。
クレインは、なんだか満ち足りた気分でピューレの木々に振り返る。
レイラ「…。」
夜風に舞う花の中、一人佇むレイラいた
クレイン「レイラ、相変わらず一人が好きな人ね☺ これ、一緒に飲まない? 」
レイラの側に来るとボトルを見せて笑うクレイン
レイラ「 …クレイン 」
クレイン「 それとも あっちでみんなと一緒に飲みましょうか 」
ミレイユたちの方に目をやる
レイラ「 いや、こっちでいい 。特に今はな 」
そそくさと近くのテーブルに着く
クレイン「 ああw 邪魔すると悪いか。 あなたも気が利くのね 」
ユーリに夢中過ぎるミレイユの姿を遠目に、クレインはトレイからショットグラスを2つ取って 隣に座る
レイラ「 いいのか、ルフィーのだろう」
レイラはルフィーの部屋で何度も一緒に飲んだことのある酒だから、よく知っていた
クレイン「 そぉ、よくわかったわね🎶 あいつ、いつまでも来ないからジドーシャガッコー飲んでやろうと思って 」
クスクス笑うクレインは子供のようで、気の引き方も子供っぽいと、笑うレイラ
レイラ「 ふっ 」
クレイン「 なに? なぜ笑うの」
レイラ「 …別に、早く開けたらどうだ? 」
意地の悪い瞳を向けると、グラスを持って催促する
クレイン「 あ、ああ…ん 」
固くて開かない、相変わらず非力なクレイン
レイラ「かせ」
レイラは軽く開け、手酌でめいっぱい注ぎ、そして一気に喉に流し込む。
クレイン「 テキーラだぞ💦 大丈夫か? 」
レイラ「 当然だ 」
クールなレイラを横目に、クレインはグラスに軽く口をつけて眉を寄せる
クレイン「 あいつ、こんなのガブガブ飲んでるから すぐ酔うんだな。そういえば よくライムをかじりながら飲んでいた ふふ 」
酒を飲み干し、注ぎながらボトルのラベルを見て笑う
レイラ「 無理するな 」
クレイン「 平気よ。あいつが来るまでに空びんにしといてやる笑 」
レイラ「 そんなグダグダ言ってないで、呼べばいいだろ 」
クレイン「 …顔を合わせれば喧嘩になるだけ。楽しくない 」
そして二人は 何故か手酌で、それぞれ酒を注《つ》いでは、グビグビと呑んだ
レイラ「 …。ふっ、どうでもいいが 潰れるなよ 」
クレイン「 …そうやって 笑われると、何かこう、見すかされているみたいで… 嫌な感じだぞw 」
テーブルに頬をペタンとつけて、瞼を閉じるクレイン。
大して強くないクレインは、酔うと必ず寝ようとする
レイラ「 そこで寝る気か?」
クレイン「 まさか ただこうして皆んなの楽しそうな声を聞いてる。 ああ なんだか、前から 感じていたことだけど 」
(レイラ、あなたの側は…安心する )
レイラ「 寝る気だな」
クレイン「 ちがうっ、だから、ただ こうして目を閉じて雰囲気を味合ってる。 そう きっとこれが私が求めていたもの 」
(あなたの側だと素直になれる)
レイラ「 …寝てるだろう 」
クレイン「スー 」
いつの間にか寝てしまうクレイン
オブジェ「 ☺ きっと 疲れたんだな 」にこっ
どこからともなくオブジェが現れて、クレインにそっとブランケットを掛ける
いつも 急に現れるな、と思いつつ平静を装い、
レイラ「 寝てないらしいぞ」
レイラは知らん顔で飲み続ける
オブジェ「 バカなことをいうな、風邪を引かせたらどうする? 少ししたら声をかけてやるんだぞ 」
レイラ「ムっ(-_-)💢 なら、今起こせばいい 」
オブジェ「 しっ。 きっと楽しい夢を見ているに違いない 」
唇に指を当て、コーンフラワーブルーの美しい瞳でレイラをぐっと見つめる
レイラ「 ち、近い💦」
オブジェ「もう少し 寝かせておいてやるんだ 」
レイラ「わかった、離れろ 」
オブジェは、爽やかに微笑むとレイラの肩をポンっと叩いて去ってゆく。
クレイン「スヤスヤ」
安心しきった表情で眠るクレインと二人、レイラは穏やかな眼差しで、それを見守りながら
静かな花見酒に浸る
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21.種馬の遠吠え
その頃 ルフィーは、まだレオンの艦《ふね》にいた。
収録で着ていた正装コスチュームを脱ぎ捨て、お気に入りのラフなワークウェアに着替える。
目の前の大中小と あらゆるスクリーンには、みんなが楽しそうに騒ぐ夜桜花見会が映し出されていた、
ソファーにだらけて座わり、用意された酒をガブ飲みしながら、ふてくされた様子で それを見ている。
「 はぁ〜! 💢ったくよぉ、イラつくぜ 」
( んなベタベタ 嬉しそうな顔してロットのスパイヤローにくっついてんじゃねぇ〜よ )
そこへ、ニコニコしながらレオンちゃん登場
「あーら、なにをそんなにイライラしているのかしら? 」
「 💢 おせーぞ、レオン」
