20ビクトリアナーチ

㉕サウザンバーデン




ハーバービューの夜景が広がる、マ・セローの貸し切り風呂  サウザンバーデン


「  山に登り~!酒をがぶ飲みし~! その苦行、 まさにお前と、この日を分かち合うために、培《つちか》ってきたことだぁぁぁああ~!  

(/▽\)♪きゃはぁ~ーん!!    

そう!それは 苦行ではない!   お前とは実践だぁ!」キャハハハ 


クレインたちをのぞき見中のレオン、湯の中で、エアウインドウを見ながら、ひとり、大喜びで はしゃぐ



「  何か言った~?   レオン? 」 


スズカが脱衣場から顔をだす、

と、同時に レオンはエアウインドウを 素早く切った


「  ううん (*^-^)  素晴らしい夜景だから、感動してただけ。 タロも楽しいけど、やっぱり、マ・セローのサウザンバーデンはいいわね~🎶    最終決算はこういう静かで落ち着く場所が一番よ!」


「  ?  そうね💦  待ってて!  私もすぐ入るからっ!」

よく分からないが 一応、同意するスズカ


「… いいのよ  ゆっくりで。 私は見るものがいっぱいあるから!  退屈しないわ😁  」


レオンはあちこちに、レオン専用mgドローンを飛ばし、モニタリングしているからだ


「  そう?よかった。 でものぼせないようにね!  源泉の長湯は よくないらしいから💦  」はぁ まったく!   黒木ったら 、ちっとも繋がらない😠


スズカはぶつぶつ言いながら、脱衣場に引っ込んでゆく



レオンは、湯のなめらかさを肌で味わいながら、画像に目をやる

オブジェに貼り付くウォッチタグ〔追跡監視システム〕は、fsサテライトへ次々とデータと映像を送信してくる


そして、レオンのもとへ着々と届く

「…  マスター〔オブジェのこと〕たちはアンクに向かってるのか… なるほど、それは繋がらないわけね

それもアリバーハキャフ…   何を企んでるのかユーリ・プライアス!

今回も、また外務局員の皮を被った政治犯決定ね!」


それを眺めていると着信通知が表示された


ピピッ 


ウインドウが切り替わって、

アリッシュ・ モナが 敬礼姿で現れた


「  お寛ぎのところ、恐縮です、  レオン様 」


「 いいのよ… レオンも丁度、貴女を呼ぼうと思っていたところ。 ねぇ

アリッシュ…   ここの温泉は最高よ

…貴女も来れたら よかったのにね  」


「…はい、お供させていただきたかったです… サウザンバーデンは

往にし代《いにしえ》から伝わる写し鏡の湯、その乳白色の湯色は  高潔で強固な意志、レオン様そのものを表していますね  」(  私も お側で あなた様の思いに浸かりたかった… 。でも 今の私がその湯に浸かれば、どのような色になるか…   )


アリッシュは、レオンの茶目っ気、たっぷりの瞳を見つめる


「   そう、  レオンは  いつも曇りのない心と体よ❤️

 それで、なにがあったの?    」


「  はい、SWデビィジョン 艦艇が、ブルゥ党による奇襲攻撃で轟沈《ごうちん》させられたとロットの ワールド通信社より発表がありました  」

「 ブルゥ党? それは確かな情報?」

「 いえ…それが、犯行声明はなく、ロット政府代表部はプリスタインが関与していると騒いでいます。公安庁が事実関係を調査中のようですが 銀連安保理が特別緊急総会を招集《しょうしゅう》することにでも なれば、ブラッセルも動かないわけにはいきません  」


「  そうね…  」

レオンの表情は険しいものになる


「  レイモン・ルーペルの死亡が確認されたと発表がありましたが、プライアス局長は依然、行方が分からないままだと言われています 」


「 ユーリ・プライアスは生きてるわ。レイモンも元気いっぱい!」


「?! なんと!💦」


「 それにしても  ロットがそれだけ騒ぐと言うことは、連中の猿芝居ではないと言うわけね、じゃ彼を裏で操る人物は…  。 まあいいわ!   とりあえず  ウォッチタグのデータと  画像をそっちに送るから、レオンが帰るまでに解析しといて。  あ、private LAN  以外  使用禁止ね 」


