「……。」( ミレイユ ? )
マ・セローの個室では、クレインと二人、のんびりと酒を酌み交わすレイラがいた。 ふと、ミレイユの声が したような気がして、静かに超感覚的知覚を研ぎ澄ます
「 ?… どうかした? 」
「…… いや 」( まさかな… ふっ、もう 酔いが回ったか )
クレインが無言でじっと見つめてくるが、ミレイユに呼ばれた気がした、と話すわけにもいかないレイラ、 黙って酒をあおる
「…💦 なんか… シムも置いてきちゃったし、ん…💦 二人だけで、隔離されたみたいな… 。みんなとは行き違いになってしまったのか… 退屈じゃないか? 」
ぎこちない笑顔を向けるクレイン
「 別に… 静かでいい 」
「 …💦 ミレイユたちは…💦 どうしたんだろうな? イルカの動画とか撮ったかなっ… 」
勘のいいクレインは、きっとレイラは、ミレイユのことを気にかけているのだろうと察していた
「……。」
レイラの方は、ただ黙って 注《つ》がれる酒を飲み干す作業を続ける
「 あいつ《ルフィー》の事だ-w そんな余裕はなかったろうなぁ 笑 ここに着いたら、真っ先にスキャルバと二人、 あなたを連れに来ると思ったのに… 」
ミレイユとルフィーは、連絡もないまま、まだ戻ってこない
いつものクレインなら、心配し過ぎて、それが怒りに変わったりする頃だ
「 ……。気になるなら、もう部屋にかえって 連絡してみればいい 」
レイラはクールな表情を貫く
「 別に… 私は、チームが絡んだり、危険が及ぶような事がなければ…そんな、うるさく言うつもりはないし💦 全然 気にしてなんか… 」
少しの沈黙…
レイラが煙草に火をつけ、窓の外に目をやる
港からは タロアイランドへと向かうフェリーの姿がみえる。
桟橋がキラキラとライトアップされ て、夜の海を華やかに演出していた
やさしくブルーエア〔煙草銘柄〕の薫りが漂う
「 私、好きなの… その匂い 」
プリスタインの温帯地域は、ルチカルフルーチェ《煙草》のバレンシア種の栽培に適していて、肉厚で糖含量《とうがんりょう》が高い、甘味を含む豊かな香りのルチカル葉が育つ。
ブルー エアは、芳醇な香りと深い味わいで、レイラが地球で吸っていたゴールドラインに、もっとも類似する銘柄だ
先進星では、あらゆる薬物を デバイスや、ボディパッチで取り入れるのが主流だが、レイラのように、乾燥した葉を刻んで 巻き紙でくるみ燃やして吸うというCタイプの愛好者も少なくない。
ルチカルフルーチェの本来の美味しさを引き出すのは、やはりこのCタイプではないだろうか。俗にカルと呼ばれている
現にルフィーやスキャルバは、レイラやマコトに影響されて、Cタイプを吸うようになった
ミレイユは、いつもそれを臭いというのだ
「 …変わってるな 」
レイラは何かを思い出しているような様子
「 … 。そう? 」
きっとミレイユのこと 考えてるんでしょう… 私もイオンシュになれそう
クレインは苦笑いしながら、お酒を注《そそ》ぐ
「 うまい酒だな… 」
勢いよく流し込む酒豪のレイラ
「 そうね、このお酒 口あたりがいいから、すごい飲める! …でも アクセントは足りないか 」ゴクゴク
ルフィーなら、きっと あっさりしすぎだっていうだろうな、 なにせ、あいつはクセのある酒が好きだから…
「 ……。ふっ だが、飲みすぎじゃないか? さほど強くもないくせに 」
今 お前が、思い浮かべたのはルフィーのことだろう
「 💦 貴方だって かなり早いペースで飲んでると思う…💧 」
そんな 何かを見透かすような目で見ないで…
「 そんなことはない 」
「 ううん💦 私と居るとき、貴方はいつも、ものすごく飲んでる! ただ、私の方がいつも早く潰れるだけ……💧 」