「 着ていくもの迷っちゃって〜」
レオンは下着姿のまま、ルフィーの隣にちょこんと座って微笑えんだ
「? おまえ、なんちゅうかっこしてんだよ」💦
「 だからぁ、あれもいいし、これもいいしって、迷うからルフィーに決めてもらおうかしら 」
うふふん、と挑発するような瞳を向けるレオンだが、びくともしないルフィー
「 んなの、なんでもいいわっ、あ~~~!チッ またあのヤロー くそ💦 」
スクリーンの中、フラついたミレイユをユーリが支えるという場面に食いつくルフィー
「この位置はね、カメラこれ、ズームイン!ほら、よく見える🎶」
「そんなもん見えなくていいんだよ💢 いいから、お前は早くなんか着てこいっ! 」
「でも、覗き見って楽しくない?」
レオンはルフィーの顔を覗き込む
スクリーンは、ミレイユが何かを言いながら、ユーリの腕を掴んでいるという場面
(どーせなら声も拾えよ、何言ってるか聞こえねぇーじゃねぇか)
「 はん💢 こんなもん見たって クソ面白くもねぇんだよ、チッ 」
気になって仕方ないくせに、頭の中とは裏腹なことを吐き捨てるルフィー
「いいから、もっとよく見なさいよ。 あ、明日も収録あるからね 」
「やなこった!どーせお前がベラベラ喋ってるだけで、オレなんか いんのか、いねぇーのか、意味ねぇだろ!」
「 それでいいの! 明日はティラ局だからいないと絶対ダメ!進軍のアイドルは いるだけで意味があるのよ💕 」
言いながら、人の酒を飲み干す
「いい加減にしねぇと置いてくぞ」
ルフィーはイラつきながらタバコに火を付ける
「 こういうのお花見っていうのね、きれいだし、楽しい行事よね、ブラッセルでもやるといいわね 」
レオンは舞い散る花びらを眺めて喜んでいるのに、ルフィーは非常に浮かない顔。
「…。」チッ💧
ただただスクリーンの中のミレイユを見つめるルフィーを、しつこく からかうように覗き込むレオン
「 ねぇOAのライヴ ウェポンってイメージ違ったわ〜、意外とシャイで奥手? 」
ケラケラと笑うレオンにカチンとくるルフィー
「💢 ぬぁにっ 」
レオンの腕を取って引き寄せると、くわえていたタバコを投げ捨てて強引にソファーに押し倒した
「ふざけてんじゃねぇぞ、てめぇ💢 」
「 うふっ、やっとその気になった? 」
レオンの細い両手首を頭の上で押さえつけ、もう片方の手で胸元の服を鷲掴み、
「おいレオンっ、 オレはセシールのサムだからってビビって手ださねぇとかねぇからなっ💢
んなこと気にするかよ! 調子こいてイキってると犯すぞ っ!!うらぁっ 😡」
小生意気な箱入りお嬢様をちょっとばかり脅してやろうと迫力80%程度で迫ってみた
が…
「 ふふん🎶 いいわよ💕 」
ドォン!!
そういうと膝蹴りを入れて手を外し、胸ぐらのルフィーの手首をねじり倒すと、そのままソファーの下に叩き落とした
「ッ! いってぇ〜!💦」
「 comオーブ持ってる?」
「💧 持ってねぇよ… そんなもん、持ってるかよっ 」
吐き捨てるルフィー
comオーブ《人工胎盤器》とは、それで受精卵を吸収させ、COリーダーで回収、リトルママ《保育器》で一定まで育てる、言わば子宮の役割を果たすのだ。
「 うふふん♪ レオン、持ってる〜🎶 これマンゴーの香り付き☺💕 これ飲んでからやりましょう♥ 飲むのが一番デキやすいのよ。私、ルフィーの子供欲しいし 」
Comオーブは小さなフィルム状なので飲み物に溶かしてもいいし肌に直接 貼り付けて、体内に浸透させても役割を果たすのだ
「は?バカじゃねぇ〜の? 」
床に座ってげっそりした様子のルフィー。
小娘を脅かすつもりが、油断していた自分のほうが完全にぶっ飛ばされるという恥ずかしい結果となった
「 このパラメールでもう一つ、新しい事業として、シードバンクとワームセンターを計画しているの。あなたのシードならプロモーション効果もバッチリ。セールス向上に繋がるわ 」
「…💧 お前、何考えてんだよ 」
「武器製品はロットに遅れを取ってるけど、シード《精子》やワーム《受精卵》なら、うち《ブラッセル》のほうが実績があるし、上質!なおかつ、人気があって、優秀なモノだけ取り揃えて🎶 顧客のニーズに確実に応えるつもりよ 」
夢を語るレオンの瞳はキラキラと輝いている
ルフィーは開いた口が塞がらない
「…💧」オレは犬の次は種馬か
「 なにしてるの? やるんじゃないの? 」
仁王のように立ちふさがるレオン
「 勘弁しろよ、もともとやる気なんかねぇし 」
そのまま、ゴロりと床に寝転ぶルフィー、そこに すかさず馬乗りになるレオン
「 まさか! あんな大口叩いて 結局やらないなんて、許されるわけないでしょう! なんならレオンがリードしてあげましょうか? 」
お気に入り火サスの音楽を大音量でかけましょうか?