ケケケケケケケケケ!!!
ギァァーー!ギャァァア!
ゲピーーーツツツツ!
うっそうと巨大な植物が茂り、野性動物の奇妙な雄叫びが響き渡る、溢れるほどの大自然に囲まれた原始的な惑星
草むらの向こうには湖が見える……。
その芦の茂みに女が一人 倒れていた。
「……。」
名前はミレイユ。
特殊能力者 イオンシュだ。
彼女は、兄である虎紋呪 祥と、彼の率いる SKグループと対立関係にあり、
この日、囚われた仲間を助け出すため、アルティペンタシルバーという麩形成ドーム内で 戦っていた‥はずだった。
アルティペンタシルバーは、イーオン〔特殊能力〕吸収素材100%で強力なサイコイディオムも難なくバキュームし亜空間フィールドに排出するデバイス。
しかし外部から激しい衝撃波を受けたことにより、ATシステムが損傷し ドーム内は 特定亜空間制御不能状態となってしまった。
露出した時空間の亀裂には、シャフトホールが出現し、ミレイユたちは、その暗黒の渦に呑み込まれ、この見知らぬ星バセンジーに投げ出されたというわけだ。
宇宙の特定の場所にはシャフトホールやワームホール〔虫食い穴的に点在型〕といった、自然にハイドライブする亜空間フィールドが存在する。もちろん人工的に作り出し制御しているポータルと原理は同じ。
さぁ物語はここから始まる!!
ルフィーはブラッセル帝国軍の兵士だ。
彼女の所属する進撃軍第25艦隊 は、G空域の輸送路 確保と最大にして最強の敵 セイバー スタークロス、第8惑星テンメイのシールドベースである “ワックイ” を落とすため遠征していた。
しかし目標に到達できないまま23空域で敵艦隊と、早々に接触、激戦となり、多くの戦隊と旗艦を失い、退却までもよぎなくされてしまう
ルフィーもまた小艇に数機の装甲機兵バッファル、重傷の仲間をのせて、基地へと帰還するため光速ドライブに突入した。
到着予定地は母星ブラッセル第4惑星スファニー・レノア。
O.A【進撃軍】の第6基地だ。
……が なぜか、目の前には見たこともない星バセンジーが、
圧倒的な美しさで現れた。
「……。」
ふりかえれば重傷の仲間はすでに息絶えている、喪失感にやりきれなくなり、吸い込まれるように惑星の大気圏に降下してゆく。
季節は初夏なのか、バセンジーは深緑に溢れている。
ルフィーはエルクーン〔ホバークラフト的な乗り物〕で周辺の探索をしてみる、あたりは見渡す限りの青々とした豊かな自然。
その美しさにしばしば立ち止まっては見とれてしまう。
(ここは活性化に成功した星なのか?それともただの原始惑星か)
大きな湖にさしかかるとヘッドカムのディスプレイが反応した。
生命体を感知したようだ。
エルクーンを湖畔で浮上させたまま辺りを見回すと草むらの中で横たわるミレイユの姿を発見!
「おいッ しっかりしろッ 」
ルフィーは駆け寄って抱き起こすと強くゆさぶった。
ミレイユは薄く目を開けるが力なく瞼を閉じて、また意識をなくしていく。
「…💧」
別段、倒れている人間なぞ珍しくもなく、日常茶飯事そこらに転がっている光景だった。
いつもなら不用意に近づくなんてことはなかっただろう。
しかし、なんの迷いもなくミレイユを抱えると、もと来た道を戻ってゆく。
だが見たこともない戦闘スーツ。
「❈パラ公じゃねぇだろうな、まさかな-w-w 」
その可能性もぬぐえないと頭をよぎる。
まだこの時点では戦闘空域内のそう遠くない場所にいると思っていた。
❈パラ公とは、パラメリアンと言われている反ブラッセル政権パラメール独立解放義勇軍。
ブラッセルの植民地であるパラメール星の過激派武装勢力のことだ
岩のゴロゴロある乾燥した山岳地帯にレイラとユキホは投げ出されていた。
ミレイユの仲間たちである。
レイラは岩場の心地悪さに目を覚ます。
「なんだ? ここはっ?」
あまりの環境の変化に目をみはる。
ユキホはその声で 飛び起きると地面を蹴って跳ねあがった
超人の脚力を誇る、素晴らしいジャンプ力を披露した
冬野雪豹《とうのゆきひょう》、征弄同盟の研究施設で生まれたイオンシュだ、 ウンシアの古代亜種ガルータ族の混合体。
当時のバイオテクノロジーの全てを注ぎ込み作り出された強靭な肉体と波動系イーオンを得意とする
Gene recombinationの申し子。
ユキホを作り出した不動 幽褄飛は同盟の総事官であると共に科学者だった。
生物兵器を手掛ける傍ら、発生工学、分子生物学の研究に力をいれ、中でもゲノム研究、DNA塩基配列、遺伝子の複製,組換え,変異,また遺伝暗号の解読や形質発現の過程など,古代生物の基本現象の解析を探究した。