レイラはそれには答えない
何だか 二人は ムキになって飲んでいるような…
「 どーせ! 早く 潰れて 寝てしまえと思ってるんでしょう-w 」
酒ぐせは悪くないクレイン、独り、何かを呟きながら 、いつの間にか眠りにつくのが落ちだ
「 … お前が酔いに任せていたいだけだろう 私は シラフだろうと問題ない 」
と言いつつ、 ガンガン飲む
「 私は…💦」
私は お酒なんか飲まなくても…
んん、ちょっと 恥ずかしいような💦 何が? でも、酔いに任せてるのは、やっぱり 貴方の方だと思う…
ごちゃごちゃ考えながら、色んな表情をするクレインを、珍しくレイラが まじまじと見つめた
「…… じゃ、部屋にもどるか? 」
「 でも、まだ こんなに残ってる 」
クレインは酒ビンをつまむ
「 かせ… 私が飲む 」
「 えっっ💦 そんな💦体に悪いし」
レイラは髪をかきあげて鋭い眼差し
「 院の定例会では いつも、この何倍もの酒を一気に飲むという 洗礼を受ける! 」
何事も難行苦行《なんぎょう くぎよう》で鍛え上げられていると言いたいようだが、クレインは、それが 腑に落ちないと渋い顔をする
「 😒 ちょっと待って レイラっ 」
「…なんだ?」
「 その、山に登る訓練とか、酒を飲む訓練とか… ? 私といることは、まるで、その あなたのいう 何?トレーニング?」
「 ああ、苦行か 」
あっさりいう
「 そう、それ! その苦行ってものみたいじゃない 💦 」
私は 、あなたの苦行なのか?( ω-、)
興奮して立ち上がると、頭がグラッとして 固まる、弱っちいクレイン
「 …酒ビンを落とすぞ 」
「💦 ごめんなさい… 少し酔ったみたい… やっぱり部屋に 」
「 ああ… 私につかまれ 」
レイラは椅子を引いて腕を出した
「 ありがとう、 でも 大丈夫っ! 平気だからっ💦 」
そう言って気丈に振る舞っては みたものの、立ちくらみがする
とっさに レイラの方へ 手を伸ばし、服の裾を そっと掴んだ
「 💦 …やっぱり 手を貸して なんか、ごめんなさい… 私 」
クレインの足元はフラついている
「 いちいち 謝るな… 」
レイラは、クレインの細い手首を持って自分の腕に絡めた
長い廊下をゆっくりと歩く
「 ちゃんとつかまれ… 」
「 …。」 …(〃ω〃)
武骨だが、優しいレイラの横顔に釘付けになる
「 クレイン… 」
「 な、なに?」(///∇///)💦
「 段差がある 」
「 あ、ああ💦はぃ 」
慌てて、下に目を向けた
「 それと… 別に 苦行ではない 」
「 そ、そう…なの💦 」
クレインは顔をあげる
「 ああ… 」
「 (///∇///) それは…良かった💦 私、本当は、あなたは迷惑してるんじゃないかと…。レオンが変なこといって、面倒〔私〕を押しつけたみたいな… なんていうか… 💧 」
( あなたはミレイユやみんなと過ごしたいだろうなって… )
「 ……いや、むしろ 気が休まる 」
「 …レイラ 」( …あなたも同じように 感じていてくれたのか… )
クレインの目からは 自然と涙が溢《こぼ》れた
「 … なんで、私 💦」
恥ずかしそうに笑って 目元をぬぐう
レイラは思わず クレインを引き寄せ、抱き締めた
「… あ、(///∇///) こ、ここは廊下💦 」
「 かまわない 」
今はただ こうしたい
「 酔ってるのね 💦」
「 … ふっ、バカをいうな、お前のせいで 酔いが覚めた…-w 部屋で飲みなおすぞ 」
クレインの手を取り 歩きだす
「 ( ´゚д゚`)エーー!💦」
「 今日は寝られないと思え-w 」
少し意地悪な笑みを浮かべるレイラ
二人の 長い夜は、これから始まる…