「ルフィー、遅かったわね、待ってたのよ!どこにいってたの?」
艇内に入るとミレイユがとんできた。
「それはこっちのセリフだぜ💦 」
湖畔に行くと、ミレイユは突然消えたと伝えられ、ルフィーは周辺を探しながら艇に戻ってきたというわけだ。
「ユキホが高熱で、医務室に運んだんだけど、F11がいるっていうのよ💦でもそれがここにはないのよ!」
「はぁ?ユキホって誰だよ?F11?なんだそれ? ハーバがそういってんのか?」
ルフィーにはさっぱり意味が分からない。
ハーバはマルチプログラミング環境下でデュアルブートするプロセッサー。
「アセチルコリン、アストパラン減少、 補酵素a 、アデノシン三リン酸によって抑制作用中 」
メディカルシステムはマウゴラより優秀である。
「F11は、やっぱりないよ~😭 なんかあるものでどうにかならないの?」
ユキホが入った医療カプセルの前でミヨシ、半べそ状態。
「これは52種類のタンパク質で出来た複雑な化合物、現在では珍しい成分です。アトロピリンで生成される受容体拮抗薬 F11がなければ、全て解毒することは出来ません。」
ほらね、と後ろでミレイユがルフィーをみる。
どうやら治療に必要な薬品らしいということはわかった。
「💧……まったく、なんだか知らねーけど」
ルフィーはモニターパネルをいじって、F11を探す。
エアウインドウが開いてマウゴラが表れる
「608573、お探しのものは母星のパフリットにもないものです。」
パフリットは数々、古いものを収納してある倉庫のような所。
賢いマウゴラはそのぐらい無いという例えを言ったのだ。
マウゴラの隣にはハチとレイラ。
「ほら、いたろ?ドブネズミと犬も一緒じゃないか……。」
ハチはアゴで促し、自分の予想が当っていたのでニヤリとする。
「竜崎さん💦、無事だったんだね!よかったぁ~( 。゚Д゚。)」
ミヨシは目を潤ませて、スクリーンに駆け寄った。
「当然だ。」
表情は変えないレイラだが、ユキホとミヨシの姿を見て、内心、安堵したにちがいない。
「レイラ……」
ミレイユもレイラを見つめて微笑んだ。
マコトたちは山頂の開けた場所で焚き火を囲む。
昼間の円盤とロボについての話はつきなかった。
「HI all💕do you copy?
CQ CQ CQ., this is BC5HLK,
BRAVO CHARLIE FIFE HOTEL
LIMA KILO
Calling CQ and standing by. QRZ?
誰か聞こえてたら返事して~ 486100contact,ahead.」
宇宙人からの交信を期待して、ちょこちょこ呼び掛けを続けるマコト
「自分は見てもないのに、けっこうしつこいわよね、あいつ。」
スズカは出来上がった小皿にエプカの木の実の汁を取り分けながらマコトをチラ見。
「何はともあれ、明日、湖にいってみよう。」
新しい目的が見つかったことに希望が持てたと思うオブジェだった。
KCサテライトが美しいバセンジーを周回している。
医療カプセルの中、苦痛な表情を浮かべているユキホ。
みんなはオペレーションルームに集まっていた。
惑星の大気、海洋、地表、生物圏等、観測データが次々と届く。
マウゴラは情報処理を行いながら、ハーバが出しているF11の解析内容を取り込み薬品リストの検索をした。
「…F11は入手困難なため、類似した代用品で不足成分を調合し、生ワクチンを生成。
生分解性RH CANINE 6が該当します。どうですか?ハーバ。」
「じゃF11じゃなくても雪豹を治せるんだね!」
ミヨシの表情は明るい
「 キャナイン6には窒素原子を含有し塩基性を示す有機化合物の生成が必要です、毒性保有体と血清には抗体を血中から抽出するための媒体が必要となります。」
ハーバはエア ウィンドウにナス科のベムドンナ、オニへルグサリ等いくつかの植物やパレポロス、ケファタルトやハレコーンといった陸海の動物たちを写し出す。
「その花なら、湖の回りに咲いていたわ。毒だと言われて持って帰らなかったの。」
ミレイユはオニへルグサリの可愛い花を指差す。
タブレットを開いて、集めた画像をミヨシに見せる。
「ほら、みて。」
「本当だ!たくさんある。私、取りに行くよ!」
ブウウウウツーーんんん
ハーバがSS-k人体型bot model-G
になって現れる
「では私がご一緒して採集のお手伝いをします。」
医務室で色々語り合っているうちにハーバとミヨシは仲良しになったのだ。
元来、botたちは人好きのようである。
戦略サテライト ピットブルも宇宙空域の情報を次々と送ってよこした。
センタースクリーンに広大なワールプールが出現。
中央には二大勢力を誇るプリスタイン星系とアンクルウォールター星系が渦巻いていた。
「💦どこなんだい?ここは💧」
いくらハチでも、ここが地球ではないことぐらいはわかったようだ。
「ふっ…-w-w」
目を下げたままレイラは笑う
「何がおかしいのさっ。
あたいだってわかる、そのくらいのこと!」
左端のバセンジーから細い帯線がアンクルウォールターに伸びる。
「おいっ!まさか、オレをアンクに行かせる気かよ💦確かにあそこなら何でもありそうだけどよぉ。」
少し焦ったようなルフィーの様子にみんなは注目した。
「危険な国なの?」
ミレイユは心配そうに言う
「ああ、まぁな💧」