細胞核の中に存在し染色体を形成するデオキシリボ核酸を分離し、その中から目的とする遺伝子部分を単離、古代種DNA部分を繋ぐ。
誘導性多能性幹細胞や特定の転写因子を導入することで人為的に細胞を操作する。
多くの失敗を繰り返しながらも実験を続けたのは、何よりトランスイーオン〔変異特殊能力〕を持つ古代種の復元と彼らが他星間を行来きするという仮説を元にアビスゲート〔シャフトホールの入口〕の探索を進めるためだった。
「 …何をしてる? 」
冷ややかな目を向ける
レイラは黒龍機構の幹部。
古武術 剱掣流 龗拳の師範代であり、サイコフレイムの使い手。
日本愛憲党、超星皇心会、他、保守派の要人警護、武装体校での人材養成、海外支部の派遣業務、黒龍院の院生指導など、あらゆる方面で党首である竜将星をサポート。
数ヵ月先まで休みがないというブラック企業にお勤めだ。
「 💦学校に遅刻する夢見てたんだよ❗️ おめえがでけぇ声出すからっ」
ビックリして起きたと言いたいらしい。
「ふっ… 下らないこと言うな… まわりを見ろっ。」
ユキホは素直にまわりを見渡した。
そびえる山々が立ちふさがり、見下ろす行方はジャングルが、はびこる正に大自然のど真ん中だった。
「どこだっ‼️ ここ? キリコはっ? 」
キリコとはミレイユの別名である。
「はあ……。」
レイラはタメ息をついて
こめかみをおさぐ。
その頃、ハチは湖から南西に広がる森の中をさ迷っていた。
本名 蜂村 密 サイコウェーバー
周波を自在に操り高振動を起こせるイオンシュ〔特殊能力者〕だ。
ハチはSKグループのメンバーでミレイユの兄、虎紋呪 祥の手下である。
「 チッ!」
舌打ちして手にする小枝でまわりを打ちのめしながら歩く。
ドーム内で起きたあの異様な事態
『後を追いなさい!』
総帥の一声でミレイユを追ってシャフトホールへ飛び込んだが
一体どこまで飛ばされたのやら……。
まるでハズレくじを引いたような、ついてない気分のハチだった。
大きな岩の上にはミヨシかいた。
両足を抱えて座っている。
見たこともないネイチャーワールドに恐れおののき、頭をうなだれ途方に暮れていたのだ。
ミヨシは征弄同盟の官員で、ミレイユ捕獲の指令を受けたハンターチームの一人
「…はあ💧 」
ミヨシは小さなため息をつく
一緒にいたはずのマコトやオブジェはどこにもいない。
気がつくと、この訳のわからない場所に独りぼっちだった。
不安と孤独感は半端なく、ハチのようにやみくもにうろつく気にはなれなかった。
「…。💦ただここにじっとしていたところで何もならないのはわかっているけど…💧ようは心細いんだ。なんて意気地のない人間なんだろっ」
ミヨシは孤独に自分をなじる。
「おいっ、なに、一人でぶつぶついってんだ?」
ミヨシはビックリして振り返る❗人の気配なんて感じなかったのに…いつの間に……
そこにはレイラとユキホが立っていた。
ガキっぽく笑うユキホと相も変わらず仏頂面のレイラが立っていた。
「一人か?お前もドームの変な穴凹からきたんだろ? キリコをっ! あっミレイユだよ! ミレイユを見なかったか?💦」
「…見てない。正確にはここから一歩も動いてないし、わからない💧…( ・ε・)」
だめだ、こりゃ…とユキホは呆れたような顔でミヨシを見る。
レイラはそんな二人に目もくれず歩き出す。
「 …。」
「どこ行くんだよぉ、ぶっちょうヅラ!」
「もたもたしてると日が暮れる…」
二人は海岸を目指して山を下ってきた。
その途中で巳佳を見つけたのだ。
「あっ おれたち海に行くんだ! まあ、一人見つけたんだし、絶対、キリコもその辺にいるよな! なぁ、ぶっちょうヅラっ」
「 しらん。早くこい! 」
ミヨシは二人を交互にみやる、見知らぬ世界に吹き飛ばされて、やっと会えた人間が黒龍の黒鬼と地獄門の雪豹なんて、どうしよう💧
この二人について行くべきなのか…
「ん?ちょっと待て。あんなところにうまそうなもんが♪」
赤茶色のごわごわとした表面を持つ、やけにコブの多い大木に、大きな紫の実がたわわに成っている。
ユキホは軽々よじ登った。
ミヨシも気づいてはいたが、毒があるかも判らないので食べようとも触ろうとも思わなかった。
「よせよ💦 食べれるかわからないぞ!💦」
「大丈夫だよっ!熟しすぎて、ありんこみてーな虫が沢山たかってる!早く取らねぇとみんなこいつらに食われちゃう‼️」
「え?」
驚くミヨシにユキホはニンマリ笑顔。
もうすでに口いっぱい頬張っている、巳佳にも、ほれっと実を投げる!