「  はい!心得ております!」

「  あー、あと アンクにパンダ〔治安維持部隊〕を送って。  もちろんプリ経由で😁   」

「  ?  アンクにですか?     」


「  ええ。マスターが…オブジェがアリバーハキャフに向かってるの。  急いで 万全なセキュリティー対策と、非常時の脱出経路を確保しておかなくちゃ!       」


「  オブジェさまが?  💦  なぜ、アンクなどに💦    わかりました、ただちに準備します!  」

「  くれぐれも本人には 悟られないように離れてガードして   」


「  はい! 仰せの通りに!   あの …

レオン様   」


「 なぁに?」


「  日頃の緊張もほぐれ  楽しくお過しのこととは思いますが… 。  できるだけ 早いお帰りを お待ちしています   では💦  」

アリッシュはレオンの答えを待たずに消えた


レオンは窓の外を眺めながら、満面の笑みを浮かべ、

「 はぁ…  わかってるわよ、でも いろいろ楽しいんだもの❤️  」



ガラガラッ!


引き戸が開いてスズカが入ってくる


「  💦💦きゃ~!💦    レオン!!   どーしたの?!   大丈夫?  」

滑りそうな勢いで、レオンのもとへ


「  ?  なぁに?  レオン、のぼせてないわよ   大丈夫よ  」

ケロッとしている


「    え~なんでもない?💦    大丈夫なら  いいんだけどっ。   だって、お湯が ほら、こんなに赤くなってるから!  さっきは確か こんな色じゃなかったでしょ  」


温泉はいつの間にか、燃えるような赤色へと変化していた

赤は、闘争心と支配欲の色…浸かっている者の意識を反映させるサウザンバーデンには、すべてお見通しだ


「  ああ、レオンが色々、考え事してたから🎶   」(*^-^)


「  考え事? 」

お湯が真っ赤になるほど、レオンは何を考えていたのか…  


「  スズカこそ、遅かったわね   」


「😖  ん、黒木のやつが全然 連絡してこないのよ!     こっちからしても、うんともすんとも…  文句いっぱいの動画送ったけど。あいつったら!どこで、なにしてんだか💢  

でも、どーせね、きっと、ろくでもない所で、ろくでもないことしか してやしないわよ!  」


ぶつぶつ怒るスズカを湯槽に残し、

洗い場で体を流しながら、適当に聞いているレオン


「  ろくでもないところで、ろくでもないこと…😁  」クスッと笑う


「  そぉよ~!  どっかの小汚くて 臭いバーで 、さらに、くっさい安物の香水をぷんぷん振りまいてるような 小汚なーい女を引っかけたりなんかしてぇ~ーーー!  

それでもって   あいつったらぁ💨   ぁぁぁぁぁぁああ~ー💦  いやぁ~ーもぉ!  」


手で顔を覆うと、頭を振って 妄想を炸裂させるスズカ


「…😁  💧  落ち着いて-w  あなたのお湯、紫色になってるわよ 」


「  ギャー~ー!なによ!これ!」


ザバァーン!!

慌てて立ち上がるスズカ


「 紫は動の赤と静の青、相反する色が共存する、二面性をもっているんですって。高貴と下品、神秘と不安…その性質が色合いで変わるのね。今のあなたの紫は、かなり赤い紫だから、スピリチュアルと性的欲求…」


静かに近づいてゆくレオン


「    いやだ  (〃∇〃)ノ 」  

なんだか、恥ずかしいわ


「恥ずかしがることはないわ…  不安や孤独、嫉妬に慾望…。 誰にも必ず あるものよ 」そして、どれもレオンの好きなモノ


レオンはスズカの手を取って指を絡ませる、向かい合う二人


「…レオン 」


「  でも 今夜は、神秘で精神性の高い癒しを……    レオンが貴女の青紫になってあげる   」


潤んだ唇を重ね合うレオンとスズカ。


「  んん…❤️」


ダリアの蕾が羽ばたくように開花すると、そこは  あっという間に艶やかなピンク色が支配した…