アンクルウォールター連邦は多くの国がひしめき合って、常に生き残りをかけて凌ぎを削る、ヤバい連中が集まる物騒な星系だ。
彼らに言わせれば、ブラッセル人は軍隊で来るから厄介で恐れられているが、個人単位では単純で無知なターミネーターでしかないらしい。
「ニヤリ…。なに、あんた…」
人の弱気な潜在意識を引きずり出して笑い者にするのがハチの最大の楽しみ。
しかし、
「ビビってるんですか?」
ハチが言う前にマウゴラが素早くツッコんだ。
ピクニック時の論争が根深く残っているのか。
マウゴラはかなり、ハチ色に染まりつつあるようだ。
「なに!💦ふざけんなっって💦
んなわけねぇだろっ💦、てか、なんだよ!お前のしゃべりはぁっっ💦」
「…いかがなものですか?現在、フレンドリーな会話の学習中なので。608573、あなたはアンクルウォールター星に脅威を感じているのですか? 怖いのですか?」
「うるせぇーな!わざわざ言い直さなくていいんだよ!💦
💦アンクもプリもブラッセルの敵じゃねぇ!総統閣下の命令が下れば、オレはいつだってやってやる!」
ルフィーは怒り狂って、そこら中を殴り付ける。
アンクルウォールターの横に並ぶはプリスタイン共和国。
プリスタインはその昔、ロットワイラーの植民星系だった過去を持つ。独立を果たしてからは自由な国として多くの人々が集まり急成長し強大な力をつけた。
「ハチ!💦」
ミレイユは後ろで笑っているハチを注意する
「あたいは何にもいってないよ。」
といいつつ笑い続ける。
細い帯線は更に左隅のメアボン*ラクサ防衛軍訓練基地惑星まで延びていた。
「 608573、ご安心ください。貴方が向かうのはDAメアボン*ラクサ基地です。現在ここから5,2光年ほどの距離ですが、明日の03:00時にはK18空域に移動予定で、速やかに取りに行く事をお勧めします。そうでなければ本当にアンクルウォールターに行くことになりますよ。ふふ」
メアボン*ラクサは人工惑星。それ事態が移動を繰り返す基地惑星なのだ。
「ムッ。ふん、余裕だぜ‼️オレの*スピキンなら半日で往復できる。」
*スピキンとはルフィーの愛機、fighting weaponIII F/t-21A CTR² Oのこと。
「 CTR² Oはハイドライブ不能状態なのでは?整備不完全で危険です。時間はかかってもシャトルrangeで向かってください。」
「はぁ?このエース ストライカーのオレ様にrangeに乗れだと?ふざけんなっ。LEVEL-5の光速移動ができないだけだ。単発なら余裕で飛べる。EでもGでも選り取りみどり、取ってきてやるからまってやがれ!」
シートを降りると格納庫ブースのパネルにタッチする
「EでもGでもないけどね💧キャナイン6だよ。間違えないでね!」
ミヨシはこの人、大丈夫かなぁという顔でルフィーをみる。
「なんだと!クソチビ、なんならお前がチンタラrangeで取りに行ったっていいんだぜ!」
イライラが収まらないルフィーは
ミヨシの襟首をつかんで引き寄せる。
「うっ💢放せ! ああ、じゃ私がいってやる!💢」
どうやって行くのか分からないミヨシだが、喧嘩を売られて黙ってはいられない きかん坊だ。
振り払って、蹴りをいれるミヨシ。
ルフィーは攻撃をかわして、笑顔でファイティングポーズ。
「おっ、威勢がいいじゃねぇか-w-w」
楽しくなってきました、こいこいとやる。
「…💦やめて!ルフィー、 だいたい部外者のミヨシが軍の基地になんか入れるわけないでしょ!ひどいわ❗️」
ミレイユにキツいまなざしを向けられ、ばつ悪そうにするルフィー
「…💧別に、あんな訓練兵ベース、誰が行ったってわかんねぇよ💦」
と吐き捨てながら行きかけるが
「まてよ、💢偉そうにしやがって、あんたなんかに負けないから!」
逆に怒り沸騰中のミヨシはやる気満々だ!
ルフィーはすっかり非戦闘モード、どうでもよさそうにシラケた様子。
「だめよ、ミヨシ。あなたは湖にお花を取りに行くんでしょ?ユキホが苦しんでる、早く助けなきゃ。」
ミヨシは(゜ロ゜)ハッとなる
「…💧そうだった、ごめんなさい。なんだか大丈夫かなって心配で…💦つい」
「ケッ何が心配だ!余計なお世話だって!」
二人の会話の向こうで面白く無さそうなルフィーはぶつぶつ。
「いいのよ、ミヨシ、分かるわ」
「はぁ?なにが分かるだ?」
「大丈夫、私が着いていくから、心配しないで。」
「ああ、それなら安心です🎵」
ミヨシもミレイユもルフィーの方を向いてニコニコ。
「なに!(*・ω・*)💦なんだよ、それ!」
「誰が行ったっていいんでしょ?」
ミレイユはルフィーをじっとみる。
「そりゃ、そうだけどよ💦」
嫌そうな振りをして、かなり嬉しそうなルフィー。
やっぱりブラッセル人は単純で馬鹿なようです。
あ、無知か-w-w
「さぁ、早く行きましょ‼️予定が早まって、基地惑星がどっか行っちゃったら困るわ!」
「んなわけねぇだろ、お前、ショートドライブで酔うなよ」
近距離ジャンプはお手のもの、ミレイユが酔うなんてことは有り得ません。
「 あっ!レイラ、湖! ミヨシについて行ってあげてね、ハーバとミヨシだけじゃ何かあったらいけないから‼️」
そう言うとルフィーの腕を引っ張り、スタスタとオペレーションルームを出て行くミレイユでした。
「…。」
レイラは無言で後ろ姿を見送る
「よろしくです( 〃▽〃)
竜崎さんがいれば何も怖くない気がする。」
ミヨシの瞳はきらきら輝いた。