そしてレイラには枝ごと放り投げる。
「 💧 こんなに食えるか」
「いんだよ、いっぱいあったほうが…。キリコにも食わせるんだし🎵」
そう言って、まだ欲張って取っているユキホ。
ミヨシ 「…💧」
こんな得体の知れないモノ、誰も食べないでしょう💦と、ひきつった顔を向けるが、レイラは平然と木の実をかじった。
「…😱‼️」(あ、食べた?!)
「ふっ…。確かに、あいつは喜ぶな。」
「…❗️ 」(しかも笑った…?)
ミレイユ『まぁユキホ、ありがとう! 』
ミレイユの優しい笑顔が浮んでレイラは無意識に顔が緩んだようだ。
ちょっとばつが悪い。
「…ムっ。もう行くぞ…!」
「おうっ!」
ごっそり実のついた枝を何本もしょいこんで満足そうにしている
「 …。」
(こいつらって確か、敵同士だよな? でも、なんなんだろう?信頼感みたいなの、すごいでてるっていうか…)
ミヨシは一人考え込む
「?…、なにボケッとしてんだ、おまえも来いよ❗️」
「えっ?…?」
誘われて嬉しい反面、素直になれず、まごまごしている巳佳。
「…ん?」
よくわからないユキホは小首をかしげる。
「 …邪魔するな、犬(征弄)は仲間と待ち合わせかもしれない。」
「…あーそうなのかぁ?」
単純に納得してしまう…
「 なっ! そんな訳ないだろう!こんなとこで待合せするやつなんかいないよ💦」
一人ぼっちで途方に暮れていたとは言えませんが。
ミヨシは岩を飛び降りて、ずんずん歩き出す。
ユキホとレイラは、目を合わせて笑う
ユキホ「あー浜に行ったら、なんかうまいものあるかなぁ~」
木の実をムシャムシャしながら…言ってます。
レイラ「…まだ食べる気か?」
ユキホ「たいして何にも食ってねぇーぞ❗️ あぁ~( ;∀;) 腹へったぁ」
木の実を食べる手は止まりません。
レイラ「きさま、山を降りるまでに平らげそうだな-w 」
ユキホ「ヘヘッーw」
笑い合う二人の横顔を眺めながら、ミヨシもその後に続く。
ミヨシ「……。」
歩きながら色々と思い巡らした。
オブジェたちはどこへいったのか?
無事でいるのか?
だいいち、ここはどこなのか?
いや何よりも今はついて行く事にした 、この二人のことだ。
それはいたって危険のない、普通の人間のように思えるし、それどころか先ほどまであった不安や心細さが不思議と消えていることに気づく。
しかしこの二人と言えば、冷酷非道でその残忍な仕事ぶりに黒鬼と恐れられる竜崎麗羅。
人畜有害バーサーカーの同盟ハンターとしてA級手配犯の冬野雪豹なのだ…
普段であれば、真っ赤なサインポールがぐるぐる回り、二人を見つけただけで同盟内は大騒ぎという札付きだ。
ミヨシ 「…。💧」
(よりにもよってこいつらと行動を共にすることになろうとは…
でも何故だろう。
妙に安心するような。
さっきだって、竜崎の言葉に背中を押されたようなもんだし。
孤独だったせいで危ない精神状態なのかなぁ……)
とにかくユキホたちは海を目指した
「この現状を説明できる者はいないの‼️」
額に青筋を立てて、スズカは叫ぶ!
三人は東に広がる海岸沿いにいた。
見渡す限りの海、そして山々…
スズカ率いるオブジェ&マコト チーム。ミヨシと同じ征弄同盟のメンバーだ。
オブジェ「…。💧」
「ここは一体どこなのか?ミレイユを捕獲しなければ帰れないわっ💦」
征弄同盟 総事官の右腕とも言われるスズカにとって、こんな訳のわからん山奥で無駄にしている時間はないのである。
「右も左も分からない場所でさ🎵お宅も根性あるよねっ 」
マコトは同盟の仕事も請負うが本来フリーランスで正規の官員ではない。ふざけた表情でスズカを覗きこむ。
「なんですって! ミレイユ捕獲は最優先任務でしょっ💢」
発狂寸前の声を上げて怒るスズカ。
マコトは肩をすくめて笑うが…
「真面目な話し、帰れんのかね💧」
「現地の人間を探そう💦 …それとミヨシ💧」
オブジェは辺りを見回して、今の自分達の置かれている状況を把握して、少しでも何か情報を得ようと必死だった。
「ああ。」
マコトは残り少ないタバコに目を落とす
「ちょっとっ ミレイユを見つけるのが先よ!
─二人の後を追いながら─
本当に不気味なところねっ💦
植物は異様に大きいし、なんか臭いし、虫もいるのか、かゆいしっ💢
まったく虎紋呪のせいよっ❕
今度会ったら、ただじゃおかないわ💢」